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富士通とレッドハットがミッションクリティカルなLinuxソリューション分野で戦略提携

2003年05月08日 20時38分更新

文● 編集部

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富士通(株)と米Red Hatは、ミッションクリティカルなLinuxシステムを利用している顧客に対するソリューションを強化するため、ワールドワイドで戦略提携したと発表した。

今回の提携に基づき、富士通およびオランダFujitsu Siemens Computersなどの関連企業は、IAサーバ『PRIMERGY』シリーズにおいて『Red Hat Enterprise Linux』ソリューションの提供とサポートをワールドワイドで展開する。また、米Red Hatと富士通は各拠点で合同チームを作り、ソフトウェア開発やマーケティング、営業、システム構築、サポートを提供するとしている。

富士通の汐留本社で8日に開催された記者発表では、最初に富士通プラットフォームビジネスグループ エンタプライズシステム事業本部 本部長代理の山中明氏が今回の提携について紹介した。

富士通プラットフォームビジネスグループ エンタプライズシステム事業本部 本部長代理の山中明氏
富士通(株) プラットフォームビジネスグループ エンタプライズシステム事業本部 本部長代理の山中明氏

山中氏は富士通のLinux事業について、「現在のところハード、ソフトをあわせて100~200億円程度の規模だが、2006年にはLinux搭載IAサーバで1000億円規模、ソフトウェアやサポートを含めると3500億~4000億円の売り上げを目指す」ことを説明。ターゲットは「最近話題のe-Japan関連でLinuxの需要が伸びているほか、政府機関のメインフレームシステムが置き換えの時期に来ていることもある。とはいえ、政府関係の需要は電子政府が実現する2005年頃にはなくなるので、企業システムについても、現在中心のWebサーバやメールサーバといった分野だけでなく、よりミッションクリティカルな分野での利用を推進したい」と語った。メインフレームからのアプリケーション移行について質問したところ、「アプリケーションのポーティングは我々が中心に行なうことになる。しかし、必要となる技術情報を得るためにはOSベンダーとの提携は不可欠だ」との回答を得られた。

引き続き、米Red HatのCFOであるKevin B.Thompson氏が、富士通との提携の背景やRed Hatのエンタープライズ向けディストリビューション戦略などを紹介した。

米Red HatのCFOであるKevin B.Thompson氏
米Red Hat CFOのKevin B.Thompson氏

Thompson氏は、「富士通はミッションクリティカルなサーバ分野で実績があること、またLinuxビジネスに早期から参入しており、ビジネス戦略が明確なことなどから、ワールドワイドで“Tier 1 Partner(最も重要なパートナー)”の1社として提携した」と、今回の提携について語った。また、同社のエンタープライズ向けディストリビューション『Red Hat Enterprise Linux』シリーズについては「従来は商用UNIX上でのみ実現可能であったサービスを低コストで実現できる製品。これまでの『Red Hat Linux』シリーズと異なり、最新のパッケージを収録することよりも安定性やサポートに重点を置いている」と紹介した。

同氏によると、Red Hatの“Tier 1 Partner”は世界中で7~8社に限定する予定だといい、現在のところ米IBM、米Hewlett Packard、米Dell Computerなどがあるという。ほかのベンダーとの提携の可能性については、「北米地域で3社のパートナーがあるように、アジアパシフィック地域でも、ほかのベンダーと戦略提携する可能性もある」という。SolarisやWindowsも取り扱っている富士通にとっては、どのようなメリットが考えられるかという問いには「大規模なシステムでLinuxを採用することを考える場合、UNIXやWindowsなどほかのプラットフォームと混在した環境でLinuxを採用することが前提になる。ハードウェアベンダーはサポートするOSをきちんと選ぶ必要があるだろう。エンタープライズLinux市場では我々は85%のシェアを持っており、我々との提携で富士通のハードウェアに付加価値を付けられるのではないか」との回答を得られた。

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