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フィリップス、プレス向けにDVD関連半導体ソリューションの説明会を開催

2003年04月09日 23時33分更新

文● 編集部 内田泰仁

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オランダのロイヤルフィリップスエレクトロニクス社は8日、DVDに関連する半導体ソリューションの記者説明会を日本フィリップス(株)の本社で開催した。今回の説明会では、同日に発表されたDVDレコーダーの機能を拡張するチップセットの解説とデモ、そして現在研究中のコンテンツ管理に関する新技術の紹介が行なわれた。

フィリップス半導体事業部のアジア太平洋地域コンシューマー/マルチメディア製品ジェネラルマネージャー、ジェローン・GJM・クーネン氏

説明会の前半は、フィリップス半導体事業部のアジア太平洋地域コンシューマー/マルチメディア製品ジェネラルマネージャー、ジェローン・GJM・クーネン氏(Jeroen GJM Keunen)が、上記にあるフィリップスのDVD戦略に基づくDVD関連半導体事業の戦略や、これに関わる新チップセットの解説を行なった。

ヨーロッパの電気機器メーカー大手であるフィリップスは、DVD+RWアライアンスの幹事企業を務め、ヨーロッパ市場を中心に、DVD+RWビデオレコーダー、DVD+RW/+Rドライブを製造・販売している。それと同時に、DVD+RW/+Rに関連するコントローラーチップやCODECチップなどの半導体も各メーカー向けに出荷しており、コンシューマー向け、製造メーカー向けの両面からDVD+RW/+Rに携わっている。フィリップスとしては、2002年から2005年にかけて、「家庭内、家庭と外の世界を接続する“コネクティッド・ホーム”を実現する」ことを目標としており、そのために「デジタルテレビ、デジタルディスプレー、DVDの各分野への主要技術を結集する」としている。

DVD+RW/+Rの普及度を説明するスライド。WindowsでのDVD+RW/+Rのネイティブサポートが決定したことや、欧米での順調な普及が説明された

フィリップスのDVD+RW/+Rの戦略としては、大きく分けて、パソコン市場向けのDVD+RW/+Rドライブ戦略と民生機向けのDVD+RW/+Rレコーダー戦略の2系統があるという。パソコン用ドライブ向けとしては、シングルチップ・ソリューションの開発と、高速化・低価格化実現に向けた他社との連携を、民生機向けとしては、1台の機器で連携した複数のアプリケーション(たとえば、DVDレコーダー+HDDレコーダーなど)をサポートしつつ次世代規格を推進する、VCR/DVDプレーヤーに代わる低コストなシステムのロードマップを展開する、といったことを戦略として掲げている。

クーネン氏はプレゼンテーションの中で、フィリップスのDVD関連半導体事業の基本戦略は2系統で、1つは中国や韓国の量産市場(=低価格な製品を大量に生産する製造メーカー)に向けた「即製造に対応するソリューション」の提供、もう1つは日本、ヨーロッパ、韓国の最先端メーカー(=新規にハイスペックな製品を開発する、実績のある製造メーカー)に向けた「高性能なソリューション」の提供だと述べている。キーとなるパーツとしては、MPEG-2 CODECチップ『Nexperia pnx7100』、DVD+RW/+Rを制御するフロントエンドプロセッサー『Nexperia pnx7850』、市場最速クラスとなる8倍速記録に対応するオプティカルエンジン、マルチチャンネルDVDレシーバー向けのクラスDアンプモジュールなどを挙げている。

リビングルーム向けDVD+RWレコーダーのメイン基板。こちらは中国および韓国の量産メーカーをターゲットとしているソフトウェアの追加で取り扱えるコンテンツ形式が拡張可能な新チップセットは、高機能なレコーダーを設計する最先端メーカーに向けたシステム
フィリップスの民生機向けDVD+RW/+R関連半導体事業の戦略のコアとなる2系統の戦略

今後、特に民生機の分野では、今後低価格化だけでなく機能面での差別化も図られる必要があるとしているが、それを踏まえてフィリップスが新たに提供するのが、“DVDの録画・再生以外のこともできる”DVDレコーダーを製造するためのチップセットだ。具体的には、MPEG-2 CODECチップ『Nexperia pnx7100』と、メディアプロセッサー『Nexperia pnx1300/1500』とを連携させた新しいチップセットデザインである。これにより、従来のビデオ録画・再生だけでなく、さまざまな形式の映像や音声の受信・再生・録画・管理が可能になるとしている。

前述した『Nexperia pnx7100』を搭載した製品では、MPEG-2エンコード/デコードのほか、MPEG-1やDV、JPEG、MP3の再生、AC-3、dts、Dolby Digitalをサポートし、IEEE1394やUSB機器やその他の外部記憶装置との接続に対応している。今回発表された新しいチップセットデザインでは、MPEG-2 CODECチップにメディアプロセッサーを追加することで、MPEG-4、H.263およびH.264、DivX、Real Video、Windows Media Video/Audio、Dolby Pro-Logic-II、JPEG2000など、さまざまな形式に対してソフトウェア処理によるサポートが可能になり、Ethernetや無線LANによるネットワーク接続も可能になるという。

MPEG-2のようにDVD-Videoに用いられるメジャーな形式以外にも、映像や音声にはさまざまな形式が多数存在し、市場での普及度や製品・環境によって、サポートが求められる形式は多種多様で、1つのチップがハードウェアレベルでサポートできる形式には限界がある。そこで、ソフトウェアレベルで各形式に対応可能なメディアプロセッサーを追加することにより、製造メーカーが独自かつ自由に必要な形式をサポートするのに必要なソフトウェアを追加して、他製品との差別化を行なえるようにしようというのが、この新しいチップセットデザインの狙いだという。

この新しいチップセットデザインを用いた製品の例としては、DVD+RW/+Rビデオレコーダーに、ブロードバンドによるインターネット接続とウェブブラウジング、ストリーミング映像配信の受信機能とその映像のDVDへの録画機能、デジタルカメラで撮影した画像の表示や管理といった機能を持つ、ハイスペックなDVDレコーダーが挙げられた。プレゼンテーション終了後には、『Nexperia pnx7100』と『Nexperia pnx7850』、そして『Nexperia pnx1300』を搭載したサンプルボードによる、DVD再生、JPEG画像の再生、ストリーミング映像の再生のデモンストレーションが行なわれている。

今回のデモのシステム構成図。フロントエンドチップ、MPEG-2 CODEC、メディアプロセッサーで構成されるテスト用セット。2枚の基板とDVD+RWドライブ、メモリースティックスロットで構成されている
新たに追加されたデザインの“Nexperia”チップセットを利用したデモ。セットのサイズは大きいが、これはテスト用のシステムサンプルのため。デモでは、メディアプロセッサーでメモリースティック内に保存されたJPEGの表示とムービーファイルの再生(タイムシフト機能の利用も含む)が行なわれた

なお、単体のチップとしての『Nexperia pnx7100』『Nexperia pnx7850』『Nexperia pnx1300/1500』はすでに出荷済みの製品だが、これらのチップが統合された新しいチップセットは、2003年代1四半期より量産予定だという。

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