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アナログ・デバイセズ、“Blackfin”プロセッサーの次世代製品を発表

2003年03月24日 16時30分更新

文● 編集部

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米アナログ・デバイセズ(Analog Devices)社は24日、DSPの新ラインアップとして、マルチメディア処理性能が約2倍、消費電力が約半分の“Blackfinプロセッサ・ファミリー”を発表した。同日、アナログ・デバイセズ(株)が都内で記者発表会を開催し、来日した米アナログ・デバイセズDSP & システムズ事業部メディア・アプライアンス・プロセッサ・プロダクトライン・マネージャのフィンバー・モニハン(Finbarr Moynihan)氏が『ADSP-BF531』『ADSP-BF532』『ADSP-BF533』の3製品の概要を説明した。時差の関係で、日本での発表が世界で最初ということになる。

フィンバー・モニハン氏
フィンバー・モニハン氏

“Blackfin(ブラックフィン)”は、同社が2000年12月に米インテル社と共同開発したDSPとマイクロコントローラーを統合したアーキテクチャーである“MSA(Micro Signal Architecture:マイクロ・シグナル・アーキテクチャ)”を採用したプロセッサー。MSAは、DSPで実行されるソフトウェアをモニターし、ビデオやオーディオのデコードなど、タスクに必要な処理性能に合わせて動作クロック周波数を動的に変更できるだけでなく、コア電圧も動的に変更できるのが特徴で、最初の製品『ADSP-21535 Blackfin DSP』は2001年9月にサンプル出荷が開始されている。

製品イメージ
Blackfinプロセッサー

今回発表した新製品は、オンチップRAMを52KB搭載し、動作クロック周波数が300MHz/400MHzで処理性能が600MMAC(※1)/800MMACの『ADSP-BF531』、オンチップRAMが84KBの『ADSP-BF532』、オンチップRAMを148KB搭載し、動作クロック周波数が500MHz/600MHzで処理性能が1000MMAC/1200MMACの『ADSP-BF533』の3製品。従来製品と比べて、処理性能を約2倍に向上させるとともに、消費電力を約半分に低減したのが特徴。最大600MHz動作のプロセッサーコアのほか、新たにITU-R 656準拠のエンコーダー/デコーダーを直接接続できるビデオI/Oや、コア電圧レギュレーターなどを搭載し、コア電圧と動作周波数を動的に変化させて消費電力を低減する“ダイナミック・パワー・マネージメント(DPM)”サブシステムの機能も強化されている。

※1 MMAC Million Multiplications and Accumulations per Secondの略で、1秒間に積和演算を100万回実行できる処理速度の単位。1200MMACでは1秒間に12億回の積和演算が行なえることになる。

ブロック図
ブロック図

コアは、MSAを採用し、16bit乗算器×2、40bitALU(論理演算ユニット)×2、8bitビデオALU×4、16bit×16または32bit×8の演算レジスターなどを搭載しており、16bit/32bit命令、64bit多重命令に対応する。8bitビデオALUを4個搭載したことにより、MPEGなどで利用される8×8離散コサイン変換や動き予測ルーチンの処理時間を大幅に短縮できるという。ビデオI/Oは、最高65MHzの外部クロックと同期をとることが可能で、ビデオポート(パラレル・ペリフェラル・インターフェース:PPI)は、1次元のDMAのほか、ビデオフレーム内で選択した領域を効率的に処理できる2次元DMAをサポートする。コア電圧は1.2Vで、50mV単位で0.7Vまで下げることが可能。また、利用しないシリコン部分(回路)の電源を切る機能も搭載する。消費電力は、ADSP-BF533の場合、200MHz動作で52mW、300MHz動作で90mW、600MHz動作で280mW。300MHz動作時にはMMACあたり0.15mWとなり、現時点で業界最小であるとしている。

処理性能については、MPEG-2プレーヤーとして利用する場合には720×480ドットで毎秒30フレーム(D1)なら290MHzのクロック周波数で処理でき、MP3プレーヤーとして利用する場合には19MHz、音声信号処理に利用する場合は、G.728コーデックで27MHzで処理できるという。

動的に変更可能
処理性能と消費電力を同時にダイナミックに変更できる

価格は1000個受注時のOEM単価で、『ADSP-BF531』が4.95ドル(約600円)/5.95ドル(約720円)、『ADSP-BF532』が9.95ドル(約1200円)、『ADSP-BF533』が16.95ドル(約2050円)。パッケージは160ピンのミニBGA(Ball Grid Array)と176ピンのLQFP(Low Profile Quad Flat Pack)で提供され、ファミリーではピン互換となっている(ADSP-BF533はミニBGAのみ)。0.13μmプロセスで製造され、サンプル供給を開始しているという。なお、今回の製品からファミリーの名称が“Blackfin DSP”から“Blackfin”に変更された。

“Blackfin”プロセッサーは、アプリケーション開発言語としてC言語やC++言語を利用可能でき、各社の組み込み用リアルタイムOSをサポートする。Embedded Linuxも今年前半にはサポートする予定。同社では、デジタルカメラやメディアサーバー、セット・トップ・ボックスなどのコンシューマー向け製品や、無線対応の携帯情報機器、ホームネットワーク製品、自動車向けの組み込み機器など、マルチメディア分野や通信分野のさまざまな用途に利用できるとしている。

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