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【特別企画・最新パーツ性能チェック(Vol.8)】Bartonコア採用Athlon XP-3000+の性能を速攻チェック!!

2003年02月10日 12時26分更新

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テストによってBarton効果に大きなばらつき

 では、いよいよ性能を見ていくことにしよう。AMD側はnForce 2マザー、Intel側はGranite Bay(E7205)マザーを使い、メモリはnForceはデュアルPC2700、E7205はデュアルPC2100でともに512MB。HDDとビデオカードはともにBarracuda ATA V 80GBとGeForce4 Ti4200を用いた。

【グラフ1】3DMark 2001SEの結果【グラフ2】Commanche 4 Benchmarkの結果
【グラフ3】Final Fantasy XI公式ベンチの結果【グラフ4】Unreal Tournament 2003 Benchmarkの結果
【グラフ5】Quake3 Arena Demo001の結果【グラフ6】TMPGEnc Plus MPEG2圧縮時間(短い方が高速)
【グラフ7】TMPGEnc PlusでDivX Codecによる圧縮時間(短い方が高速)【グラフ8】TMPGEnc PlusでXvid Codecによる圧縮時間(短い方が高速)
【グラフ9】Windows Media Encoder 9による圧縮時間(短い方が高速)【グラフ10】Windows Media Encoder 9による音声の可逆圧縮の時間(短い方が高速)

 グラフ1~5は3D描画系のベンチマーク。CPUパワーが表示のなめらかさに直結する3Dゲームのパフォーマンスの指標になる。これによると、Final Fantasy XIベンチマークとUnreal TournamentのBotでは、Barton 3000+がPentium 4-3.06GHzを相手に圧勝、3DMark 2001SE、Unreal Tournament Flybyではほぼ互角、Comanche 4、Quake 3 ArenaではPentium 4の圧勝。十分Pentium 4最上位と張り合える感じだ。
 グラフ6~9は動画圧縮、10、11は音声データの圧縮を行っている。こちらでは、フロントエンドにPentium 4に最適化され、かつ、ハイパースレッディングが有効に機能するTMPGEnc Plusを用いたこともあってか、MPEG圧縮を除きPentium 4が優勢で、特にWindows Media Encoder 9では大差がついた。ところが、同じWindows Media Encoderでも、音声の可逆圧縮をさせるとAthlon XPが強いし、国産の強力アーカイバGCAによる圧縮ではBartonが大差でリードしている。Pentium 4は高い実クロックと4.2GB/秒の高いFSB帯域に優位があり、大容量データを決まった処理で扱う作業ではP4が強い。Athlonは、FSB性能では譲るが、パイプラインがP4より短く(=分岐予測が外れたときのペナルティが少なく)、1次キャッシュが大きいため、データセットが比較的小さく、複雑な条件判断を繰り返す用途では一歩抜けた性能を示すことがわかる。
 今回は比較対象としてもうひとつ、FSB 333MHzで2.08GHz動作のAthlon XP 2600+を用意した。すでに述べたように、Bartonはクロックは2600+に比べ83MHzしか上がっていないので、性能向上効果のほとんどは増えたキャッシュに依存している。ということは、キャッシュの役割が低い処理の場合には、あまりスピードアップが見られない可能性がある。
 見比べてみると、確かに処理によって速度向上率に大きなばらつきがあるのが分かる。Unreal Tournamentの2つの処理だ。Flybyはほとんど性能が上がっていないが、Botのほうは10%ほどもアップしている。Flybyのように、次々と新しいシーンを表示する場合にはキャッシュの効果が低く、Botのように同一シーン内で動きがある場合にはキャッシュの効果が出ているものと思われる。3DMark、Final Fantasyは4%弱、Quakeでは5.5%。このあたりは、モデルナンバー15%アップの反映としてはまあまあの結果だ。
 エンコード系は、TMPGEncのMPEGやDivX、Xvidは2~4%の向上にとどまるのに対し、Windows Media Encoderでは6%、GCAでは20%も向上している。処理ルーチンと必要なデータが640KBに入るかどうかが大きく影響するようだ。
 エンコード系は一般にクロック周波数に最もリニアに比例する処理なだけに、15%のモデルナンバーのアップをそのままエンコード性能アップと期待すると、特に動画圧縮系では肩すかしを食うことにもなりそうだ。トータルではPentium 4-3.06GHzといい勝負をしていることから、モデルナンバーの3000+という数字自体にはそう大きな抵抗は感じないが、2600+や3000+という数字には、どうしたってクロック周波数のイメージがつきまとう。Bartonを購入の候補にする場合は、数字はあくまで性能をトータルでならしたもので、行う処理によって速度向上率が大きくばらつくことに留意する必要がある。

 最後に価格だが、3000+が7万3500円、2800+が4万6875円である。AMDプロセッサで7万円台の価格が付いたのは、実に2000年10月のAthlon 1.2GHz以来となる。昨年、「瞬間最速」となった2600+や2800+は、すぐにひっくり返されることをわかっていたのか、4~5万円だった。今回の強気の値付けに、市場の最高性能にほぼ追いついたこと、さらに、しばらくステータスを維持できるという自信が伺われる。 (企画開発プロジェクト 野口岳郎)

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