写真9 タッチパッド手前のジョグホイール。スポンジのようなやわらかい手触りで、ころころと回しやすい。 |
キーボードはメインキー5段、ファンクションキー1段の標準的な配列で、変則的な配列やサイズの部分は見あたらない。ファンクションキーには拡張キーと組み合わせることでサスペンドやハイバネーション、バックライトの強さの調整が行えるが、タッチパッドとワイヤレスデバイスの有効/無効もここで選択できるのが本機ならではのユニークなポイントだ。キーストロークはやや浅めでタッチはかなり柔らかい部類に入る。ポインティングデバイスのタッチパッドは中央にスクロール用のホイールが用意されており操作性は良好だ。Synaptic製ドライバによりパッド端を利用した画面スクロール機能、パッド端までスライドしても指を離さない限りポインタが動くエッジモーション機能など豊富な機能が使い勝手を向上させている。
写真10 SDカードスロットと無線LANスイッチ。本体左側面の手前にある。DynaBook G6はBluetoothを標準で装備するほか、上位2モデルは無線LANも合わせて装備する。 |
通信機能はモデムと100BASE-TX/10BASE-Tに加え、IEEE802.11b準拠の無線LANとBluetoothと2つの無線規格をサポートする。利用する無線規格の切り替えは常時行え、干渉による速度低下はあるが同時利用も可能だ。コネクタ類は左側面に2つのUSBポートとSDカードスロットを、右側面にUSBとIEEE1394が1つずつとAV系の入出力端子とPCカードスロットが用意されている。モデムとLANコネクタは背面右部分だ。これに加え左側面にあるマルチスタイルベイにはTVチューナ以外にも、セカンドHDDや3種類のメモリカードを読み書きできるブリッジメディアスロットなどがオプションで用意されており、拡張性は十分確保されていると言える。PCカードスロットがTypeII対応1スロットという点がやや寂しいが、各種ポートと通信関連機能が充実しているためさほど問題にはならないだろう。
G6シリーズはTVチューナ機能の有無、液晶の解像度や搭載する光ディスクドライブの種類などの違いにより全部で4モデルがラインナップされているが、このG6/U18PDEWはその中で最も付加機能が多いモデルとなる。G6/U22PDEWはCPUクロックが2.2GHzで最上位モデルの位置付けになるが、TVチューナがオプションで内蔵ドライブもDVDマルチドライブではなくDVD-R/RWドライブと、付加機能ではやや劣ることになる。スピードを取るか機能を取るかなかなか悩ましいところだ。下位2モデルは液晶解像度がSXGA+で無線機能もBluetoothのみ、さらにTVチューナやDVDマルチドライブも付属しないなど(DVD-R/RWまたはCD-R/RWドライブ)上位機種と比較すると少々魅力に欠けてしまうが、マルチスタイルベイは用意されているのでTVチューナ機能を追加することは可能だ。UXGAでは文字が小さくて使いにくいという場合は、下位モデルとTVチューナをセットで購入するというのも1つの手である。
「自分で何かを創りたい人にはDynaBook」
―スペックには出ない質感を
東芝 デジタルメディアネットワークス社PC事業部 PC商品企画部
PC商品企画担当 グループ長
清水敏行氏
PC商品企画担当
塘岡崇志氏
「クリエイティブ」を全ラインナップに
コンシューマ向けではノートPC専業の東芝だが、今回の新しい「DynaBook G6」を始め、Gシリーズは従来からデスクトップに匹敵するスペックを誇る。しかし、これはPC上級者層を狙ったものではなく、クリエイティブな層、パソコンで何かを創りたいという層をターゲットとし、そのためのスペックであることは、p.124のインタビューにあるとおりだ。また、G6を除く各シリーズについては、塘岡氏は「ジェネリックに受け入れられるものを」としながらも、「何でもできる、では何ができるのか分からない(清水氏)」とし、それぞれのシリーズごとに、ある程度は絞ったユーザー層に訴求する製品展開を目指すという。その中でも、最上位のG6の「クリエイティブ」というコンセプトについては、下位モデルにも共通のコンセプトとして広げていく構えだ。実際、今回の冬モデルではDVDマルチドライブを始め、DVD書き込みドライブ搭載モデルを拡充した。また、A4ノートのラインナップでは最下位にあたる「DynaBook E6」シリーズですら、グラフィックチップにATI MOBILITY RADEON、16MBのDDR SDRAMをビデオメモリとして搭載する。他社のノートPCの多くが、チップセット内蔵のビデオ機能を使い、ビデオメモリもメインメモリと共有していることと比べると、これは東芝のラインナップの大きな特徴だ。さらに、上位シリーズではすべて、GeForce4をグラフィックチップとして採用している。チップセット内蔵のビデオ機能でも、一般の使用にはまず問題ない。しかし「ウインドウを開く一瞬のもたつきが、使い勝手に直結する(塘岡氏)」とし、専用のグラフィックチップを搭載している。
また、東芝では「スペック表にはない質感」を重視している。上位機種で搭載しているharman/kardonのスピーカにしても実際に聞いてみないことにはその音質は分からない。タッチパッド手前のジョグホイールも、その位置と材質にこだわっているといったことは、触ってみないと分からない。そういったスペックには現れにくい質感にこだわることで、ここでも使い勝手の向上を図っている。
これらのスペック面の強化、および使い勝手の向上によって、「使う喜び」を所有者に持ってもらうことを、東芝は目指している。これは、単にパソコンを所有するだけでなく、それをクリエイティブに使うこと、所有者の創造性を喚起することを意味している。これらのコンセプトによって、消費者の買い替え・買い増し需要を捉えることを狙っているという。
また、ホームサーバ「TransCube」を東芝はすでに販売しているが、これは家庭内に複数台入ってきたパソコンを束ねるものとして企画したという。ノートPCをウリにしている同社なら、ノートにホームサーバ機能を内蔵しそうだが、「TVとの連携などを考えると、パソコンとは別の機器にしたほうがいい(清水氏)」と判断したという。さらに今後は、家電や他の電子機器との融合も、検討している。
一方、そのTrandCubeの周りに繋がるデバイスのイメージについては、あくまでもノートPCをイメージしているという。ほかにWindows Powered Smart DisplaysやTablet PCなどといった選択肢もあるが、同社ではTablet PCも「普通のパソコンとして十分使えて、それに加えてタブレット機能を(清水氏)」と考えている。
DynaBook G6/U18PDEWの主なスペック | |
製品名 | DynaBook G6/U18PDEW |
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CPU | Mobile Pentium 4-M-1.80GHz |
チップセット | Intel 845MP |
メモリ(最大) | DDR SDRAM 512MB(1GB) |
ディスプレイ | 15型Fine SuperView液晶(1600×1200ドット) |
ビデオ | GeForce4 460 Go |
HDD | 60GB |
FDD | 外付け(USB接続) |
光メディアドライブ | DVDマルチ(DVD-RAM2倍速/DVD-R1倍速/DVD-RW1倍速/DVD8倍速/CD-R16倍速/CD-RW8倍速/CD24倍速) |
スロット | PCカード(TypeII×1)、SDカードスロット×1、マルチスタイルベイ×1 |
I/O | USB 2.0×3、IEEE1394×1、モデム、外部モニタ |
通信 | 10/100BASE-TX、無線LAN(IEEE802.11b)、Bluetooth |
サイズ(W×D×H) | 334×305.8×38.2~55.2mm |
重量 | 約3.6kg |
OS | Windows XP Home Edition SP1 |
アプリケーション | Office XP Personal、DVD-MovieAlbumSE、MotionDV STUDIOほか |