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「SCOはLinux企業、当然Linuxのソースコードは調査済みです」─日本SCO(株)代表取締役社長 麻生誠氏

2003年02月03日 20時28分更新

文● 編集部

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1月28日にお伝えしたように、米SCOは同社の保有するUNIX関連の知的財産権を専門に扱う“SCOsource”を設立し、Linux上でUNIXアプリケーションを利用するための『SCO System V for Linux』のライセンス販売を開始する。『SCO System V for Linux』とはどういった製品なのか、また“SCOsource”による知的財産権調査はオープンソースのOSにどのような影響をもたらすのか、日本SCO(株)代表取締役社長の麻生誠氏に伺った。

『SCO System V for Linux』とは

『SCO System V for Linux』は、これまで『SCO OpenServer』や『SCO UnixWare』(以下、両製品をまとめてSCO UNIXと表記)にのみ実装されていた共有ライブラリをLinux上で利用可能にするライセンス。LinuxのABI(Application Binary Interface)は、IAマシン上で動作するSystem V系のUNIXと互換性があるため、この共有ライブラリを利用すればLinux上でSCO UNIXのアプリケーションをそのまま利用することが可能だ。これまではライセンスの問題からこのライブラリをLinux上で利用することが許されていなかったため、多くのユーザーがライセンス契約に違反した形で利用せざるを得なかったという。

『SCO System V for Linux』で提供される共有ライブラリが動作するのは、SCOと米Intelが設定したUNIXのABI“Intel ABI”と互換性のあるABIを実装したOSであり、ほとんどの代表的なLinuxディストリビューションがこれに含まれるという。BSD系のUNIXやIAマシン以外で動作するUNIXなどは、アプリケーションのバイナリ互換性がないため、ライセンス提供の対象外となる。

麻生氏によると、「現在利用しているSCO UNIXのバージョンが古い、共有ライブラリをコピーするのではなく新たに入手したい、SCO UNIXを持っていないといったユーザーには、共有ライブラリをCD-ROMなどに収録したパッケージとして提供することも計画している」という。『SCO System V for Linux』が対象とするのは、「既存のSCO UNIXのアプリケーションをLinuxへ移行するユーザーや、SCO UNIXとLinux向けに共通のアプリケーションを開発するISV」だ。同社がこのライセンスをバンドル販売するのは『SCO Linux Server 4.0 powered by UnitedLinux』のみで、既存のOpenLinuxシリーズのユーザーはこのライセンスを購入することが必要になるという。なお、各社の『UnitedLinux』製品に対しても「バンドルするために相談している」とのことだ。

また、SCO UNIXの今後については、「LinuxとUNIXではカーネルが違う。UNIXカーネルを利用したいという顧客もいるため、Linuxアプリケーションが動作するSCO UNIXも継続して提供する」とのことだ。

Linuxの発展のためにUNIXの知的財産権を使う

新設された“SCOsource”による知的財産権の調査については、「SCOはLinuxとUNIXを提供する企業であり、Linuxの発展によりSCOのビジネスも拡張する。従ってLinux業界の発展のためにSCOが持つUNIX資産を活用していくことを考えている」とのこと。より具体的には、「Linuxは知的財産権上不明確な点が多く、企業が利用するプラットフォームとしては危険であるとの主張をする人々がいる。しかし、UNIXとほぼ同じユーザインターフェイスを持つLinuxは、SCOが持つUNIXの知的財産権により間接的に守られているともいえるわけで、このような主張には反論していく」と説明した。

Linuxの知的財産権については、「SCOもLinux企業であり、Linuxのソースコードについては十分に調査を行なってきたつもりだ。今回の『SCO System V for Linux』の提供で、Linuxの知的財産権に関する問題は解決されると考えている」とし、「必ずしもLinuxを調査するわけではなく、いろいろなところで使われているSystem V系のUNIXインターフェイスについて調査することになる」と、Linuxに関しては知的財産権の問題が解決しているとの見方を示した。

知的財産権調査のためにDavid Boies弁護士を任命したことについては、「Boies氏以外の弁護士では、訴訟相手の企業によって弁護を断わられる可能性があった。Boies氏は、米Microsoftの独占禁止法訴訟で米国司法省側に立って活動した実績もあり、相手が誰でも弁護を引き受けてくれる人物だ」と説明。「Linuxだけでなく、BSDや多くのUNIXシステムに関する知的財産権の問題はすでに解決していると理解している。今回Boies氏を任命したことから、我々のターゲットについては推測していただけるのではないか」と語った。

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