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【OracleWorld 2002 Vol.3】“OracleWorld 2002”初日の印象

2002年11月12日 00時00分更新

文● 渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp)

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 OracleWorld 2002の第1日目を通じての全般的な印象をまとめておこう。

午後のキーノート冒頭にはミュージシャンも登場
 まず第一に、やや地味な印象を受けたというのが正直なところである。これは、主力製品であるデータベース本体のバージョンアップのタイミングではないという点が大きく影響していると思われる。今日が正式発表日となった『Collaboration Suite Release 2』に関しても、全くの新製品というわけではない。日本では未発表となっているものの、米国では既に出荷済みの製品のバージョンアップであるため、着実な機能強化が行なわれてはいるものの、驚くような目新しさはない。さらに言うと、同様の製品は各社が取り組んでおり、実装方法や設計方針に違いはあるものの、さまざまな形式のメッセージを統一的に取り扱うことでユーザーにより高いレベルの利便性を提供し、かつ管理も容易に低コストでできるようにする、という目標は同じといえる。その点で、コンセプト自体に驚かされる、ということにはならないのは確かだ。



キーノートスピーチ中のIntel President and COO、Paul Otellini氏。Oracleの“IAサーバ+Linux”プラットフォームへの取り組みは“Oracle vs Sun”のシェア争いに大きな影響を与えるか
 一方で、やや脇道に逸れる感もあるが、Sun Microsystemsに対する包囲網が厳しさを増しているという印象も受けた。従来は、OracleデータベースのプラットフォームとなるUNIXサーバとしてはまず真っ先にSunのサーバが思い浮かんだものだ。もちろんこの状況は今後すぐに変わることはないだろうが、HPとの関係強化も含め、全体的にIAサーバをより重視する方向が見えてきている。Intelのキーノートや、Amazon.comでの事例紹介で「高コストに付くUNIXサーバ」として挙げられたのはSunのハードウェアだろう。OracleがLinuxプラットフォームを企業システム向けに信頼性を高めていき、かつ低コストなプラットフォームとしての魅力を維持するとなると、結果としてSunのシェアが削り取られることになるだろう。IAサーバとSunのサーバのシェア争いはOracleとは独立して進行しているわけだが、OracleがIAサーバ+Linuxというプラットフォームに対する取り組みを強化している現状は、当然大きな影響を与えることになる。

 MSの『Exchange Server』対抗として出てきた『Collaboration Suite』に関しても“安価である”ことが強くアピールされることからも、米国でも多くの企業がコストにシビアになっていることが伺える。高度な機能をより安価に提供していこうとするOracleの取り組みは、従来高価だというイメージがあったOracle製品のイメージを変えることになっていくかもしれない。



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