三洋電機(株)の技術開発本部は10日、50インチのPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)を採用した3Dディスプレーを開発したと発表した。特殊なメガネなどを利用せずに複数の人間が同時に見ることができるのが特徴。同社では、教育やイベントなどでの利用のほか、将来的には家庭用立体テレビへの応用が期待できるとしている。
開発した3Dディスプレー(画面ははめ込み) |
開発した3Dディスプレーは、PDPの前面に階段状に設計された“斜めバリア(パララックスバリア)”を置くというシンプルな構造を採用している。一般的なパララックスバリア方式では開口部が縦ストライプ形状となっており、多視点方式に利用すると水平方向の解像度は視点数の増加に伴い劣化する(n視点表示では縦方向が1/3、横方向が3/nに劣化)。そこで、階段状の開口部を持ち、解像度の劣化を縦方向と横方向に振り分けることで劣化を抑えられる斜めバリア方式を開発。PDPの解像度は1280×768画素で、斜めバリア方式により4視点の画像を表示すると、1視点の映像は960×256画素(25万画素)で表示できるという。
斜めバリア方式3Dディスプレーの構成 |
多視点映像のデータは、コンピューターで作成し、斜めバリアの開口に対応してPDPに表示する。それにより観察者が移動しても観察者の目に入るPDPの画素群が順次変わるため、それに対応した異なった映像(多視点映像)を見ることができるという。なお、今回開発した3Dディスプレーは、大阪大学との産学連携研究開発事業の成果を基に発展させたものという。