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シンフォレスト、お金の知識が身に付くゲーム『マネースマート』を発売

2002年07月19日 20時52分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)シンフォレストは18日、遊ぶことでお金の知識が付くロールプレイングゲーム『マネースマート type R』(以下マネースマート)を、同日付けで発売すると発表した。価格は4800円。併せて、5月にソニーコミュニケーションネットワーク(株)が、同社のインターネット総合サービス“So-net”においてβ版を発表したマネースマートのウェブ版“マネースマート type W”の正式版を、8月1日にリリースすると発表した。料金は月額300円。

『マネースマート type R』
『マネースマート type R』のパッケージ

マネースマートは、毎月の収入や支出など、異なった設定を持つ8人(ウェブ版は3人)のキャラクターごとに用意されている目標を達成するために、株や不動産、ビジネスに投資を行なって、現金や資産を得て、ゴールを目指すロールプレイングゲーム。

スタート画面スタート画面
キャラクター
キャラクターごとにシナリオとゴールが用意されている
基本画面ゲーム画面。14×8マスのマップ上を移動する。5マス移動すると1ヵ月が経過する

具体的なゲームの流れは以下の通り。ゲームは、14×8マスのマップ上を移動することによって進める。キャラクターが5マス移動すると、ゲーム内で“1ヵ月”が経過したことになり、キャラクターの給料や支出の設定によって現金が得られる。その現金を使って、マップ上にある“株”“不動産”“ビジネス”のマスで投資を行なえる。株は安く買って高く売ることができれば利益が出る。不動産からは家賃収入が、ビジネスへの投資からは収入が期待できる。不動産やビジネスも、“取引”のマスで売却でき、好条件な取引では多くの現金を得られる。なお、ゲームごとに“好景気”“株価急騰”“デフレ”“恐慌”“乱高下”などの市場の状況を表わすシナリオが5つ(ウェブ版は3つ)用意されており、このシナリオに沿って株価や取引の条件が変化する。

不動産
“不動産”のマスでは不動産を購入できる。家賃収入が得られるが毎月ローンを支払わなければならない
取引
“取引”のマスでは不動産やビジネスを売却できる。取引の条件はその都度変わる

現金と借金のバランスを取って、投資を繰り返せば、給料以外の定期収入を増やせる。現金が目的の額に達し、給料の額より投資からの収支が上回ることができ、かつキャラクターごとに用意されているクリアの条件を満たすことができればゲームクリアとなる。クリアの条件は、例えば“カフェのオーナーになる”とか、“リゾート地の別荘を購入する”といったものがある。なお、マップ上ではランダムに“遺産相続”や“結婚”“出産”、“交通事故”などのイベントが発生する。また、ゲーム内で40年が経過すると、キャラクターが定年になってゲームオーバーとなる。

結婚
マップ上ではランダムでイベントが発生する。画像は“結婚”のイベント。結婚費用として支出が発生する

8人すべてのキャラクターでクリアすると、隠しキャラクターが現われる。この隠しキャラクターをクリアすれば、キャラクターとシナリオとゴールをそれぞれ自由に選択できるようになる。つまりパッケージ版は9キャラクター×5シナリオ×9ゴールで、合計405通りの組み合わせで遊ぶことができる。ウェブ版は3キャラクター×3シナリオ×3ゴールで、合計27通りの組み合わせが可能。

動作環境は以下の通り。OSは、Windows 98/98 SE/Me/2000/XP、Mac OS 8.5以上に対応する。Windows版はPentium(互換プロセッサー含む)以上のCPU、32MB以上のメモリーと100MB以上のHDDの空き容量、および800×600ドット、6万5536色以上表示可能なディスプレーが必要。またMac OS版は、PowerPC以上のCPUと64MB以上のメモリー、100MB以上のHDDの空き容量、および800×600ドット、3万2000色以上表示可能なディスプレーが必要。

企画原案の桝山氏「目標はドラマ化」

Necca
発表会が行なわれた東京・渋谷の“Necca 渋谷店”

同日、東京・渋谷のインターネットカフェ“Necca 渋谷店”で行なわれた発表会には、マネースマートの企画・制作を行なった(株)ダブ代表取締役社長の桝山寛氏と、エグゼクティブプロデューサーを務めた(有)ペットワークスの八谷和彦氏が出席した。予定では、エグゼクティブプロデューサーである(株)ネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏も出席することになっていたが、都合がつかなくなったということで、桝山氏が撮影したビデオインタビューでの登場となった。

マネースマートの企画・制作を行なった(株)ダブ代表取締役社長の桝山寛氏
マネースマートの企画・制作を行なった(株)タブ代表取締役社長の桝山寛氏

桝山氏はマネースマートについて「遊んでいるとお金の知識はつくが、遊ぶのに専門的な知識はいらない。お金の知識とは何なのか、自然とそういうことが身に付く。長く遊ぶこともできるが、その過程で考えること自体を楽しんでいただきたい。勝ち負けはない。破産することはあるけれども、何で破産したのかを学べるようにデザインしてある。リスクを負わなければお金は貯まらないということを学んでほしい」

「キャラクターは8人用意している。作るときに、世界観というか物語がないと面白くないと思い、それぞれに背景や性格を持たせた。お話を追っていくタイプのゲームではないけれども、きっと自分の頭の中で物語が膨らむと思う」

「勘違いしてほしくないのだが、僕は別に、皆がお金のことに詳しくならなくても良いと思っている。しかし、それはそれとして、お金の基本の基本のことを知らないと困る。下品な言い方をすれば、貧乏になる。例えばゲーム中のシナリオが“乱高下”と“デフレ”の時には、株の“空売り”ができる。これを知っているのと知らないのとでは大違い。これからは、誰も助けてくれない世の中になる。お金がある人とない人が二極化していく。すでにその兆候は現われている」と述べた。

伊藤氏
ビデオインタビューで登場したエグゼクティブプロデューサーである(株)ネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏

ビデオインタビューで登場した伊藤氏は「マネーゲームや株はギャンブルであると、ネガティブなイメージとしてとらえる傾向が日本にはある。今後の国際社会の中で、日本が競争力をつけるためには、新しい市場を作るベンチャーが必要だが、現状の日本は、それが生まれない状況になっている。戦後の日本はピラミッド型の産業を作っていった。優秀なエリートはローリスクハイリターンな大企業に入ってしまう。だからベンチャーを作るのは、大企業に入れなかった人などになる」

「ある統計で、日本人に『起業家を尊敬しますか』という質問をしたところ、そのうち10%しか尊敬すると答えなかったという。大半の日本人は、失敗するのが怖いから起業しない。だから、日本におけるベンチャーは閉じたコミュニティーでしか活動できない。リスクも高いしリターンも低い、その上失敗するのが怖いし尊敬されないのでは、まったく良いことがない。リスク&リターンに対する考え方が日本人にはない。これを教育しなければならない。その点で、マネースマートのようなゲームにするというのは、非常に目線が合っていて良いと思う」と語った。

八谷氏
エグゼクティブプロデューサーを務めた(有)ペットワークスの八谷和彦氏

また八谷氏は「昨年マンションを買ったのだが、いつかここを売るだろうと思った時に、じゃあどこを選べば良いのか、今金利はどれぐらいなのか、などと考えさせられた。だから昨年、“信用ゲーム”の名前でマネースマートが登場したとき、面白いソフトだと思った」

「僕らが学生のころは、バブルだったこともあって、マネーゲームにネガティブなイメージがあったが、お金は社会の血液でもあるわけだから、成長しなければならないところに回るべき。そうでないところに意味なく回っても仕方がない。皆、今の世の中を大丈夫だとは思っていないと思う。むしろティーンエイジャーこそマネースマートを買って、総合学習の時間にやってほしいぐらい」と述べていた。

そして桝山氏は、マネースマートの今後の展開を「5月からβ版を公開していたウェブ版は、8月1日に正式版がリリースされる。ウェブ版にはパッケージ版と異なったキャラクターを用意しているので楽しんでほしい。その後で、出版物としてのマネースマートも準備している。具体的には、秋ごろに絵本を出版する予定。内容は、女子大生がお金の知識を得ることで、自分の人生に目標を見つけて、いきいきと生きられるようになる、といったようなフィクション」

「また、このゲーム自体がミニゲームファンドになっていて、最初の何万本かには“配当登録ハガキ”が付いている。それを返送していただいた方には、販売本数が5万5000本を超えたらマネースマートのオリジナルグッズをお送りする」

「今の日本の状況をシナリオとして入れると、あまり面白くないものになってしまうので入れていない。しかし、後からキャラクターやシナリオを追加できる設定にはしてある。最新情報はSo-netのウェブサイトからチェックできるので見てほしい」と語った。

なお桝山氏は、マネースマートの目標を「目標はTVドラマ化。ゲームとしての目標は家庭用ゲーム機への移植」としている。

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