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NTT-ME、FOMA向け映像配信環境を提供する“何所でもライブASPサービス”を発表

2002年07月18日 01時29分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)エヌ・ティ・ティ・エムイー(NTT-ME)は17日、インターネット技術やビデオ会議システム技術などを利用した海外・国内のマルチメディア製品やサービスを提供する事業“ME Global WAVE”シリーズの新たなラインアップとして、ビジュアルフォンタイプのFOMA端末向けに、ライブ映像を配信可能にするサービス“何所(どこ)でもライブASPサービス”の提供と、同サービス専用ライブカメラ『ゆうあいカメラ(YouI Camera)』の販売を、29日に開始すると発表した。

“何所でもライブASPサービス”概要
“何所でもライブASPサービス”概要

“何所でもライブASPサービス”は、個人やSOHOといった比較的小規模なユーザーでも、特定のビジュアルフォンタイプのFOMA端末を対象にライブ映像配信を行なえるサービス。NTTドコモが試行サービス中のリアルタイム映像配信サービス“Vライブ”を利用している。NTT-MEでは、従来専用線かISDN回線しか利用できなかったVライブサーバーへの映像送信が、インターネットからの送信にも対応することを受け、FOMA対応エンコードソフト内蔵型のライブカメラ『ゆうあいカメラ』を開発するなど、より安価で手軽な映像配信を可能にする環境を用意したという。

接続形態
配信までの流れ

配信までの流れは以下の通り。まずライブ映像を、ゆうあいカメラ、あるいはエンコードソフトを内蔵したパソコンから、ADSLなどのブロードバンド回線を経由して、NTTドコモの“Vライブドコモセンター”に送信する。そしてVライブドコモセンターより、FOMA網を介して特定のFOMA端末に映像を配信する。

サービスは、ゆうあいカメラの提供・設置から、“Vライブ”への映像送信に必要なISPサービス、ブロードバンド回線の手配などのインターネット環境構築までをオールインワンで提供する。サービス形態として、ゆうあいカメラを利用して配信を行なう“ゆうあいカメラ接続タイプ”と、市販のビデオカメラなどで撮影したライブ映像を、エンコードソフトを搭載したパソコンを利用して配信する“パソコン接続タイプ”の2通りを用意している。

パソコン接続タイプには、エンコードソフトを搭載したパソコンや、メンテナンスサービスをオールインワンで提供する“オールインワン型”と、視聴端末台数が100台を超え、所有するパソコンで映像のエンコードを希望するユーザーに対してエンコードソフトのみ提供する“プロユース型”の2通りを用意している。なおパソコン接続タイプは、NTT-MEのISPサービス“WAKWAK”と、東日本電信電話(株)あるいは西日本電信電話(株)のADSL回線サービス“フレッツ・ADSL”かFTTHサービス“Bフレッツ”の利用が前提となる。

ゆうあいカメラ
ゆうあいカメラ『LT-MN010型』

ゆうあいカメラは、FOMA対応ビデオ圧縮技術に準拠したエンコードソフトを内蔵している。インターネット接続環境があれば、“何所でもライブASPサービス”用に最適な状態で、映像および音声をリアルタイムでエンコードして送信できる。ラインアップとして、NTT-MEと台湾のリードテック・リサーチ(Leadtek Research)社が共同開発した『LT-MN010型』と、(株)アルファ・オメガソフトが開発した『AO-MC010型』の2機種を用意している。LT-MN010型は、PPPoEをサポートしており、ADSL回線に接続する際に外部ルーターを必要とせず、直接ADSLモデムに接続できる。またマイクを内蔵し、映像と音声を併せて送信できる。AO-MC010型は、レンズ交換が可能で、外部映像入力端子を備える。9月30日に発売する予定の『AO-MA010型』では、外部音声入力端子から音声も同時に配信可能となっている。

ゆうあいカメラ
ゆうあいカメラ『AO-MC010型』

エンコードソフトは、ビデオカメラやマイクからパソコンに入力された映像および音声信号を、FOMA端末で視聴できるようにエンコードするもので、Windowsに対応する。富士通(株)が開発したもの。ライブエンコード機能に加えて、映像をファイルとして保存するコンテンツ生成機能も搭載している。デジタルデータはMPEG-4に準拠している。

同サービス導入のための初期投資費用と月額料金の例については以下の通り。“ゆうあいカメラ接続タイプ”で、FOMA端末2台へ映像配信する場合、初期費用が9万4300円で、ランニングコストとして月額1万3950円。“パソコン接続タイプ”の“オールインワン型”で、FOMA端末2台に映像配信を行ない、オプションとしてNTT-MEのISPサービス“WAKWAK”を利用する場合、初期費用が38万6300円で、ランニングコストが月額1万4650円となる。また“プロユース型”で、配信のためのパソコンはユーザーが用意し、フレッツサービスやWAKWAKは契約済みで、FOMA端末101台へ映像配信する場合、初期費用が1万8000円で、ランニングコストが月額11万3200円。さらに、ゆうあいカメラのみの単体販売も行なう。価格はオープン。同社が提示している参考価格は、LT-MN010型が2万5000円、AO-MC010型が33万円、AO-MA010型が35万円となっている。

実際のライブ映像
実際のライブ映像

NTT-MEでは、同サービスの利用シーンとして、自宅に設置して家族やペットの映像を外出先から確認したり、幼稚園や小学校の児童の保護者が遠隔地から子供の様子を確認するなどの利用のほか、遠隔教育や、工場現場や操業状況の管理、および車内連絡や遠隔監視といった利用を見込んでいる。

児玉充氏NTTドコモモバイルマルチメディア事業本部クロスメディア部MVL担当部長の児玉充氏

発表会で、NTTドコモモバイルマルチメディア事業本部クロスメディア部MVL担当部長の児玉充氏は「映像配信サービスは、今後B2BやB2Cなどの閉じた世界のコミュニティーが伸びていくのではないかと期待している。NTT-MEとは、昨年からモバイル回線とブロードバンド回線を融合させたサービスを実現できないか、ということで打ち合わせを続けてきた。NTTグループの中でも、固定網とモバイル網の融合サービスはこれが初めて。また、それで映像を配信するのは世界初ではないだろうか」と述べ、「FOMAのビジュアルフォンがあれば、リアルタイムで自宅の様子や託児所の様子が確認できる。これがNTT-MEのサービスの良いところではないかと考えている。また、ゆうあいカメラはインターネットに接続できるので、世界のさまざまなコンテンツを日本に向けて配信することも可能。さまざまに使い方が広がるのではないかと期待している。身近な使い方も可能なのでよろしくお願いしたい」と語った。

NTT-MEは、9月をめどに同サービスに接続可能なライブカメラの追加機種を企画・開発中で、ゆうあいカメラシリーズの拡充と、機能の向上を図るという。

同社では、2002年度末までに、映像配信ユーザーとして3000ユーザーと、約2億円の売り上げを見込んでいる。

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