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デジタルカメラ撮影の“基本のキ” ホワイトバランスと色の話

デジタルカメラ撮影の“基本のキ” ホワイトバランスと色の話

2002年07月06日 02時40分更新

文● 周防 克弥

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デジタルカメラ撮影の“基本のキ” ホワイトバランスと色の話

例えば、室内でも屋外でも蛍光灯でも白熱灯でも、デジタルカメラをオートモードにすれば単にシャッターを押しただけでかなり自然な色に写る。それはデジカメならではの機能の1つ、オートホワイトバランスのおかげだ。デジタルカメラ撮影の基本技術を紹介する本連載、今回は普段なにげなく使っているホワイトバランスとその使い方に注目してみよう。

日常見ている色も実は一定じゃない

 普段、人が屋外で物を見ると青い物は青く、白は白く、赤は赤に見える。当たり前のことのようだが、これは太陽光の元で正常なカラーバランスが得られているからだ。室内に移動して、蛍光灯の下で同じ物を見てもおそらく正常な色で見えるだろう。白熱灯の下で見ても同様だ。これは人間の眼がとても優れたオートホワイトバランス機能を持っているからだ。しかしカメラの世界ではちょっと話が違う。

 今回のカメラのホワイトバランスにおいては、「光源」がキーワードだ。読んで字の如く光の源(みなもと)、言うなれば光の種類だ。普通、光源といったら何を思い出すだろうか? 最も一般的なのが「太陽」だ。なには無くとも基本となる光源は太陽だ。人工の光は沢山あるが、そのすべてが太陽の代わりに生まれてきたようなものだ。その次に一般的なのが「白熱灯」。裸電球と言った方が分かりやすいかもしれない。トイレによくぶら下がっているヤツだが、赤みが強くて色に暖かみがあるため、お洒落な店では間接光として使われるケースもある。最後に「蛍光灯」。白熱灯に比べて発熱量が少ないので光源自体が熱くならず、消費電力も少なく経済的で、大抵の家でも使用されているはずだ。主立った光源といえばこの3種類が挙げられる。
 光を示す基準となるものに「K」(ケルビン)という単位がある。これは本来、温度を示す数値で「色温度」と呼ばれる。色温度を計測するための機材には「色温度計」(カラーメーター)という物があり、プロカメラマンなどが使っている。写真に興味がある人ならば聞いたことがあるだろう。

作例1 ホワイトバランスを「晴天」にした状態で撮影した夕方の風景。夕暮れが近づいた太陽の光は赤くなり、建物に当たった光は黄色く反射して見える。いかにも日が傾いた時間の写真だ。作例2 作例1と同じ状況だが、ホワイトバランスをオートにして撮影した。全体的な赤っぽさが補正されており、被写体の色が正しく写っている。日中の風景とほとんど変わりなく見える。

 昼間の太陽の光はだいたい5500K、夕日ともなると3000Kくらいまで低下する。白熱灯は3000Kくらいだ。色温度が低いほど赤く、高いほど青く見える傾向にある。夕日が当たった風景が赤みを帯びて見えるのは、カメラ的には色温度が低下したためにそう映ると言える(作例1/作例2)。ちなみに、蛍光灯を自分で買ったことがある人は分かると思うが、市販の蛍光灯にしても「昼白色/昼光色/電球色」と、3種類の色がある。昼白色は一番多く使われているタイプで太陽光に近い6000Kくらい、昼光色は青がちょっと強めの傾向にあり7500Kくらい。電球色は白熱灯に近い3000Kくらいで赤みがかっている。また、蛍光灯の場合は赤みに加えて全体的に緑っぽい色合いに傾くという特性もある。

 銀塩カメラの場合、光源の種類によって使うフィルムを選ぶ。基本的に太陽光の下で正常なカラーバランスが得られる「デイライトフィルム」と、白熱灯用の「タングステンフィルム」が代表的なところだ。基本的にこの2種類を覚えておけばいいだろう。残念ながら蛍光灯用のフィルムというのは存在せず、銀塩カメラで蛍光灯を光源として撮影する場合にはレンズの前に蛍光灯補正用の「フィルタ」(主にマゼンタ系)を装着するのが一般的だ。
 フィルムを選んでもいないしフィルタもかけていないけど、銀塩カメラでちゃんと写真が撮れる、と言う人も多いかもしれない。それは使っているフィルムがネガフィルムだからだ。ネガフィルムで撮影した場合、DPEショップでフィルムから印画紙へプリントする際に(特に頼まなくても)色の補正が行われており、どんな光源で撮ってもそれなりにきれいな色合いのプリントが手元にやってくるのだ。プロやハイアマチュアは被写体の色をきちんと出すためにリバーサルフィルム(ポジフィルム)を使うのだが、こちらを使うと光源によって大きく色が変わってくる。

 デジタルカメラでは、銀塩カメラのようにフィルムを選んだりフィルタを付ける必要は無い。撮影時に、カメラ内部で色合わせの調整処理を行っているためだ。これが「オートホワイトバランス」(以下AWB)という機能(撮影モード)だ。

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