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“NetWorld+Interop 2002 Tokyo”開幕――「モバイルコンピューティングが変革の鍵を握る」CAIサンジェイ・クマーCEO基調講演

2002年07月04日 14時41分更新

文● 編集部 田口敏之

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アジア最大規模のネットワーク関連イベント“NetWorld+Interop 2002 Tokyo”が1日、千葉・日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開幕した。主催はNetWorld+Interop 2002 Tokyo実行委員会で、運営は(財)インターネット協会とキースリーメディア・イベント(株)が行なう。展示会の開催期間は、3日から5日までの3日間。なお、コンファレンスは1日より開催されている。

N+Iは、各種テーマゾーンでの出展企業によるブース展示や、展示会場内に設けた各種の企画展示、およびコンファレンスやセミナー、業界キーマンによる基調講演などが行われるイベント。今回のN+Iでは、米マイクロソフト社ネットワーキング&コミュニケーションズ担当バイスプレジデントのジャワッド・カーキ(Jawad Khaki)氏や、米シスコシステムズ社テクノロジーデベロップメント担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのチャールズ・ジャンカルロ(Charles H. Giancarlo)氏、ソニー(株)ネットワーク&ソフトウェアテクノロジーセンタープレジデントの所眞理雄氏、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ相談役の大星公二氏など8名のスピーカーによる基調講演がそれぞれ行なわれる。この第1回目として3日、米コンピュータ・アソシエイツ社社長兼CEOのサンジェイ・クマー(Sanjay Kumar)氏が、“Future Tech:A Vision of Tomorrow's Technology~明日のテクノロジービジョン”と題して基調講演を行なった。

サンジェイ・クマー氏
米コンピュータ・アソシエイツ社社長兼CEOのサンジェイ・クマー(Sanjay Kumar)氏

クマー氏は、「テクノロジーのトレンドについて話す前に、25年間の業界を振り返ってみたい。この業界は25年前、単純なメインフレームのコンピューターから始まった。テクノロジーはシンプルで、ユーザーの数も多くなかった。やがてUNIXやWindowsなどの台頭によって、クライアント・サーバーコンピューティングが出てきて、ユーザーの数やアプリケーションの利用時間が増え、テクノロジーが複雑になった。そして最大の変革をもたらしたのがインターネットの台頭。ユーザーや顧客やベンダーなどが、遠隔地からアクセスできる時代が到来した」

「そして、ファイヤーウォールやモバイルコンピューティングなどが登場し、現在に至るが、我々は未だに25年前に作ったテクノロジー基盤を利用しており、その上にテクノロジーを上乗せしている。過去のメインフレームも未だにネットワークの中に組み込まれている。多様なシステムが混在する環境下で、どんどん管理やシステムが複雑になっていく」

「テクノロジーの革新とともに変化は続き、複雑性も増していくだろう。ある書物によれば、変化の速度は当分和らぐことはなく、競争はさらに激化するという。この業界に身を置く人者にとっては、まさにエキサイティングな時代。このような変革の時代の中心にいることを実感している」

「変革は今まさに起きている。つまり、テクノロジーを“作る”から“使う”へのシフトが起きている。例えば米国では“作る”勢いが低迷し、ほとんどがアジア地域に委譲されている。したがって現在、アジアの市場こそが、非常にユニークなチャンスを持っていると言えると思う。米国や欧州のような市場は、テクノロジーを利用する側に切り替わり、そしてアジア地域がテクノロジーを作り出す中心地になってくる。このようなシフトがもたらす意味合いを少し考えてみたい」

「テクノロジーは、世界経済の導引役だった。自動車業界は大幅に生産性を上げ、流通でもコマースでも、テクノロジーが生産性を高める役目を担っている。1990年代はインターネットがビジネスのあり方や業界そのものにインパクトを与えた。これからの10年間で変革をもたらす牽引要素は、ワイヤレス、モバイルコンピューティング。24×7の可用性と、いつでもどこでも通信を行なえる利便性、BluetoothやUWB、UMTSといったような複数のプロトコルにまたがって、業界を引っ張っていくだろう。また、ワイヤレスコンピューティングはB2Cの世界にも大きなインパクトを与えるだろう。日本はこの傾向が顕著で、ワイヤレスやモバイルに関しては、日本は世界のリーダー的な役割を担っていると思う。今後大きなチャンスを持っていると言えるだろう」

「そして、もう1つの大きな要素が、テクノロジーを公益サービスとして考えるトレンド。客やユーザーや企業も、情報技術をユーティリティーとして見るようになる。コンピューターだとかサーバーだとか、管理業者とかアプリケーションだとか、煩雑なことに煩わされることなく、テクノロジー利用できる時代が来る。家庭で使える電気と同じように、いつでも使いたいときに使えるようになる。すでにこの変化は生まれている。企業の中でも、テクノロジーがユーティリティーとして位置づけられていく。エンドユーザーは企業ポータルサイトにログオンして、そこからアプリケーションを利用することになる」

「過去の25年間は、ここから先の10年間から比較すると、小さな変化でしかなかったというぐらい、これから大きな変化が生まれる。なぜなら、ここにきて初めて、境界線無くコンピューティングを提供できる時代が到来したから。有線や固定網を通じて情報にアクセスする時代ではなくなった、携帯電話が爆発的に普及したのと同じように、ワイヤレスやモバイルコンピューティングも、テクノロジーと通信のありかたを変えていく。これに合わせて我々は、ハードウェアやソフトウェアに対するサポートのあり方を変えて行かねばならない」

「引き続き、日本のパートナーと一緒に、強固なテクノロジーのインフラを構築していきたいと考えている。パートナーが必要とするテクノロジーのニーズに応えて行ければと考えている」と語った。

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