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マックストアとアダプテック、『Atlas 10K III』とUltra320 SCSIに関するプレスセミナーを開催

2002年06月11日 02時19分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本マックストア(株)とアダプテックテックジャパン(株)は10日、都内で報道関係者を集め、Ultra320 SCSI対応HDD『Atlas 10K III』とハイエンドSCSIカードに関するセミナーを開催した。

両社は2001年10月に共同でAtlas 10K III(Ultra320 SCSI版)と、Ultra320 SCSIカード用コントローラーチップ『AIC-7902』の発表会を開催しており、主な機能などについては今回のセミナーでも同様の説明だったが、Atlas 10K III(Ultra320 SCSI版)を4月に出荷開始したことや、アダプテックのUltra320 SCSIカードの出荷が間近になってきたことを受けて、それら製品/試作品を使ったデモンストレーションや今後のロードマップを示した。また、次世代SCSIインターフェース“シリアル・アタッチドSCSI”についても紹介した。

2002年後半、2つの新製品を発表予定

まず日本マックストアのカスタマーサポートエンジニアリングマネージャーの斎藤勉氏が、Ultra320 SCSIインターフェースを搭載し、プラッターあたり18GBの容量を持つ、毎分1万回転のエンタープライズ向けHDD『Atlas 10K III』について説明した。

『Atlas 10K III』(Ultra320 SCSI版)。3種類のモデルがある
『Atlas 10K III』(Ultra320 SCSI版)。3種類のモデルがある

Atlas 10K III(Ultra320 SCSI版)は、マックストアが買収したクアンタム社から引き継いだ、サーバー、ワークステーション、ストレージサブシステム向けHDD。毎分1万回転のHDDとして初めての18GBプラッターの採用、Ultra320 SCSIのオプション規格AAF(※1)にも対応といった特徴を持つ。また平均シークタイム(4.5m秒)、最大サステインドデータスループット(毎秒55MB)、毎分7200回転のHDDクラスの動作音(31dB)など、他社の毎分1万回転HDDと比較しても性能が高く、専門誌やメーカーの評価も高いとしている。

※1 AAF(Adaptive Active Filtering):適応型アクティブフィルタリング。システム構成によって、HDDの数やSCSIケーブルの長さなどが異なるが、環境に応じて、高周波減衰を補償し、高周波の伊豆を除去するなどして信号のSN比を高める。

『Atlas 10K IV』
『Atlas 10K IV』。IIIと比較して容量が倍増している
『Atlas 15K』
『Atlas 15K』の概要。サステインドデータスループットは毎秒75MBに達している

マックストアでは、Atlas 10K IIIに続いて、1プラッターあたりの容量を36GBにし、サステインドデータスループットを毎秒72MBに向上した『Atlas 10K IV』(Ultra320 SCSI版。コードネーム:Cobra)、1プラッターあたり18GBの容量を持ち、毎分1万5000回転、サステインドデータスループット毎秒75MBの『Atlas 15K』(Ultra320 SCSI版。コードネーム:Aurora)を、2002年後半にリリースすることも明らかにした。また、斎藤氏はエンタープライズ向けHDD市場では、2005年までは毎分1万回転のHDDが主流を占めるとの予測や、2005年でもインターフェースとしてはSCSI(パラレルSCSI)が65%を占めるなど主流のままとの予測を示し、マックストアとして注力していくと述べた。

2005年までのエンタープライズ向けHDD市場における回転数別の比率
2005年までのエンタープライズ向けHDD市場における回転数別の比率
今後のエンタープライズ市場における、インターフェースの推移予測グラフ
今後のエンタープライズ市場における、インターフェースの推移予測グラフ

SCSI資産を受け継ぐシリアル・アタッチドSCSI

Ultra320 SCSIに続くインターフェースに関しては、スループットをさらに倍速化した“Ultra640 SCSI”が2003年から2004年にかけて登場、さらに2004年後半に“シリアル・アタッチドSCSI”が登場するという。シリアル・アタッチドSCSIは、2002年後半に登場すると予想されている“シリアルATA”と共通のコネクターやケーブルを使用し、ソフトウェアレベルではSCSIプロトコルを使用するという規格。現在STA(SCSI Trade Association)(※2)によって、5月に最初の規格案が出されている状況だという。

※2 マックストアはSTAだけでなく、シリアルATA規格を策定するSerial ATA Working Groupにも参加している。

シリアル・アタッチドSCSIは、シリアルATAと共通のコネクター/ケーブルを使用することから、ファイバーチャネルと比較して価格を安く抑えられるほか、SCSIと比較してケーブルが細く取り回しやすいといったメリットがあるという。また、1リンク当たり128台以上のデバイスを接続できる、シリアルATA HDDとの共存が可能、これまでのSCSIドライブ用のソフトウェア資産が使用できるといったこともメリットとしている。

“シリアル・アタッチドSCSI”の特徴とメリット
“シリアル・アタッチドSCSI”の特徴とメリット

斎藤氏は、サーバー、ワークステーション、ストレージサブシステム向けのSCSI(パラレルSCSI)はシリアル・アタッチドSCSIに、エンタープライズSAN(Storage Area Network)向けのファイバーチャネルはシリアル・アタッチドSCSIとファイバーチャネルに移行するとの予測を示した。ファイバーチャネルは長距離の接続などで今後も残るとしている。

Ultra320 SCSI製品を夏に発表

続いてアダプテックテックジャパンの瀧川大爾氏が、2002年後半にリリース予定のUltra320 SCSI対応SCSIカードについて紹介した。

ハイエンドサーバー向けSCSIカードのロードマップ
ハイエンドサーバー向けSCSIカードのロードマップ
サーバー/ワークステーション向けSCSIカードのロードマップ
サーバー/ワークステーション向けSCSIカードのロードマップ

瀧川氏が示したロードマップによると、Ultra320 SCSIインターフェースを2チャンネル搭載し、64bit/133MHz PCI-Xバスに対応したハイエンドサーバー向けSCSIカード『ASC-39320D』『ASC-39320』を2002年第3四半期にリリースする。またUltra320 SCSIインターフェースを1チャンネル搭載し、64bit/133MHz PCI-Xバスに対応したサーバー/ワークステーション向けSCSIカード『ASC-29320』、Ultra320 SCSIインターフェースを1チャンネル搭載し、64bit/133MHz PCI-Xバスに対応したラックマウントサーバー/ワークステーション向けのロープロファイルSCSIカード『ASC-29320LP』を2002年第3四半期にリリースする予定という。

ハイエンドサーバー向けデュアルチャネルSCSIカード『ASC-39320D』
ハイエンドサーバー向けデュアルチャネルSCSIカード『ASC-39320D』

対応OSはWindows NT4.0/2000/XP(IA32およびIA64)、Windows .NET(IA32/IA64。出荷バージョン完成後45日以内にリリース)NetWare 4.2/5.x/6.0、Open UNIX 8、UnixWare 7.1.1、Solaris 8、Linux Kernel 2.4.19以降を使用するディストリビューションとなっている。

Ultra320 SCSI対応RAIDカードのロードマップ
Ultra320 SCSI対応RAIDカードのロードマップ

さらにUltra320 SCSIを使用したRAIDカードのロードマップも示された。Ultra320 SCSIインターフェースを1チャンネル搭載したロープロファイルPCIサイズRAIDカード『ASR-2120S』、Ultra320 SCSIインターフェースを2チャンネル搭載したロープロファイルPCIサイズRAIDカード『ASR-2200S』を9月中旬にリリース予定としている(いずれも日本語版)。また、マザーボード上にSCSIコントローラーを持つシステムに対応し、RAIDコントローラーを搭載した回路を追加してRAIDシステムを構築できる“Zero Channel RAID”カード(日本語版)を2002年第4四半期にリリースするとしている。

シングルチャネルSCSI RAIDカード『ASR-2120S』
シングルチャネルSCSI RAIDカード『ASR-2120S』
デュアルチャネルSCSI RAIDカード『ASR-2200S』
デュアルチャネルSCSI RAIDカード『ASR-2200S』

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