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デジタルシネマ研究コンソーシアム、作品を発表

2002年06月06日 23時24分更新

文● 編集部 矢島詩子

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慶應義塾大学SFC研究所が主催する、デジタルシネマ・研究コンソーシアムは6日、デジタル短編作品『Magick Lesson』(マジック・レッスン)の試写会を東京・東品川の松下電器産業マルチメディアフォーラムにて行なった。
このコンソーシアムは技術開発とコンテンツ制作の両面からアプローチし、デジタルショート市場の開拓を目的として発足された。“デジタルシネマ”とは制作から上映にいたるまでのプロセスをデジタルフォーマットで統一している作品で、同コンソーシアムではフィルムを使わない映画製作と市場展開を研究している。
作品は約10分間、CGと実写を組み合わせている。

『マジック・レッスン』の1シーン (C)2002 “Magick Lesson” Digital Cinema Consortium All Rights Reserved.

この作品で試みられたのはまず、松下電器産業(株)製のHD-24pデジタルビデオカメラ『Varicam』を使った高画質映像の実現。1080/24p(走査線数1080本/フィルム同様に毎秒24フレームで撮影できる映像フォーマット)で、このフォーマットは『スターウォーズ エピソードII』などでも採用されている。

また、遠隔操作によるデジタルシネマ撮影を行なうシステム“Remote Shooting System”を開発し、このシステムで実際に撮影を行なった。IPv6を利用した保証帯域40Mbpsの高速回線で香港と東京を結び、ロスアンゼルスにいる監督が指示を出しながら撮影された。このシステムにより、国内外での撮影において、渡航費、人件費が削減でき、海外の俳優の出演や制作者の時間的・体力的負担も軽減できると期待されている。
さらに、CGや特殊効果に特化した照明装置“LightStage3”を使い、これまで合成処理だけでは困難だった、光が複雑に変化する撮影を可能にしている。

遠隔撮影システムRSSを用いた撮影の現場。香港にいる女優の映像を慶應義塾大学SFCにリアルタイムでストリーミングし、映像を合成した
こちらが実際のシーン

監督には、慶応義塾大学環境情報部教授で、アクション映画『スポーン』のデジタルエフェクト制作を担当した稲蔭正彦氏と、同じく『スポーン』で監督を務めたマーク・ディッペ(Mark Dippe)氏。マーク・ディッペ氏は「新しい技術を使ってたくさんの人たちと仕事できたのが楽しかった。ただ(遠隔撮影について)時差の問題があって、どうしても時間差が発生していた。俳優が互いに触れ合うというような場面を作るのは難しい。ここは今後の課題になるだろう」と話している。

なお、この作品は14日午後9時30分から、シネクイント(渋谷パルコパート3・8F)で行なわれる“ショートショート フィルムフェスティバル2002”シネクイントレイトショー“デジタル・シネマナイト”にて上映される。

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