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「ワイヤレスホームメディアステーション」をうたうユニークなPC拡張キット「TransCube 10」が東芝から

2002年05月24日 00時00分更新

文● Jo_Kubota

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パッケージ

 東芝製ノートPCシリーズ“DynaBook”用のオプションとして「TransCube 10」という製品が登場した。東芝ではこれを「ワイヤレスホームメディアステーション」と呼んでいるが、聞いてもピンとこないのは当然で、実際にはまったく新しいカテゴリの複合製品だ。



TranceCube 10
「TransCube 10」

 TransCube 10はブロードバンドルータと無線LANアクセスポイント、80GBのHDD、TVチューナ、MPEG2エンコーダ/デコーダが統合された外付けボックス。104(W)×319(D)×259(H)mmという、小型のスリムタワーPCより若干小さい程度の筐体に、数万円程度のPCでは到底太刀打ちできないほどの機能が詰め込まれている。これらの機能は付属のリモコンから操作可能だ。



リモコン
この手の製品としては、やはりリモコンが無いと使いにくい。というわけで当然リモコンも同梱されている

 似たような製品としては、USB接続で用いるアイ・オー・データ機器の「Rec-On」や、LAN接続可能な製品としてはNECの「SmartVision Pro HD40」があるものの、これらはあくまでHDDレコーダ。TranceCube 10は今まで登場したどんな製品よりも多機能であることが分かる。

CPUヒートシンク
CPUに装着されているヒートシンク。脇から風を当てている(あるいは吸い出している)可能性もあるが、ヒートシンク自体はファンレス

 分解こそできなかったものの、編集部で中を覗いて確認したところFC-PGA/FC-PGA2タイプで、PentiumIII、もしくはCeleronと思われるCPUが搭載され、ファンレスのヒートシンクがその上に搭載されていた。また、HDDの型番はSeagateのU Series 6「ST380020A」と判別できており、中身はまさにPCそのものと考えていいだろう。ユーザー側でこれらのパーツを交換できるかは(保証うんぬんは別として)気になるところだが、現在のところは何とも言えない。



前面インターフェイス
背面インターフェイス
無線LANカード
各種インターフェイス。前面にはTV操作ボタンとビデオ入力端子が装備され、一方背面にはビデオ入出力端子があり、直接TVに接続し録画した画像を見ることもできる

 それぞれ機能を見ていくと、ブロードバンドルータとしては10/100MbpsのWANポートを持ちPPPoEにも対応。無線LAN接続時は“IEEE802.11b”で2.4GHz帯を使用し、転送速度は11Mbpsとなっている。LAN用のRJ-45は1つのみだが、その分無線LAN接続でポート数をカバーしているといった印象だ。標準でPCMCIAカードタイプの無線LANカードを同梱しており、すぐに無線LANからのブロードバンド接続が利用できるようになっている。

 HDDレコーダ部はTVチューナ兼MPEG2エンコーダ。エンコーダがソフトウェアなのかハードウェアなのかは明らかになっていないが、筐体のサイズやCPUがファンレスであることなどや、TVチューナ兼MPEG2エンコーダとして完結した製品ではなく、同時に別の処理をこなさなければならないことなどからすると、専用のチップを別途搭載していると考える方が自然ではないだろうか。録画モードは長時間(2Mbps:約72時間)、標準(4Mbps:約36時間)、高画質(6Mbps:約24時間)の3種類から選択でき、解像度は長時間モードでは352×480ドット、標準と高画質モードでは720×480ドットになる。iEPGによる予約やいわゆる“追っかけ再生”にも対応。

 さらにTransCube 10では、この映像をそのまま無線LANを通じてノートPCなどに転送できること。無線LAN仕様上の制限からビットレートTVや録画した動画を最大のウリは、TVチューナで受信した映像をそのまま無線LANを通じて他のPCへ送信できること。もちろん録画したデータも無線LAN接続されたノートPCなどから鑑賞可能だ。無線LAN転送時の画質はTV映像/録画データともに2Mbps相当になる点には注意が必要だが、これは無線LAN仕様上の問題なのでやむを得ないだろう。



同梱品
付属品も豊富で、写真のAVケーブルにTVアンテナケーブル×2、そしてEthernetケーブルにTVアンテナのスプリッタも同梱。ノートPCがあればとりあえずワイヤレスTVを楽しめる

 価格はT-ZONE.PC DIY SHOPで12万9800円。一般業務に使用するPCであれば、必要十分なスペックを持ち、さらに液晶モニタとセットで購入してもお釣りが来そうな金額であり、割高感は否めない。しかし、TVチューナの受信映像をリアルタイムに無線で飛ばすという芸当は既存のソフトウェアだけでは困難であり、TranceCube 10の大きなアドバンテージだろう。もちろん、TVチューナ兼MPEG2エンコーダと無線ブロードバンドルータがセットになった製品というのもこれまでに例がなく、これだけでも注目に値するのは間違いない。「TVとインターネットを家中のPCで共有したい」、そんなワガママな人にはたまらない製品ではないだろうか。なおT-ZONE.PC DIY SHOPによれば、Dynabookのオプション品ではあるものの、その仕様上、基本的には他社製のPCや自作PCとも組み合わせられるとのこと。



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