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日本IBM、エンタープライズサーバ2機種を発表

2002年05月09日 22時17分更新

文● 編集部

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日本アイ・ビー・エム(株)(以下、日本IBM)は、エンタープライズ向けサーバ製品『IBM eserver iSeries』と『IBM eserver zSeries』の新機種を発表し、記者発表会を行なった。

新たに発表されたのは、『IBM eserver iSeries モデル890』と、『IBM eserver zSeries 900 Turbo』。両製品ともサーバを論理分割してそれぞれの区画で異なるOSを動作させることができる。

『IBM eserver iSeries モデル890』

『IBM eserver iSeries モデル890』『IBM eserver iSeries モデル890』

『IBM eserver iSeries モデル890』は、プロセッサに新開発のPOWER4-1.3GHzを搭載した『IBM eserver iSeries』の最上位機種。最大32Way構成までシステムを拡張することが可能で、従来製品と比べて処理性能が約2倍に向上しているという。

また、『IBM eserver iSeries』で利用可能な新OS『OS/400 V5R2』も同時に発表された。『OS/400 V5R2』は64ビットLinuxをサポートしており、Linuxシステムを停止することなくシステムリソースの配分が可能になっている。これは,「Project eLiza」の成果である、

  • ユーザー認証をシングルサインインで実現し、ユーザーごとのアクセス権限などをネットワーク上で安全に管理する「EIM」(Enterprise Identity Mapping)機能
  • 複数のシステムが動作する2台のマシンでフェイルオーバークラスタを実現する「Swiched Disk Clustering」機能

などを利用することができる。今後は『AIX 5L』を論理区画上で動作させることを予定しているという。

『IBM eserver iSeries モデル890』と『OS/400 V5R2』は、8月に出荷開始される予定。

日本IBM理事 ミッド・マーケット・サーバー事業部長の花井貢氏によると、今後はSI企業などビジネスパートナーとの協業を強化してゆくという。

日本IBM 理事 ミッド・マーケット・サーバー事業部長 花井貢氏
日本IBM 理事 ミッド・マーケット・サーバー事業部長 花井貢氏

同氏によると、本日の発表を受けて、SI事業を行なっているTIS(株)が『IBM eserver iSeries』をベースとして、複数の業務を統合するシステムインテグレーション事業やデータセンター事業を進めるという。

『IBM eserver zSeries 900 Turbo』

『IBM eserver zSeries 900 Turbo』
『IBM eserver zSeries 900 Turbo』

『IBM eserver zSeries 900 Turbo』は、1チップあたり300MIPS以上の計算能力を持つ「CMOS 8SE」を最大16基搭載し、既存機種と比べて約1.2倍の性能を実現している。また、内部仮想TCP/IPソケットである『HyperSocket』のパフォーマンス改善や、ハードウェア暗号化処理機能を強化し、トランザクション処理性能も強化されている。そのほか、旧モデルと同様に、論理分割されたシステムごとの処理量にあわせて自動的にリソース割り当てを最適化する「IRD」(Intelligent Resource Director)機能も利用可能だ。

z/Linuxのための機能拡張として、既存のストレージへのアクセスを可能にするFCP(Fibre Channel Protocol)サポートやIPv6サポート、PCI暗号化アクセラレータのサポートといった機能も追加された。

ラインナップは2C1から216までの16種類。価格は個別商談ごとに決定される。ハードウェアと保守料金の参考価格は、月額1800万円程度から(2C1モデル、メモリ10GB、OS別、5年リース契約の場合)。出荷開始は5月15日を予定している。

次に,日本IBM エンタープライズ・サーバ製品事業部の星野裕氏は、昨年よりパイロットプログラムが行なわれていた『SAP Application Server on z/Linux』を5月から正式に出荷すると発表した。

日本IBM エンタープライズ・サーバ製品事業部 星野裕氏
日本IBM エンタープライズ・サーバ製品事業部 星野裕氏

『SAP Application Server on z/Linux』は、独SAPとIBMが共同で提供するアプリケーションサーバシステム。ユーザーはプラットフォームにz/Linuxまたはz/OSを選択して組み合わせることができる。日本での提供は現在検討中だという。

IBMは「メーカー」に回帰します

日本IBM 取締役 BP & システム・PC製品事業担当の橋本孝之氏は、今回の製品発表の背景である事業戦略を説明した。

日本IBM 取締役 BP & システム・PC製品事業担当 橋本孝之氏
日本IBM 取締役 BP & システム・PC製品事業担当 橋本孝之氏

それによると、同社は今後、サービス事業よりもハードウェアテクノロジにフォーカスし、ソリューションはSIなどのパートナー企業を通じて提供するという「メーカー回帰」を進めるという。一方で、単なる「箱売り」になることは避けたいとし、ハード事業とパートナー事業を一体化することを明らかにした。

今回発表された2製品についても、TCOを削減するというソリューションのために、サーバの自動管理など「ハードでできることはハードで行なう」ことを実現する製品であるという。将来は、ネットワーク上にある異機種間での自動ワークロード管理などを実現させ、「お客様はハードウェア環境を意識せずに使える環境」を提供したいと語った。

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