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日本能率協会、“2002年度・第18回総合生産優秀賞”を発表

2002年04月10日 00時30分更新

文● 編集部 田口敏之

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(社)日本能率協会は9日、“2002年度・第18回総合生産優秀賞(TP賞)”を決定したと発表した。

TP賞は、1982年に同協会の創立40周年を記念して設けられた表彰制度で、生産性向上に向けたマネジメントに、優れた実績を上げた事業所(会社、グループなど)を表彰するもの。今回受賞したのは、旭化成マイクロシステム(株)の延岡製造所、カルビー(株)の清原工場、(株)東芝の連結子会社である福岡東芝エレクトロニクス(株)、本田技研工業(株)の埼玉製作所の4事業所(50音順)。各事業所のTPマネジメントと、受賞理由については以下の通り。

旭化成マイクロシステム 延岡製造所
旭化成マイクロシステムは、LSIの開発から設計、製造、販売までを一貫して行なう企業。同製造所は、顧客ごとの多様な要求に柔軟に応え、融通の利いた運営を行なうため、“マイクロTPマネジメント(μTPM)”という、独自のTPマネジメント活動を展開している。これにより、目標の設定段階に、品種ごとの目標を営業・開発・製造所で共有するだけでなく、“WHAT(課)”“STEP(係)”“JUMP(個人)”で個別に目標を展開し、各人が主体性のある取り組みを行なえるようにしている。また、目標達成のための人材支援・能力開発と、業績評価を統合する体制を築いている。μTPMの実施は、同社が開発した『TP MOS(ティーピー・モス)』というμTPM支援ソフトウェアを利用しており、目標展開から施策実施・評価までを一貫したシステムの中で行なうことを可能にしている。同製造所はTPマネジメントの導入後、着実な成長を続けており、受賞に至った。
カルビー 清原工場
カルビーは、菓子・食品の製造・販売を行なう企業。同工場は、全社方針である“CS(顧客満足)”“ES(従業員満足)”“SS(社会満足)”“GS(地球満足)”という“4つのS”に沿った全体目標を設定する。全体目標は“マネジャー”“フォアマン”“現場作業者”にそれぞれ分けて、具体的な施策として展開する。目標に対する具体的な施策の決定は、従業員からの自発的な提言によるものだという。そして設定した、個別の施策を実行する人材に対しては、必要な技能・技術支援を行なう。課題を、個人レベルの極めて具体的な施策にまで分解し、それに対して迅速かつ活発な支援を行ない、着実に成果を上げている点が評価され、受賞に至った。
福岡東芝エレクトロニクス
半導体製品の製造を行なっている福岡東芝エレクトロニクスは、世界規模での競争を見据え、品質・納期・サービス体質の強化を狙う“チャレンジ目標”と、コストを抑え価格競争力を付ける“セービング目標”の2つをクロスさせて目標を設定する。その目標を、プロジェクトを7つの着眼点のもとに発進させる“MIPJ(マネジメント・イノベーション・プロジェクト)”とし、予算システムと連動してスピードアップを図り、半年前倒しで目標を達成するという成果も上げている。その際、設定された目標のニーズに応じて、人材に必要な技術・技能向上の支援も行なっている。また、自己申告入塾制の技能訓練所“NEP(熱風)塾”を設置している。塾出身者の数が多くなるにつれ、品質水準の実績が明確に向上しているという。これらの活動と成果により、受賞に至った。
本田技研工業 埼玉製作所
本田技研工業は、二輪車、四輪車、汎用製品の製造と販売を行なう企業。埼玉製作所は、乗用車の車体組み立てを行なう狭山工場と、そのエンジンを生産する和光工場の2工場で構成される。同製作所では、定量化した生産体質の総合目標を、“安全・モラル・品質・コスト・デリバリー”に置き、ユーザーの視線から見て、製品の評価の基準となるモジュールやユニットに目標を展開する。その上で、目標を達成するための課題と施策を設定する。目標項目と重点施策を段階的に明確にすることにより、従業員のベクトルを集中させるとともに、現状を把握しやすくしている。また、自前の講師による訓練所“HONDA塾”のほか、関連部門を巻き込む形で行なうミーティング“Q-Day”“C-Day”“D-Day”における相互研鑽により、人材育成と課題解決に取り組むシステムが定着している。人と組織を活性化させるシステムが、ドライビング・フォースとして作用しており、機能完結的かつ自立的な活動を行なっている点が評価され、受賞に至った。
TP賞審査委員長である秋庭雅夫東京理科大学教授
TP賞審査委員長である秋庭雅夫東京理科大学教授

TP賞審査委員長である秋庭雅夫東京理科大学教授は「最近、業績を上げるために会社の体力を削るという従来の考え方が、業績は結果であり、会社は体力をつけていかないと長続きできないという考え方に変化してきた。その中で、社内教育が“人材の育成”から“目標達成の支援”へと変化し、業務に直結してきている。TPマネジメントでは、企業全体として何がしたいのか、詳細かつ体系的に目標を定めて、達成するための施策と人材育成を行なう構造が先になければならない。ある部分の目標未達は、経営目標の未達につながるが、その中での技能や技術、能力開発の支援は、その効果も明確に見える。今回受賞した各事業所も、総合生産目標の達成に、社内教育や能力開発体制が直結しているという点で共通しており、世相を反映した変化と言える」と述べた。

TP賞の贈賞式ならびに受賞記念講演は、6月18日に東京都大手町の経団連会館で、同協会が開催する“2002 総合生産性優秀賞受賞記念講演会”にて行なわれる。

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