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PODは復活したか?――オンデマンド印刷の専門トレードショー“ON DEMAND Printing JAPAN 2002”開催

2002年04月04日 17時25分更新

文● 千葉英寿

オンデマンド印刷関連の専門イベントである“ON DEMAND Printing JAPAN 2002”が、4月3日~5日の3日間にわたり、新宿NSホール(東京・西新宿)において開催されている。主催はオンデマンドプリンティング推進委員会。オンデマンドショー初日の3日、米エレクトロニクス・フォー・イメージング(EFI)社 CEOのガイ・ゲット(Guy Gecht)氏、米CAPベンチャーズ社のチャールズ・A・ペスコJr.(Charles A.Pesko,Jr.)氏らによる基調講演が行なわれた。また、恒例となった“オンデマンドアワード 2002”の入賞社発表および表彰式が行なわれたが、残念ながら今回、大賞については対象社なしという結果となった。

●“ON DEMAND Printing JAPAN 2002”

オンデマンド印刷、バリアブル・プリンティング、“Print On Demand”(以下POD)といった言葉が使われるようになって久しいが、決定的なアプリケーションに乏しく、ビジネスモデルも育っていない状況で、いまだに専門用語の域を出ず、一般への浸透はいま一歩といった感が否めない。最近では、印刷離れの進行などが影響し、ますます影が薄いような印象すら受けていた。しかし、ここに来てプリントとインターネットに関わる新たな提案やOne to Oneビジネスとの関連など、PODにとってよい材料が増えてきている。そのPODの将来を占うイベントが“ON DEMAND Printing JAPAN 2002”だ。

オンデマンドショーはコンサルティング会社の米CAPベンチャーズ社が米国において開催しているものでオンデマンド印刷関連のイベントでは最も知られている。同社とGSM社が提携を結び、2000年より国内において開催しているのがON DEMANDPrinting JAPANだ。企画・運営はこの2社があたっているが、日本印刷技術協会(JAGAT)、JPC(Japan Publishing Consortium)といった印刷分野の専門団体が後援し、富士ゼロックスやキヤノン/キヤノン販売、イー・エフ・アイといったおもにオフィス・プリンティングに影響力を持つベンダーの協力により開催されている。3回目となる今回においても、セミナー、出展の双方に多くの関連ベンダーが参加している。

初日の基調講演では、米EFI社のCEO、ガイ・ゲット氏、米CAPベンチャーズ社マネージングディレクターのチャールズ・A・ペスコJr.氏、富士ゼロックス執行役員/インダストリーソリューションズカンパニー プレジデントの玉屋喜康氏の3氏が講演を行なった。

●基調講演は米国のオンデマンド印刷市場の動向から

ペスコ氏は米国でのオンデマンド印刷市場の動向を中心に話しを進めた。

米CAPベンチャーズ社のチャールズ・A・ペスコJr.氏
米CAPベンチャーズ社のチャールズ・A・ペスコJr.氏

オンデマンド印刷市場を動かすものとして、オフセット印刷からの転換や印刷までの流れがより自動化し、ロット規模が縮小することで導入しやすくなるデジタルワークフローをあげた。また、ウェブやデジタル技術の進展で電子ドキュメントへ統合され、電子文書管理を行なうサービスが新たなビジネスとして成り立つようになる、とした。印刷業の業態転換については、2000年には印刷ビジネスが75%で非印刷ビジネスが25%だったものが、2005年にはそれぞれ50%になるという予測をあげ、米国最大手の印刷会社、R.R.ドネリー社が25%以上を印刷以外で売り上げている実例を示した。
さらに「(ビジネスの世界では)いままで以上の変化が起きており、取引業者を絞ろうとする傾向は印刷業にも同様のことが言える。それには電子メディアも扱え、顧客のための提携関係が結べ、より幅広い事業に対応できる事業者が有利だ」とした。

数多くのプリンターメーカーのカラーコピー機をPostScriptベースのプリンターとするFieryカラーコントローラーなどを提供している米EFIのCEO、ガイ・ゲット氏は、ユニークな視点で講演を行なった。

米EFI社のCEO、ガイ・ゲット氏
米EFI社のCEO、ガイ・ゲット氏

ゲット氏は誤った予測をしてしまった例として「1977年にDEC(ディジタルイクイップメント社)のケン・オルセン氏は『家でコンピューターを使うことなど誰にも意味のないことだ』と語った。そしてDECはITトレンドを見誤り、最終的にはHP社に吸収された。マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏も1981年に『640Kメモリーがあれば誰にとっても十分だ』と誤った発言をしたが、修正がうまく結果的には成功した。その時の技術で充足していることで十分と考えがちだが、変革は続くものだ。米国特許庁は1899年に『発明されるべきものは、すべて発明された』としている」と紹介し、トレンドを見抜く必要性を示した。

続いて印刷トレンドとして、「印刷はますますカラーに移行してきており、携帯電話やPDAなどもカラー化している。にも関わらずオフィスのコミュニケーションツールである紙が十分にカラーになっていない。記憶力の80%がカラーで再生されることが認識されており、オフィスにおいてもカラーの請求書は30%も早く支払われる、という報告もある」と印刷カラー化の重要性を強調した。

バリアブルデータプリンティングについてゲット氏は、「例えば、旅行パンフレットの表紙写真をそれぞれの指向に基づいてカスタマイズし、バリアブル・プリントすることで、より多くの顧客を獲得できる。その対応ソリューションであるバリアブルデータテクノロジーを使えば、印刷の高速化が可能となる」とした。また、ワークフローの自動化については、出力最適化を促す同社のワークフローソリューション『Velocity』を紹介した。

さらに話題はモバイル・ソリューションにまで波及した。「モバイル化が進んでいるが、ひとつの機能がモバイル化されていない。それは印刷だ。印刷のモバイル性は印刷業界がサポートできる。モバイルは印刷業界の最大の脅威であるとともに最大のチャンスにもなりうる」と語った。そして、これに対する同社のテクノロジーである“PrintMe ネットワーク”を紹介した。PrintMeはドライバーを不要とし、離れた場所にある独自のID番号を持ったプリンターを遠隔操作し、“いつでもどこでも”印刷しようというシステムだ。

最後にゲット氏は4つのチェックポイントとして「Simple is Best~先端技術であってもシンプルであるべきだ」、「There Outside the Box~変化にとらわれず、クリエイティブな考えをもて」、「keep Learning~知識や知恵がアセットになる」、「think Big~子細な事に気をとらわれずに全体像を見据えろ」をあげ、締めくくった。

富士ゼロックス執行役員/インダストリーソリューションズカンパニー プレジデントの玉屋喜康氏
富士ゼロックス執行役員/インダストリーソリューションズカンパニー プレジデントの玉屋喜康氏。玉屋氏はVIPPなど自社の技術を紹介しつつ、廃液処理などの面で有効なPODと環境保全の関わりについて言及し、「環境保全の観点からもゼロックスはPODを支える」と語った

●オンデマンドアワード授賞式は大賞なし

基調講演の最後にはオンデマンドアワード授賞式が行われた。審査委員長は、JPC理事長の猪俣裕一氏。審査委員はJAGAT理事の小笠原治氏らがつとめた。猪俣氏によれば、「今回は他を圧倒して大賞を得る応募社はなかった。そうした中で、オンデマンド印刷の特徴を生かしたビジネスを地道に提供している、レーエとアオキ・オフィス・サービスに対して審査委員会からの特別賞としてCAPベンチャーズ賞を贈った」とした。

受賞社は以下の通り。

“オンデマンドアワード2002”

みつわ印刷(株)(イノベーティブ技術部門受賞)
・オンデマンド日記出版~980円の値付けで1冊から日記を印刷製本している。

(株)高速オフセット(ワン・トゥ・ワン・コミュニケーション部門)
・デジタルポストカード~スポンサーがコストを負担することにより、コンシューマが葉書を無料で印刷・郵送するサービスを提供している。

“オンデマンドアワード2002 CAP ベンチャーズ賞”

(株)アオキ・オフィスサービス(デジタルプリント部門)
・名刺印刷

(株)レーエ(デジタルプリント部門)
・フリーペーパー印刷

オンデマンドアワードの授賞社
オンデマンドアワードの授賞社のみなさん。右端は猪俣審査委員長、左端は審査委員の小笠原氏、その隣は同委員ペスコ氏

●展示会場には印刷関連30社以上が出展、クラスター対応システムが具体化

展示会場については、さして大きな会場ではないものの、富士ゼロックス、キヤノン/キヤノン販売、リコー、日本ヒューレットパッカードといった一般でもよく知られているプリンター関連企業をはじめ、印刷関連企業30社以上が出展していた。

全体的な特徴としては、一昨年より見受けられたクラスター型のプリントシステムを構築できるプリントサーバーの提案が具体化してきたようだ。

リコーのブース
リコーのブース。imagio Colorの左下に床置きされているのが、EFI社製PostScript 3カラーサーバーF51pro/F51

キヤノンは、バージョンがVer.2.0に上がったサーバソリューション『AHT DocumentServer for Canon』を同社のデジタル複写機『imageRUNNER iR8500』、カラー複写機『CLC 5000』などとの組み合わせで出展していた。リコーでは、『imagio Color 5100/5105』と『プリンタユニットタイプF51pro/F51』の組み合わせを紹介し、関連技術であるEFIの出力ワークフローソリューション『Velocity』を参考出展していた。同技術は富士ゼロックスブースにおいても紹介された。

富士ゼロックスブース
富士ゼロックスブースでは、『DocuTech 6180』を活用してパーソナル/カスタムドキュメント印刷を実現するソフトウェア『VIPP(Variable DataIntelligent PostScript Printware)』を紹介していた

いずれも複雑な出力環境をコントロールする機能を持っており、カラー/モノクロの違い、速度の違いといった特性の異なる多種多様なプリンター・デバイスの混在環境をコントロールし、最適な出力ジョブを行なうことが可能だ。さらにクロスプラットフォーム対応であること、Adobe PostScript 3純正RIPである点、さらに異なるアプリケーションで作成した文書の面付け、サーバー上での修正作業などさまざまな編集機能を併せ持つ。

キヤノンブース
キヤノンブースでは『AHT Document Server for Canon』を中心としたソリューションを紹介していた

いろいろな点で共通する部分が多い2製品だが、参考出展にとどまったVelocityと比べ、自社開発のサーバーとプリンターの組み合わせを提案していたキヤノンの方が即時実現性が高いように見うけられた。とはいえ、富士ゼロックスをはじめ、世界中のプリンターベンダーにコントローラーを提供しているEFIの今後の展開は見逃せない。

日本HPブース
designjetを中心に展開していた日本HPブース

簡易製本関連も出展されていた。
インターコスモスではPOD対応のスピード製本機『fastback model 8』を出展した。特殊な接着テープであるLテープとページを同機を使って挟み込んで、熱圧着して製本する。思った以上に丈夫な仕上がりで数百ページのものを数ページ分もってぶら下げてもはずれない。昨年10月から販売開始された同機は東京・神奈川地区の小・中学校だけですでに100台以上が導入されている。価格が19万8000円と低価格だったのが購入へとつながったようだ。

小型・低価格の製本機『fastback model 8』
小型・低価格の製本機『fastback model 8』。Lテープは両面タイプもあり、くるみ製本も可能とのことだ

来場者プロフィールについては、過去2回見てきて今回も同様に印刷専業が中心となって来場者を構成してはいるようだが、若干だが印刷物発注者、つまり一般のビジネスユーザーの来場も増加傾向にあるようだ。これはさらなる社内コストの削減を目指してPODが再び注目されつつあるのか、それともインターネットとの連動を含めた新しい印刷アプリケーション開発に興味を示す一般企業が増えている証なのか定かではないが、興味深い傾向と言えるだろう。まだまださまざまなビジネスチャンスが埋もれていると思われる印刷業に対して、異業種参入が起きても不思議ではない。

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