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【PalmSource 2002 Vol.1】『Palm OS 5.0』日本語版は6月リリース──搭載機は年内出荷へ

2002年04月01日 23時43分更新

文● 編集部 佐々木千之

3月28、29日の両日、都内のホテルにおいて、Palm機のアプリケーション開発者向けイベント“PalmSource Japan Forum 2002”が開催された。基調講演では『Palm OS 5.0』のデモンストレーションが行なわれたほか、OEM向けの出荷時期が6月であることが明らかになった。

PalmSourceは日本で3回目。米PalmSource社が米パーム社と分離後初の開催となった
PalmSourceは日本で3回目。米PalmSource社が米パーム社と分離後初の開催となった

3回目の開催となる今回のPalmSourceでは、前回(2001年2月)披露され、出荷も間近いとされるPalm OS 5.0が話題の中心。また展示会場では、出荷が始まったばかりのソニーの折りたたみ型CLIE『PEG-NV70V』や、27日にパームコンピューティング(株)が発表したばかりの廉価版カラーPalm機『Palm m130』が展示されて注目を集めた。

米PalmSource社のCEOに就任したデビッド・ネイゲル氏
米PalmSource社のCEOに就任したデビッド・ネイゲル氏。米AT&T社や米アップル社の要職を務めた経験を持つ

28日に行なわれた基調講演は、米パーム社から分離し、1月に設立したばかりのPalm OS事業会社、米PalmSource社のデビッド・ネイゲル(David Nagel)CEOが務めた。内容は開催時期が近かったこともあってか、2月に米国で行なわれた“PalmSource Conference and Expo”をほぼ踏襲するものとなった。

PalmこそがPDA市場のリーダー

(株)コンピュータ・ニュース社による2001年10月~2002年2月の日本のPDA市場シェア。Windows CEが19%だが、Pocket PCに限れば10%であるとしている
(株)コンピュータ・ニュース社による2001年10月~2002年2月の日本のPDA市場シェア。Windows CEが19%だが、Pocket PCに限れば10%であるとしている

ネイゲル氏は「Palm機は6秒ごとに1台売れており、この6年間に2100万台が販売された、パーソナルハンドヘルドデバイスのマーケットリーダーだ。米国でのシェアは80%近くに達しており、日本でも58%ある。Pocket PCのシェアは10%程度であり、6倍近い差になっている。マイクロソフトやほかのベンダーが活発にマーケティングを行なっているにもかかわらず、我々はこれだけのシェアを維持している」と、小型携帯情報端末市場においてはPalm機がリーダーであるとアピールした。

医療機関でのPalm機の利用事例として、東京大学付属病院の例が示された
医療機関でのPalm機の利用事例として、東京大学付属病院の例が示された。東大付属病院では患者の手首にバーコードの付いたストラップを巻かせ、バーコードリーダー付きのPalm機で、間違った投薬が起こらないよう管理しているという

そしてネイゲル氏はPalm機がリーダーの地位にあることのベースとして、現在約20万人おり、毎週2000人ずつ増加しているというPalm OS開発者のサポートを挙げた。この20万人には1万5000人の日本人も含まれているという。コンシューマー向けアプリケーションの数はこの1年でほぼ倍増したほか、企業向けアプリケーションについても、正確な数は分からないものの、数千のアプリケーションあり、Palm OSが企業向けプラットフォームとしても使われているとした。そのほか、教育機関や医療分野でもPalm機が伸びる可能性があると述べた。

(株)セガはPalm OS向けにゲームを開発中で、高速3Dライブラリーとパズルゲームのデモを行なった
(株)セガはPalm OS向けにゲームを開発中で、高速3Dライブラリーとパズルゲームのデモを行なった。画面は3Dライブラリーのデモで、複数の立方体にテクスチャーを貼り付けたものを回転させている
米R. Zane Rutledge社が開発中のアドベンチャーゲーム『TICK TOCK』
米R. Zane Rutledge社が開発中のゲーム『TICK TOCK』。『MYST』ばりの美しいグラフィックスとサウンドによるアドベンチャーゲームという

さらに今後2004年には5000万台もの小型携帯情報端末が出荷されるとの資料を示し、いつでもどこでも素早く情報にアクセスするために「パソコンからハンドヘルドデバイスへの置き換え現象が起こると考えている」と述べた。またこれからの小型携帯情報端末では、これまでの主要な機能であったPIMに加え、BluetoothやIEEE 802.11a/b、3Gなどのワイヤレスコミュニケーション機能が重要なものになるとの考えを示した。

Palm OS 5.0の画面。ハイレゾグラフィックスに完全対応し、アイコンも高解像度のものを用意する
Palm OS 5.0の画面。ハイレゾグラフィックスに完全対応し、アイコンも高解像度のものを用意する

Palm OS 5.0関連では、買収によって米Be社からPalmSource社の最高技術責任者(CTO)に就任したスティーブ・サコマン(Steve Sakoman)氏が登場して説明した。

PalmSource社CTOのスティーブ・サコマン氏
PalmSource社CTOのスティーブ・サコマン氏。かつてアップルで『Newton』の開発を手がけた。またBe社の創業者の1人でもある。米パームのBe買収で移籍した

サコマン氏はOSのデザイン哲学として“Practical innovation(革新的であること)”“Intuitive simplicity(シンプルであること)”“Trustworthy technology(信頼できること)”を念頭に開発を進めているとし「Palm OSはPDAだけのものではなく、電話や電子書籍、マルチメディアプレーヤー、ゲームコンソールなどさまざまなデバイスに広がっていく」とビジョンを示した。そしてその未来のための最初の一歩がARMプロセッサーのサポートだという。ARMプロセッサーを選んだ理由としては、パフォーマンスがよく、さまざなまデバイスで利用できる柔軟性があり、提供しているベンダーが多く(※1)、開発者が自分にあったものを選択できるためであるとした。

※1 PalmSource社は、複数社をプロセッサーのパートナーとしており、今回のPalmSourceでも、米インテル社、米テキサス・インスツルメンツ社、米モトローラ社の開発者用のARMプロセッサー評価ボードを使ってデモンストレーションした。

従来のモトローラ製『DragonBall(68000系)』からARMプロセッサーへのプラットフォームの移行に関しては、ユーザーのソフト資産や開発者の市場を壊さないよう、スムーズに移行できるようコンパチビリティーに最大の注意を払って行なっているという。

将来のPalm OSに向けて力を入れているという3つのポイント
将来のPalm OSに向けて力を入れているという3つのポイント

また今後のPalm OSの開発にあたって力を入れていく機能のポイントは“コミュニケーション”“セキュリティー”“(マルチ)メディア”であるという。コミュニケーションでは音声、インスタントメッセージング、電子メール、ワイヤレスLAN、ウェブブラウザーなどの開発を、セキュリティーではユーザーデータの保護、ネットワークコネクションやソフトウェアインストール時のセキュリティー確保に関する技術開発を、メディアでは音声やビデオフォーマットの記録/再生、ディスプレーの高解像度化、音声認識など多様な入力方法などをサポートする計画であるとしている。

直近のPalm OS 5.0については、Palm OS 4.1のAPIを使用した32bitネイティブOSで、コンパチビリティーを確保していると述べた。Dragonball向けに書かれた従来のアプリケーションはCPUエミュレーションによって動作させるが、エミュレーションを行なってもバッテリーの持ちが悪くなることはないという。OS 5.0はカーネルからARMネイティブのものとして開発し、プロセス間のメモリー保護機能も持たせたとしている。

Palm OS 5.0による68000系アプリケーション動作速度の比較(Palm m505を1としている)
Palm OS 5.0による68000系アプリケーション動作速度の比較(Palm m505を1としている)。APIのみを使った場合は非常に高速に実行されることがわかる
グラフィクAPIを使った場合のグラフ。200MHzではハイレゾグラフィックスにおいても高速となっている
グラフィクAPIを使った場合のグラフ。200MHzではハイレゾグラフィックスにおいても高速となっている
“最悪のケース”という、アプリケーションがAPIを使わず内部処理する場合は、74MHzのARMプロセッサーでは、m505より遅くなってしまう
“最悪のケース”という、アプリケーションがAPIを使わず内部処理する場合は、74MHzのARMプロセッサーでは、m505より遅くなってしまう
しかし、その“最悪のケース”も、アプリケーションをARMネイティブに書き換えれば、19倍~61倍も高速になるという
しかし、その“最悪のケース”も、アプリケーションをARMネイティブに書き換えれば、19倍~61倍も高速になるという

アプリケーションの動作速度については、グラフを示しながら説明した。ARMプロセッサーは動作速度が50~300MHzと製品によって大きく異なり、なにを比較するかが難しいとしながらも「たいていの場合はARMプロセッサー(+Palm OS 5.0)のほうが数倍速い。OSのAPIをまったく使わず、アプリケーションがすべて内部で処理するというのが最悪のケースだが、そうした場合は(75MHzなど)低速のARMプロセッサーでは68000系より遅くなってしまう。ただし、もしそれをARMネイティブに書き直しさえすれば、数十倍高速化される」としている。

「この1年に売られたアプリケーションの86%がOS 3.5以上のものだった。これはユーザーが新しいハード/ソフトを購入していることを示すものだ」とし、新しいOSとデバイスへの移行は比較的速やかに行なわれるという見解を示した。

Palm OS 5.0英語版/日本語版は6月出荷

基調講演後には、ネイゲル氏、サコマン氏を交えてプレス向けの記者会見が行なわれた。

記者会見でのネイゲルCEOとサコマンCTO
記者会見でのネイゲルCEOとサコマンCTO

ネイゲル氏は「Windows CEやLinuxなど、PDA分野では厳しい競争が始まっており、現在のPalm OSのリードを維持していく必要がある。そのためのステップとしてはOS 5.0が非常に重要だ。OS 5.0ではARMプロセッサーに対応することで、20~30倍高速化できる。これによって、マルチメディア、ワイヤレス通信、セキュリティー機能など、今まではPalm OSでは考えられなかったことが可能になる」と述べた。OS 5.0のリリース時期については「春の終わりか夏にはリリースする」と発言したが、「具体的には何月か」とつっこまれると、サコマン氏が替わって「夏の初めとは6月。日本語版は英語版と同時リリースする」と答えた。

27日に発表し、展示会場で初の一般公開となった『Palm m130』27日に発表し、展示会場で初の一般公開となった『Palm m130』。液晶は小さめながらかなりコントラストが高く見やすい印象だ

日本市場については「優れたソフトが開発されてきた、非常に大切な市場だ。特にエンターテイメントやゲーム分野で優れている。また、消費者が厳しいことも特徴で、技術を見る目を持っている。この1年間で、日本のPalm OSライセンシーがシェアトップを取ったことがその証拠だ」(ネイゲル氏)と述べた。

モトローラが展示していた、ARMベースの『DragonBall-MX1』の開発用キット
モトローラが展示していた、ARMベースの『DragonBall-MX1』の開発用キット

Palm OS 5.0対応機ではハードウェアの仕様が高度になり、価格が上がってしまうのではないかという質問には「Pocket PCが採用するWindows CEなどと比べて、Palm OSはフットプリント(必要とするメモリー)が小さく、結果としてフラッシュメモリーやダイナミックメモリーが少なくてすむので、現在のPalm OS機と比べてさほど高くならないと期待している」(サコマン氏)と答え、Pocket PC機より安くなるとの見通しを示した。

日本テキサス・インスツルメンツが展示していた、ARMベースのスマートフォン向けチップセット『OMAP』の開発用キット
日本テキサス・インスツルメンツが展示していた、ARMベースのスマートフォン向けチップセット『OMAP』の開発用キット

Palm OS 5.0の出荷時期について6月を予定していることが明らかとなったが、この出荷時期は各ライセンシー(Palmハードウェアメーカー)への出荷であり、ユーザーが手にする製品がいつになるかという質問では「ライセンシーに関することなので」と明言を避けた。ただし、サコマン氏は基調講演の中で「OSをライセンシーに渡してから、製品が出荷できるようになるまでは最短で2ヵ月」と発言しており、計算上は最も早いライセンシーでは、8月~9月に出荷できる状態になることになる。ARMプロセッサーという新しいプラットフォームへ移ることを考えれば、ソフト/ハードの動作検証に相当の時間がかかることは想像に難くないが、順調に開発が進むとすれば2002年末までにPalm OS機が出荷されることも夢ではないようだ。

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