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「IBM FORUM 2002」Linux関連展示レポート

2002年03月01日 07時12分更新

文● 編集部

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日本アイ・ビー・エム(株)は、2月27日から3月1日まで、「次世代e-ビジネスと企業革新」をテーマに掲げた「IBM FORUM 2002」を開催した。会場には、先日発表されたばかりのIBM eserver zSeries 800モックアップモデルなどの同社製品、技術の紹介だけでなく、パートナー企業によるソリューションの展示なども行なわれていた。この記事では、Linux関連の展示についてレポートする。

z800モックアップモデルIBM eserver zSeries 800のモックアップ。残念ながら、展示会場での実機デモは行なわれていなかった。

住友電工情報システム(株)

住友電工情報システム(株)は、同社が開発したJava開発環境『楽々Framework』を使用して開発したWebシステムのデモを行なっていた。

『楽々Framework』で開発したWebサイトのデモ
『楽々Framework』で開発したWebサイトのデモ。

『楽々Framework』は、当初は住友電工情報システム(株)の社内システムや、住友電気工業(株)の社内システム開発用に作られたツールであり、製品化される以前に十分な動作検証が行なわれているという。同製品はクラスライブラリや基本フレームワークだけでなく、開発者向けの教育プログラムも含まれたパッケージで提供される。動作するプラットフォームはRed Hat Linux 6.2またはAIX上で、アプリケーションサーバにIBM WebSphere、データベースエンジンにDB2を使用する。

また、同社はこのツールを利用して開発したECサイト構築ツールや生産管理システムなども販売しており、これらに関してはカスタマイズ要求にも答えるとしている。

(株)メディアフュージョン

(株)メディアフュージョンは、XMLデータベースエンジン『Yggdrasill』をインストールした3台のIBM eserver xSeriesを利用したデモを行なっていた。

『Yggdrasill』を使ったデモ
『Yggdrasill』を使ったデモ。3台のデータベースサーバから、特定の条件を含むデータだけをXPathで検索する。

『Yggdrasill』は、XML文書をRDBMSのテーブルにマッピングすることなくXMLの文書形式をそのまま利用してデータを格納することができるシステム。独自のXML問い合わせ言語であるXBathのほか、XPathに対応しており、XML文書をそのまま検索することが可能だ。

昨年12月に発売された『Yggdrasill 1.5』では、新たにオプションとして『パラレルツールキット』が用意され、データベースサーバの負荷分散や冗長構成が可能になったほか、3月に発売予定のEnterprise版では既存のRDBMSとの連携も可能になる予定だという。

(株)クラスキャット

(株)クラスキャットは、今月4日に発表された新製品『ClassCat WebSales 1.2 Petit EOS Edition』などのデモを行なっていた。

『ClassCat WebSales 1.2 Petit EOS Edition』のデモ
『ClassCat WebSales 1.2 Petit EOS Edition』のデモ。

同製品はBtoBの調達サイト構築ソリューション。ほかにBtoBの販売サイト構築ソリューションである『ClassCat WebSales 1.2 EDI Edition』も用意されている。両製品ともJavaベースのWebアプリケーションで、バックエンドのServletやデータベースエンジンを変更することで、大規模なシステムまでカバーするという製品。

主なターゲットは、既存の電話による取り引きをWeb上の取り引きに置き換えたい中小企業などが中心になるという。そのため、同製品とLinux、Apache、Tomcat、PostgreSQLなどをインストールし、設定まで行なったハードウェア『ECアプライアンス』の形で販売することが多いといい、同社ではこの『ECアプライアンス』製品の普及に努めたいとしている。

バックボーン・ソフトウェア(株)

バックボーン・ソフトウェア(株)は、昨年10月に発売したバックアップソフト『NetVault 6.5』によるバックアップのデモを展示していた。

『NetVault 6.5』によるバックアップのデモ
『NetVault 6.5』によるバックアップのデモ。

『NetVault 6.5』は、LAN、NAS、SANに接続されたストレージを自動的に認識し、GUIでバックアップの設定が可能なソフトウェア。デバイスドライバ、GUIなどがモジュールになっており、アプリケーション・プラグイン・モジュールを追加することで新しい機能を追加することができる。また、テープドライブなしでもディスクドライブ中に仮想テープライブラリを作成し、そこにバックアップをとることも可能だ。

同社担当者によると、次期バージョンも年内には発売される予定で、新機能としてバックアップデータ転送時のセキュリティ対策などが追加されるようだ。

プラットアイズ(株)

プラットアイズ(株)は、業務基幹システムに入力したデータをそのまま取引先のEDIシステムに自動で入力するツール『NARTシステム』を展示していた。

『NARTシステム』デモ
『NARTシステム』のデモ。基幹システムの入力画面(一番上のウィンドウ)からデータ送信の命令を実行すると、『NARTシステム』が取引先のWebサイトを見に行き、必要な項目を入力する。デモでは、実際に入力されたサンプル画面(2番目にあるブラウザ画面)も出力していた。

同製品は、業務基幹システムに入力したデータの内容を解析し、取引先EDIサイトの入力形式にあわせたデータを生成、Webブラウザをエミュレートし取引先EDIの入力画面に自動的にデータを入力するというもの。入力が成功したかどうかは、サーバ管理者にメールで通知される。同製品を利用することで、業務基幹システムに入力したデータをいちいち取引先EDIサイトに入力する手間を省くことが可能になる。

内部処理はXMLで行なわれており、担当者によると、これから徐々に増加すると予想される、XMLベースの企業間取り引きにも対応可能であるという。

(株)ミロクドットコム

(株)ミロクドットコムは、ERPアプリケーション『clear works』のデモを行なっていた。

『clear works』のデモ
『clear works』のデモ。ERPアプリとは思えないほど美しいインターフェイス。

同製品はサーバサイドで販売、会計、給与管理が可能なWebベースのERPソフトウェア。通常のERPソフトと異なり、インターフェイスにもこだわった製品になっている。また、ユーザーIDごとにアクセス権を設定し、業務の割り振りが可能なほか、社外の税理士、公認会計士によるコンサルティングや操作指導を含む「clear works Accountingパートナー制度」といったサポート体制も用意されている。

トレンドマイクロ(株)

トレンドマイクロ(株)は、ファイルサーバ監視ツール『Server Protect for Linux』や、Webフィルタリングソフト『InterScan WebManager』のデモを行なっていた。

『Server Protect for Linux』
『Server Protect for Linux』の設定画面。実際にウイルスをファイルサーバへコピーしようとして止められてしまうといったデモが行なわれた。

『Server Protect for Linux』は、Sambaなどのファイルサーバに侵入するウイルスを監視するソフト。設定や管理はWebブラウザを利用してリモートから行なう。また、イベント発生時には指定したメールアドレスに通知を行なうことも可能だ。

『InterScan WebManager』は、ブラックリスト方式のフィルタリングソフト。ユーザーIDやIPアドレスをもとにしたグループ単位でポリシーを設定することができる。リストは収集したURLを1つ1つ専任者が目視確認し、データベースに反映する。

担当者によると、これまでの同社製品では、データ更新の際にはクライアント側からリクエストを出してデータベース更新を行なう必要があったが、将来的にはトレンドマイクロ(株)からクライアントにデータを送信する形にすることも検討しているという。


今回のイベントでは、「次世代e-ビジネスと企業革新」というテーマに沿って、WebサービスやWebアプリケーションなどとの関連を強調する展示内容が人気を集めていたようだ。Linux関連展示では、JavaやXMLなどの技術を利用した製品が目立った一方、サポートのあり方やパッケージングなどでの差別化が目に付いた。新しい技術に対応するだけでなく、その技術を使って何ができるか、そのためにどれだけの支援をすることができるのかを積極的に提案する姿が目立つ会場となっていた。

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