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【ROBO-ONE Vol.1】『先行者』開発者も応援!――2足歩行ロボット格闘競技大会予選

2002年02月02日 22時10分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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世界初の2足歩行ロボット格闘競技大会“ROBO-ONE 第1回大会”が2日、日本科学未来館で開幕した。

参加者ブース
参加者たちのブース。皆さん、出番ギリギリまでロボットの調整に余念がない。「昨日歩けるようになった」「今朝できた」という人が多数

ROBO-ONEは、アマチュアのロボット製作者たちが作成したロボットたちによる格闘競技大会で、2足歩行ロボットたちが人間の格闘スポーツを同様に、リング上で試合を行なうというもの。本日は予選大会で、エントリーしたロボットたちが、1体ずつ観客の前でそれぞれ得意のパフォーマンスを行なった。エントリーした38体のうち、実際に予選に出場したのは29体、その中で実際に歩けたものは半数程度だった。

エントリーNo.2
エントリーNO.002『Petapy(ペタピイ)』(大越信明さん)。盾と矛を持ち、歩行中倒れそうになっても盾と矛で身体を支え、大越さんの「立ち上がれ!」という音声コマンドで、写真の状態からでも見事に立ち上がる
エントリーNo.4観客大注目のエントリーNo.004『RC-GUNDAM(アールシーガンダム)』(松本大輔さん)。ガンダムプラモに小型サーボを内蔵したもの
エントリーNo.13エントリーNo.013『JSRF-M1(ジェイエスアールエフ エムワン)』。レゴ マインドストームの大家:Jin Sato氏がカナダから参加。うまく歩けなかったが、カナダの旗を振って観客を楽しませてくれた
エントリーNo.30エントリーNo.030『YRCドム(ワイアールシードム)』(片迫春夫さん)。こちらはドムのプラモをベースに作成、見事な歩行で予選を2位で突破

明日3日行なわれる本選(決勝トーナメント)に進む予選上位16体は以下の通り(予選通過順)。

  • エントリーNo.001『R-BlueIII』(吉村浩一さん)
  • エントリーNo.030『YRCドム』(片迫春夫さん)
  • エントリーNo.009『TA-17』(藤野裕之さん)
  • エントリーNo.014『毘夷零号機』(佐藤豊さん)
  • エントリーNo.004『RC-GUNDAM』(松本大輔さん)
  • エントリーNo.002『Petapy』(大越信明さん)
  • エントリーNo.011『adamant』(滝沢一博さん)
  • エントリーNo.015『バルキー』(岡本圭一さん)
  • エントリーNo.025『A-Do』(菅原雄介さん)
  • エントリーNo.020『ブロッサム』(柴田善広さん)
  • エントリーNo.012『FIERCE-01』(井上裕二さん)
  • エントリーNo.024『和風先行者』(大森智さん)
  • エントリーNo.003『MK-2IR-2』(増渕裕介さん)
  • エントリーNo.038『MIKE2002HU』(森永英一郎さん)
  • エントリーNo.008『RWK06K』(福地栄作さん)
  • エントリーNo.031『アニメイダー』(柳琢也さん)

実際にロボット同士が戦う大会本選は明日3日、日本科学未来館で行なわれる。

滑るリング
リング上は滑りやすく、参加者とそのロボットたちは悪戦苦闘。「滑りやすいほうが簡単な制御で動作できる」(ROBO-ONE委員会)ので、わざと滑りやすくしたそうだが、そのせいで上手く歩けなかったロボットも少なくなかったようだ。ちなみに、桑本がリングを触ってみた感想は「これじゃAIBOも滑るんちゃうか?」

『先行者』の特別展示も

また、日本のインターネットユーザーに大人気の中国製ヒューマノイド型ロボット『先行者』のパネル展示/説明が行なわれるということでも注目を集めている。『先行者』は、中国/長沙国防科学技術大学三院機器人実験室が開発、2000年11月29日付けで発表した人型走行ロボットで、高さ1.4m、重量20kg。残念ながら、ロボット本体は“国家機密”のため大学から外に出せないとのことで、今回、パネルとムービーが展示されている。

先行者正面なぜか日本で大人気の、中国“国家機密”2足歩行ロボット『先行者』。この端正な顔立ちでウインクしてくれるらしい

『先行者』は、下肢、胴体、腕、頭部およびそれぞれの分散型ロボット制御システムで構成されており、足が6自由度×2、腕が2自由度×2、頭が1自由度。腕の肩関節は肘関節と同期して駆動し、頭は左右に回転させることが可能。それぞれの関節はゲイン可変サーボ制御となっており、システムモニターと制御、運動パターン生成は組み込み向け工業用パソコンで行なう。

平地での前進後退歩行、左右への移動、左右への旋回が行なえるほか、4cm程度の段差の階段を昇ることも可能。なお、下肢との協調で腕を前後に振るという。また、歩きながら頭も同時に廻すことが可能で、目でウインクもできるという。耳は2つで小型スピーカーを搭載し、簡単な言葉を発することも可能。モーターパワーは100W。センサーは、位置センサーや加速度センサーを内蔵するという。

先行者斜め背面階段を昇る先行者
先行者側面横から見ると、本体が薄いことが分かる

今回、開発者の馬宏緒同大学教授、周華平同大学副教授が特別ゲストとして登場、先行者について説明した。馬教授は、「『先行者』は、制御システムの研究のため、'86年に開発をスタートしました。早稲田大学との学術交流の際、加藤一郎先生の2足歩行ロボットを見て、同じ形のロボットを研究しようと思ったのです。日本のロボット技術は非常に高く感心しています」と語った。また、ROBO-ONEの競技を見て「非常に感動しました。ロボット製作のトレンドを見せてもらいました」と感想を述べた。

馬先生と周先生
『先行者』の開発者、馬教授(右)と周副教授(左)

なお、同大学では、蛇型ロボット、昆虫型ロボットも開発したという。蛇型ロボットは、長さ1mで、移動速度が毎分15.6m。頭部に無線操作可能なビデオカメラを搭載する。なお、“蛇皮”を着用すると水中で遊泳できるという。

蛇型ロボット
蛇型ロボット

昆虫型ロボットは、1つの足ごとに2自由度を持ち、計12自由度となっている。歩行速度は毎秒12cm。5cmの障害物を乗り越えることも可能。重量は1.5kgで、さらに1.5kgのものを搭載できるという。ロボット本体とコントローラー間で、無線通信による情報交換も可能という。

昆虫型ロボット
昆虫型ロボット

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