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LinuxWorld EXPOレポート(その2)

2002年02月01日 00時00分更新

文● 塩田紳二

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さて、昨日より開催されたLinuxWorldExpoのもようを引き続きレポートする。

LinuxWorld Expoは、コンファレンス(日本でいうセミナー)と展示からなるイベント。ただし、コンファレンスはお安いものではない(3日間のコンファレンス参加で650ドル)ため、多くの来場者は、展示を見るだけの参加である。

会場の雰囲気は、以前にくらべてずいぶんと変わった。出展者のほとんどは、具体的な製品を持つメーカーやソフトハウスであり、サービス、サポートのみといった企業はまったく見られなくなった。また、ハードウェアは、ほとんどが大手企業で、一部ボードなどに小さな企業が出展しているのみ。ただのPCにLinuxを載せて「サーバ」というだけの企業はまったくなくなってしまった。結局は、ハードウェアとインテグレーションが可能な大手企業のみが残ったという感じだ。

ソフトウェアは、ディストリビューターとXimianなどのアプリケーションソフトハウスなどだが、目立つのは組み込み系の会社。今回は、組み込み系Linuxを扱う会社をまとめた“The Embedded Linux Pavilion”というコーナーが作られていたが、それ以外の場所にも出展があった。

ハードウェアは、米IBM、米Hewlett-Packard、米Compaq Computer、米Sun Microsystemsといった大手メーカーが中心で、このクラスの企業だと、従来からのミニコン、メインフレームの技術があるために、大がかりなストレージシステムやラックマウントサーバ、クラスタなどが展示の中心。また、CPUメーカーである米Intel、米AMDも出展しているが、実際の展示のほとんどは、それぞれの会社のCPUを採用しているOEM企業である。

Sanjay氏
2日目のキーノートスピーチを行なったComputer Associates InternationalのSanjay Kumar氏。

2日目のキーノートスピーチは、大手ソフトハウスである米CA(Computer Associates International)のCEOであるSanjay Kumar氏。合間に流れるコマーシャルビデオは面白かったが、やはり内容は同社のビジネスに関するもの。CAもLinux対応は進めており、多くの製品がLinuxに対応している。もともと、CAは、メインフレームやワークステーション、サーバ向けの管理ツールなどをパッケージとして持っているため、これらをLinuxに対応させ、ビジネスの範囲を広げているところ。

展示会場で、大きなブースを構築しているのは、大手ハードウェアメーカー。IBMは今回、Linuxを基本OSにしたzSeries(昔のメインフレーム)を発表したが、そのzSeriesも展示されている。中を見ると、さすがにパソコンとはハードウェアが違う。CPUも巨大で、その冷却用の空気を流すパイプが自動車のエンジンのようにも見える。メンテナンス用のコンソールにはThinkPadが組み込まれている。正面から見ると標準ラックよりもいくらか大きいだけだが、奥行きはその倍以上ある。

HPやCompaqは、現在ではインテル系CPUをメインに利用するサーバが中心になりつつあるため、IBMなどに比べると大きいといっても標準ラック程度。もっとも、両社とも、AlphaやPA-RISCのLinuxなども一応展示している。そういえば、この2社が合併してしまうと、出展社がまたへってしまうのかも。

かつては、日本のメーカーの出展もあったが、今回は、日本企業の出展で目立ったのは、シャープとソニー。シャープは、Linux搭載PDAの展示だし、ソニーはPS2のLinuxである。特に、シャープのブースでは、開発者向けのSL-5000Dを販売(399ドル)していて、そこで購入している人をけっこうみかけた。やはりちょっとは触ってみたいシロモノ。いま非常に気になるLinuxマシンといえるかもしれない。



シャープブース
Linuxを搭載し、QtでGUIを構築しているシャープのSL-5500。
SL-5500オプション
SL-5500で利用可能なオプション類。国内でシャープがZaurus用に販売しているもののほか、サードパーティのイーサーネットカードなどがある。
SL-5500開発者バージョン
会場で開発者向けのバージョンを399ドルで販売していた。見ているとけっこう買っている人がいた。
iPaqRed Hatも組込用Red hat LinuxをCompaqのiPaq Handheldに搭載してデモを行なっていた。
AMDのラックマウントAMDブースにあったAthron-MPを採用したラックマウントサーバ。APPRO社のAppro1124。1Uサイズの中にAthrom MP 1900+が2つ搭載され最大4台のハードディスクドライブを装備できる。
AMDのクラスタやはりAMDブースに置かれていたクラスタシステム。Linux NetworxのEvolocity 4500。
CompaqのDLT
Compaqが出展していたDLTのマスストレージシステム“Compaq Data Protection Solutions for Linux”。本体からDLTカートリッジ番号を指定して取り出し8台のテープドライブで読み書きを行なう。
Compaqのクラスタストレージ同じくCompaqのクラスタストレージシステム“Smart Array Cluster Stroge”。並んでいるのはほとんどがハードディスクである。
zSeriesIBMのeserver zSeries。かつてメインフレームと呼ばれていたマシンである。中程にあるパイプの奥にCPUがある。
zSeriesのCPU
zSeriesのCPU。パソコン用とはくらべものにならないぐらい大きい。セラミックのベースの上にいくつもチップが配置されている。キャッシュやメモリコントローラーなどもここに載せられている。
SPECTRAその1 SPECTRAその2
SPECTRA LOGICのテープストレージシステムSpectra 64000。最大32台のテープドライブを内蔵でき、166.4TBytesの記録ができる。液晶ディスプレイで動作状態などを確認でき、SCSI、ファイバーチャネル、ギガビットイーサーネットなどで接続が可能。

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