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JEITA、電子工業の国内生産見通しを発表――2001年は過去最大の前年比15.3%減

2002年01月31日 01時01分更新

文● 編集部 田口敏之

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(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は30日、2001年(1月~12月)の国内電子工業の生産見込みおよび、2002年の生産見通しについて発表した。それによると、2001年は米国をはじめとする世界のIT需要の減少などを受け、生産総額は22兆1631億円、前年比15.3%減となる見込み。15.3%の下げ幅は過去最大で、これまでの最大は1992年の前年比12%減だった。

電子工業生産推移
電子工業生産推移のグラフ

2001年を、民生用電子機器、産業用電子機器、電子部品・デバイスの3つの分野別に見ると、以下のようになる。

  • 民生用電子機器:デジタルカメラやカーナビゲーションシステム、液晶テレビの売り上げは順調に推移したものの、従来型のカラーテレビやDVDビデオなどの、デジタルAV機器の海外生産シフトが進み大幅に減少、1兆9278億円で前年比12%減
  • 産業用電子機器:携帯電話の好調に支えられたが、パソコンの価格が低下し、コンシューマー市場の低迷を受け、11兆749億円で同9.7%減
  • 電子部品・デバイス:民生・産業用電子機器の減少と輸出減少の影響を受け、9兆1604億円で同21.8%減
  • JEITA会長の森下洋一氏JEITA会長の森下洋一氏

    JEITAによれば、2001年の日本経済は、米国経済の冷え込み、IT関連分野での需給悪化を契機に景気が後退し、個人消費も低迷する中で、9月に米国で発生した同時多発テロ事件の影響を受けて、先行きの不透明感が一層進んだという。JEITA会長の森下洋一氏は「原因はいろいろあるだろうが、日本経済がいかに海外からの影響に弱いかを示している」と述べている。

    JEITAは、2001年の見通しを生産総額27兆7582億円、同7.1%増と発表していたが、実際は過去最大のマイナス成長となってしまった。森下氏は「今回の発表は、本来なら1ヵ月前に発表するもの。2001年の実態と2002年の見通しについて、昨年の二の舞にならないように発表を1ヵ月遅らせ、JEITAとして取りまとめた」としている。

    2002年電子工業生産見通し[総括表]

    2000年実績 2001年見込み 2002年見通し
    民生用電子機器 2兆191億円(108%) 1兆9278億円(88%) 1兆8886億円(98.0%)
    産業用電子機器 12兆2611億円(106.5%) 11兆748億円(90.3%) 11兆814億円(100.1%)
    電子部品・デバイス 11兆7149億円(117.1%) 9兆1604億円(78.2%) 9兆3501億円(102.1%)
    電子工業合計 26兆1672億円(111.2%) 22兆1630億円(84.7%) 22兆3201億円(100.7%)
    2000年実績は経済産業省の生産動態統計によるもの。かっこ内は対前年比

    一方、JEITAは2002年を、冬季オリンピックやサッカーのワールドカップなどが開催される“スポーツイヤー”と位置づけている。これによって、BSデジタル放送関連の需要の伸びが期待できるという。また、電子政府などによってIT関連の需要が盛り返すものと見ている。全体としては、前半は厳しい状況が続くものの、後半には回復の兆しが鮮明になると期待している。生産総額の見通しは22兆3201億円、前年比0.7%増で、微増としている。各分野別の見通しは、以下の通り。

  • 民生用電子機器:海外生産が多いAV機器は減少するが、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステム、液晶テレビなどが県庁な伸びを見せる見込みで、1兆8886億円、前年比2%減
  • 産業用電子機器:携帯電話は新規需要の伸び悩みにより微増、パソコンはコンシューマー市場よりも、政府のIT化強化策などにより、官公庁、自治体を中心に堅調に推移していく見通しで、11兆814億円、同0.1%増
  • 電子部品・デバイス:携帯電話とパソコンの需要回復が年後半にずれ込むと見られるものの、機器部分が先行回復する見込み。半導体集積回路は微増に止まるが、液晶デバイスが伸びる見通しで、9兆3501億円、同2.1%増
  • この見通しについて森下氏は「2002年度の見通しというのは、少なくとも前半は今のような状態が続くのではないかと思っている。ただ、半導体の一部、電子部品の一部、携帯電話、またAVのデジタル関連の商品が、少し明るいような兆しも出てきつつある。しかしそう急回復は見込めない。中盤から後半にかけて期待している。後半に上昇していくだろう。最終的な数字にして言えば、0.7%の微増」としている。

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