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【2002 CESレポートVol.6】次世代書き換え型DVD技術や、“DVD+R”規格対応DVDレコーダーが展示

2002年01月11日 20時48分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ラスベガスで開催中の“2002 International CES”において、(株)東芝の米国法人である東芝アメリカコンシューマープロダクツ社は青色レーザーを使った記録容量30GBの次世代書き換え型DVD技術を公開した。またオランダのロイヤル フィリップス エレクトロニクス社の米国法人フィリップス エレクトロニクス社は初の“DVD+R”規格対応DVDビデオレコーダーを発表した。本稿では2002 CESにおける、記録型DVDに関連した話題をまとめてお伝えする。

次世代大容量書き換え型DVD

東芝が自社ブースで公開したのは、現行のDVDと同じサイズ(直径120mm)の光ディスクに、波長405nm(ナノメートル)の青色レーザーを使って毎秒35Mbpsで書き込み/読み出しを行なう、記録容量30GBの書き換え型光ディスク技術。HDTV映像の記録を主なターゲットとして、東芝が独自に開発した。

東芝が2002 CESで新しく発表した、片面単層30GB容量を持つ次世代書き換え型DVD規格
東芝が2002 CESで新しく発表した、片面単層30GB容量を持つ次世代書き換え型DVD規格
光学ピックアップ部分
光学ピックアップ部分

ディスクの山部(ランド)と溝部(グルーブ)の両方に記録トラックを持つ“ランド&グルーブフォーマット”と呼ばれるトラック構造と、再生信号の処理に雑音増幅が小さく高密度記録において信号の識別誤りが少ないという特徴を持つ、PRML(Partial Responce Maximum Likelihood)技術を組み合わせることで、次世代の大容量書き換え型DVD技術で、片面単層としては最大容量となる30GBを可能にしたとしている。

東芝が発表した規格の概要
東芝が発表した規格の概要

また、ファイルフォーマットに現行DVDとおなじUDF(Universal Disk Format)を採用しており、ビデオ画像記録といったAV用途のほか、コンピューターの記録用途にも使いやすいよう考慮したという。

次世代大容量書き換え型DVD規格には、松下電器産業(株)、日本ビクター(株)、(株)日立製作所らが片面2層で50GBの容量を持つ規格を、またソニー(株)、フィリップス、パイオニア(株)が片面単層で22.5GBの容量を持つ“DVR-Blue”規格があり、東芝方式は第3の規格となる。

東芝デジタルメディアネットワーク社、コアテクノロジーセンター光ディスク開発部の竹原慎太郎氏によると、東芝方式のメリットは、単層でHDTV映像を3時間記録できる30GBの大容量であることという。また、東芝方式をDVD規格の標準化団体DVDフォーラムに次世代標準規格として提案する予定であるとしている。実際の製品の投入時期は、販売戦略もあり未定だが、純粋に技術的観点から見た場合、2、3年で十分実用化できるとしている。

松下の片面2層で50GB容量を持つ次世代書き換え型DVDビデオレコーダー
松下の片面2層で50GB容量を持つ次世代書き換え型DVDビデオレコーダー

2002 CES会場では、東芝のほかに松下電器産業の米国法人パナソニックコンシューマーエレクトロニクス社とパイオニアの米国法人パイオニアエレクトロニクス社が、それぞれ、自社が推す規格のレコーダーの展示を行なっていた。ただし、内容はこれまでに日本で“CEATEC”などにおいて公開したものと同じだった。

パイオニアの“DVR-Blue”規格のDVDビデオレコーダー
パイオニアの“DVR-Blue”規格のDVDビデオレコーダー
韓国のサムスン電子社が展示していた“HD-DVD”レコーダー。片面単層で23GBの記録容量を持つ
韓国のサムスン電子社が展示していた“HD-DVD”レコーダー。片面単層で23GBの記録容量を持つ

“DVD+RW”と“DVD-RW”陣営の動き

ソニー、フィリップス、(株)リコー、ヤマハ(株)など“DVD+RW”規格を推す企業の団体である“DVD+RW Alliance”は9日、2002 CES会場近くのホテルでプレス向けレセプションを開催した。このレセプションとほぼ時を同じくして、DVD-RAM/-R/-RWというDVDフォーラムで標準化された規格を推進する団体である“Recordable DVD Council(RDVDC)”も2002 会場内でプレス向けのブリーフィングを行なった。

DVD+RW Allianceによるレセプションでは、参加したプレス全体への説明や発表はDVD+RW Allianceから一切行なわれず、会場に設けられたDVD+RW Alliance参加企業のブースで技術展示のみが行なわれた。逆にRDVDCのブリーフィングでは、RDVDCの活動の説明や記録型DVDの市場分析、およびDVDフォーラムで策定されたDVD-RAM/-R/-RWの相互運用性を保証する規格“DVD-Multi”のサポートの発表などが行なわれた。

RDVDCが示した、スーパーマルチドライブへの変遷
RDVDCが示した、スーパーマルチドライブへの変遷
初めてDVD+Rに対応したフィリップスの『DVDR985』
初めてDVD+Rに対応したフィリップスの『DVDR985』

2002 CESにおける、DVD+RW Allianceの大きな話題は、フィリップスが“DVD+RW”規格のライトワンス版である“DVD+R”規格をサポートした民生用DVDビデオレコーダー『DVDR985』を米国時間の7日に発表したことだ。DVDR985は希望小売価格999ドル(約13万2000円)で、米国市場で2月に発売の予定としている。

DVD+RWがCD-RWと同じ相変化型記録方式なのに対して、DVD+RはCD-Rと同じ色素型記録方式となっている。このため、信号を読みとる際の反射率がよりDVD-ROMに近いものになり、結果としてDVDプレーヤーとの再生互換性が向上するという。DVD+RWもDVDプレーヤーでの再生互換性の高さをうたっていたが、フィリップスによるとDVD+Rでは今後登場するDVDプレーヤーに対して100%に近い互換性を持つという。

米バーベイタム社のDVD+RWとDVD+Rメディアのパッケージ
米バーベイタム社のDVD+RWとDVD+Rメディアのパッケージ
DVD+RWメディアの記録面(左)とDVD+Rメディアの記録面(右)の比較
DVD+RWメディアの記録面(左)とDVD+Rメディアの記録面(右)の比較

ライトワンス型の記録型DVDメディアとしては“DVD-R”が存在するが、DVD-RとDVD+Rの違いについて説明員に尋ねたところ、「ライトアットワンスで書き込んだ場合はDVD-RとDVD+Rの違いはないと言ってよい。マルチセッション(追記)書き込みに関しては、DVD-Rは現在サポートしておらず、DVD+Rでのみ可能だ。将来DVD-Rがサポートする可能性はあるが、規格の仕様上、元のデータと追記したデータとの間にギャップを設けなくてはならず、これがDVDプレーヤーで再生したときに問題となる可能性がある。DVD+Rでは、追記した場合でもギャップが生じない」と述べ、追記を行なった場合にDVD+Rにメリットがあるとしている。

リコーは記録済みのDVD+RWディスクをPlayStation 2で再生するデモを行なっていた
リコーは記録済みのDVD+RWディスクをPlayStation 2で再生するデモを行なっていた

DVD+RW Allianceメンバーの中でも、今回DVD+Rのサポートをアナウンスしたのはフィリップスのみであるが、リコーもDVD+Rをサポートしたドライブを計画していることを認めており、フィリップスが出荷開始する2月からそう遠くない時期にリコーも正式発表するものと思われる。

DVD+Rのメディアについては、三菱化学(株)の米国法人バーベイタム社が、フィリップスのDVDR985出荷にあわせて供給を始めるという。メディアの価格については、店頭価格で1枚10ドル(約1300円)程度になるのではないかとしている。なお、現在のDVD+RWメディアは1枚およそ15ドル(約2000円)で売られているという。

なお、2002 CESの展示会場では、DVD-RWやDVD-RAMに対応したDVDビデオレコーダーが試作品も含めて多数の展示が行なわれていた。

サムスン電子のDVD-RAM/-Rビデオレコーダー『DVD-R3000』
サムスン電子のDVD-RAM/-Rビデオレコーダー『DVD-R3000』
シャープのDVD-RW/-Rビデオレコーダー『DV-RW1』
シャープのDVD-RW/-Rビデオレコーダー『DV-RW1』
ヤマハのDVD+RWビデオレコーダー『DV-R2000』
ヤマハのDVD+RWビデオレコーダー『DV-R2000』

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