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【MACWORLD EXPO/SF Vol.2】基調講演速報第2弾――すべてのコンポーネントをあるべき姿に保った新型iMac

2002年01月08日 21時31分更新

文● 林 信行

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“Macworld Conference & Expo/San Francisco 2002”の開催前日イベントとして行なわれたスティーブ・ジョブズCEOの基調講演の後半は、登場から3年目を迎えて大幅にモデルチェンジしたiMacの紹介に費やされた。

ジョブズは、iMacが1998年の5月から今日にいたるまで合計600万台を出荷したベストセラー製品だと語る。それを新しく生まれ変わらせることは大きな挑戦だが、アップルは、同社の中心戦略、“デジタルハブ”としての機能をすべて備え、これからのデスクトップパソコンがあるべき形を示すことに全力を傾けた。

新型iMacはアップルのデジタルハブ戦略の中心
新型iMacはアップルのデジタルハブ戦略の中心、新しいiPhotoはもちろん、これまでPower Mac G4最上位モデルでしか利用できなかったiDVDも利用可能になっている

まずは液晶を搭載することを決めた。
続いてユーザーから要望が多かったPowerPC G4も搭載した。
また同様に要望が多かったスーパードライブ(CD-RW書き込みにも対応したDVD-Rドライブ)も最上位モデルに採用した。

スーパードライブはやはりパイオニア社製のようだ
スーパードライブはやはりパイオニア社製のようだ

また従来のiMac用のビデオチップよりも3倍近く高速な米NVIDIA社のGeForce MX(32MB DDR RAM搭載)を搭載している。

アップルはこの新型iMacを開発するために2年の歳月をかけたが、その中でも最も頭を悩ませたのは製品のデザインだった。

ジョブズはコンシューマー向けデスクトップパソコンのあるべき姿は“All-in-One”型だと強く信じていると語る。だが、どういう形状にすればいいかは悩みの種だった。

コンシューマー向けデスクトップパソコンのあるべき姿は“All-in-One”型
ジョブズはコンシューマー向けデスクトップパソコンのあるべき姿は“All-in-One”型だと強く信じているという

最も簡単な方法は、薄型の液晶を搭載したのを受けて、これまでのiMacの筐体をそのまま薄くしてしまうことだが、それはあきらかに間違いだと分かっていた。

例えば薄型にしてしまうと、光ドライブを側面から入れる縦型にしなければならず、それではドライブスピードが大幅に遅くなってしまい、スーパードライブの搭載も不可能になってしまう。

新型iMacの形状として、最も安易な発想
新型iMacの形状として、最も安易な発想がこれまでのiMacをそのまま薄型にしてしまうというもの。実際、こんな形状の液晶デスクトップ機は市場にたくさん出回っている。しかし、これにはドライブ速度以外にもいろいろと使い勝手の上で問題が多い

ジョブズはアップルが新iMacの開発こそ「10年に1度の、デスクトップパソコンの姿を再考する機会」だととらえたと語り、新iMacのデザインこそ今後10年はまったく古くならない斬新なデザインだと強調した。

10年に1度のチャンス
アップルは新iMacの開発こそ、10年に1度のパソコンのデザインを再考するチャンスだととらえたという

アップルが新デザインで最も気を配ったのは“個々のコンポーネントがそのあるべき姿”を保てるようにすることだった。
こうして生まれたのがあの独特の半球型デザインだ。
新iMacではあの半球の中にメイン基板はもちろん、ドライブやすべてのポート、Air Macカードスロット、さらには電源ユニットまですべて内蔵している。

半球型筐体にすべてが詰め込まれている
CDジャケット程度の高さの半球型筐体に本体、ドライブ、そして電源ユニットのすべてが詰め込まれている

ジョブズが“優れたエルゴノミクス”を実現したと語るデザインでは、ネックと言われる部分を使って、液晶パネルを本体前方180度好きな向きに向け、上下約90度の範囲で動かして高さ調整も可能。また液晶面も下方向に5度、上方向に30度まで傾けることができる。

最大の特徴が「the neck」
新iMacの最大の特徴が「the neck」と呼ばれるこのステンレス製の首の部分。首を上下左右に動かしても液晶面の角度を一定に保ってくれる。手で合わせた高さ、向き、角度でぴたりと止まり遊びも少ない秀逸な出来だ

この優れた仕様と性能、そして秀逸なデザインが高く評価され遺伝子工学の最先端企業として名高い米Genetech社でも1000台の新型iMacの納入が決まっている。

米Genetech社はすでに1000台のiMacを
米Genetech社はすでに1000台のiMacの納入を決定。iMacはコンシューマーだけでなく大企業やSOHOユーザーなどにも広く利用されている

ジョブズの紹介に続いて、スクリーンにはiMacがラップ音楽に合わせて首振りダンスをしながら登場するビデオが披露され、ミュージシャンのSEAL、写真家のAnnie Lebovitz、映画監督のフランシス・フォード・コッポラ氏らが動機を絶賛した(映像は[http://www.apple.com/hardware/video/newimac_intro.html]で見ることができる)。

ミュージシャンのSEAL氏
思わず「このiMacはここに置いていってくれるんでしょ」と本望を口にするミュージシャンのSEAL氏

講演が終わり会場の外に出ると、サンフランシスコの街並みは新型iMacの広告で覆われていた。

夜まで会場内にいたのでこんな写真に
講演が終わったのは正午前だが、夜まで会場内にいたのでこんな写真になってしまった
新型iMacではキーボードやマウスの色も刷新された
新型iMacではキーボードやマウスの色も刷新された
米国でのスペック
米国でのスペックはこの通り。PowerPC G4とスーパードライブを搭載しているにも関わらず最上位モデルでも1799ドル(国内価格22万4800円)と安価。人気が高そうな最上位モデルから順に1、2、3月に発売する
CPU用ファンを排気孔の真下に再び搭載してしまった
一つ心配なのは、静粛性実現のために搭載をやめたはずのCPU用ファンを、この排気孔の真下に、再び搭載してしまったこと。ただし、これは初採用の超静粛型ファンでその音はドライブの回転音よりも小さいという
中央のアップルロゴは、iPod同様の鏡面仕上げ
中央のアップルロゴは、iPod同様の鏡面仕上げ。どうやらこれからしばらくアップル社はこのホワイト&メタルのテーマで通すようだ

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