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インテル、“McKinley”のパイロット出荷を12月中に開始――正式出荷は2002年半ばか

2001年12月07日 00時42分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は6日、都内でプレス向けに企業製品戦略に関する説明会を開催した。席上、米インテル社のマイク・フィスター(Mike Fister)副社長兼エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長は現行の『Itanium』の2倍の性能を持つ第2世代Itanium“McKinley”(マッキンリー)を、サーバーメーカーのパイロット製品(※1)向けに12月中に出荷することを明らかにした。

※1 メーカーが、正式出荷(量産出荷)に先駆けて、特定の顧客だけに向けて出荷する製品。

米インテル社のマイク・フィスター副社長兼エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長
米インテル社のマイク・フィスター副社長兼エンタープライズ・プラットフォーム事業本部長。右手に持っているのはMcKinley

フィスター氏はまず、企業向けサーバーの四半期ごとの出荷推移グラフや、IAベースのサーバーとRISCベースのサーバーによるベンチマークテスト結果を示し「'96年以降の出荷の伸びのほとんどはIAサーバーの伸びによるものだ。IAサーバーのパフォーマンスも向上し、業界の標準的ベンチマークテストTPCベンチマークの上位はすべてIAサーバーによるものとなった」と述べて、IAサーバーの優位性をアピールした。

1996~2001年第2四半期までのサーバー出荷数グラフ(水色の部分がIAベースのサーバー)
1996~2001年第2四半期までのサーバー出荷数グラフ(水色の部分がIAベースのサーバー)

次にIA-64(64bit IA)とIA-32(32bit IA)に分けて、2003年までのプロセッサーロードマップなどについて紹介した。

2002年はMcKinleyの年になる

IA-64については、現行のItaniumプロセッサーに続いて、かねてからのアナウンス通り2002年に第2世代となるMcKinleyをリリースすると述べ、現在のMcKinleyのスケジュールに変更のないことを確認した。その上で、メーカーのパイロット版サーバー向けに、McKinleyの出荷を12月中に行なうことを明らかにし、「2002年はMcKinleyの年になる」と自信を見せた。こうしたパイロット版サーバー向けの出荷は現行のItanium(Merced:コードネーム)の際にも行なわれ、パイロット版への出荷後およそ半年で正式出荷を開始している。McKinleyも2002年半ばには正式出荷になると考えられる。

Itaniumプロセッサーのロードマップ
Itaniumプロセッサーのロードマップ。サーバー向けプロセッサーとしては、世代交代が速い
McKinleyプロセッサーの概要。現行Itaniumから大きくパフォーマンスアップするという
McKinleyプロセッサーの概要。現行Itaniumから大きくパフォーマンスアップするという

さらに2003年には0.13μmプロセス技術で製造する次々世代Itanium(McKinleyはItaniumと同じ0.18μmプロセス)である“Madison(マジソン)”と“Deerfield(ディアフィールド)”(※2)が登場予定となっている。これらのスケジュールは米インテルが8月に米国で開催した“IDF Fall 2001”で示した情報と変わっていない。

会場で展示していた、Itanium(右)とMcKinley(左)。McKinleyはプロセッサーモジュール部分のみ
会場で展示していた、Itanium(右)とMcKinley(左)。McKinleyはプロセッサーモジュール部分のみ

また現在のItaniumについて、「“現在のItaniumを出しているメーカーは、ただ試験的に出しているだけで、本命のMcKinleyを待っているのだ”という意見を目にするが、私はそうは思わない」とし、その理由として20社以上がハードウェア(サーバー)を出し、7種類以上のOSがあり、400種類以上のアプリケーションが移植中であることを挙げた。これによってユーザーのさまざまな要求に応じ、幅広いハードウェア、OS、アプリケーションの選択肢を提供できると強調した。

※2 MadisonとDeerfieldについては、0.13μmプロセス技術で製造し、3次キャッシュメモリーが6MBになるということまでしか明らかになっていない。

McKinley自身の性能については、Itaniumと比べて、より高速のバス、より低いキャッシュレイテンシー(遅延)、より多くのレジスター、より多くの実行ユニットを備え、動作周波数も1GHzに引き上げたことにより、同じプログラムコードを1.5~2倍の速度で実行できるとしている。

2003年にはブレードサーバーにもPentium 4

IA-32については、サーバー/ワークステーション向けには現行の『Pentium III Xeon』、『Xeon』、『Pentium III-S』に続き、“Prestonia(プレストニア)”と“Foster(MP)(フォスター)”が2002年、“Gallatin(ギャラティン)”が2003年に登場するとした。

サーバー/ワークステーション向けIA-32プロセッサーロードマップ。Pentium III-Sは2002年の途中までとも読める
サーバー/ワークステーション向けIA-32プロセッサーロードマップ。Pentium III-Sは2002年の途中までとも読める

Prestoniaは現行のXeon(Foster)の0.13μmプロセス版で、デュアルプロセッシングに対応するプロセッサー、Foster(Xeon MP)は現行のFoster(デュアルプロセッシング対応)に対する、マルチプロセッシング対応のプロセッサー。GallantinはさらにXeon MPの後継となるマルチプロセッシング対応のプロセッサーとしている。なお、Xeon MPは2001年第1四半期に発表予定としているが、11月27日に日本IBM(株)が、Xeon MPの正式発表に先駆けて、Xeon MPを搭載したサーバーを12月下旬に出荷開始するとアナウンスしている。

フィスター氏が示した図では、超小型/高密度実装向けサーバーである“ブレードサーバー”用のプロセッサー、Pentium III-Sが2002年までしか載っていないが、これについては「Pentium 4アーキテクチャー(Xeon)が進化していく過程で、Pentium IIIからPentium 4へ移行していく」と説明。将来(2003年?)ブレードサーバーにもPentium 4アーキテクチャーを搭載すると思われる。

続いてインテルが今後のXeonに搭載するという仮想マルチプロセッシング技術“ハイパー・スレッディング・テクノロジ”と、サーバー間を高速に接続する技術“Infiniband(インフィニバンド)”について説明した。いずれも、これまでにさまざまな機会で行なってきた説明と同じであったが、Infinibandとシステム内部の接続技術“3GIO(スリージーアイオー)”について誤解されている場合があるとし、その違いについて説明した。

Infinibandの特徴
Infinibandの特徴

それによると、Infinibandはあくまでも、データセンター内でのサーバー同士や、ストレージ、スイッチ向けの高速接続技術で、3GIOはコンピューター内部の非常に短距離のコンポーネント間を高速に接続する技術だとしている。

フィスター氏は最後に、IAは今後もさらに機能を充実させて、さまざまなサーバー/ワークステーションマーケットのセグメントにおいてシェアを獲得していくとして締めくくった。

なお、今日のインテルの説明会では、McKinleyのパイロット版サーバー向け出荷が12月であるということを除けば、基本的にIDF Fall 2001での情報から新しい発表は行なわれなかった。フィスター氏が最初に示したサーバー出荷数グラフを見ると、IAベースのサーバー製品が急速に数を増やしているが、増加の大部分はIA-32を搭載したオフィスの部内サーバーや小規模なウェブサーバーと考えられ、Itanium搭載のサーバーはまだそれほど大きな割合は占めていないと思われる。米サン・マイクロシステムズ社の数十のプロセッサーを搭載するようなハイエンドサーバーは好調な販売と伝えられており、2002年に出荷するというMcKinleyベースのサーバーが、どこまでハイエンドサーバー市場に食い込めるかが、インテルにとっての勝負になる。

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