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凸版印刷、PDA向け有料コンテンツポータル“@irBitway”を開設

2001年11月29日 09時50分更新

文● 編集部 佐々木千之

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凸版印刷(株)は27日、都内で記者発表会を開催し、PDAに向けた有料コンテンツポータルサイト“@irBitway(エアビットウェイ)”のサービスを30日午前10時10分に開始すると発表した。開始時には、PDAで読む雑誌や新聞、PDA用アプリケーションソフト、ゲームなど50社の約100種類のコンテンツを用意、2002年3月末までに300種類に増やすとしている。

“@irBitway”のトップページのイメージ。アクセスする端末を判別し、それに適した形で表示する
“@irBitway”のトップページのイメージ。アクセスする端末を判別し、それに適した形で表示する

@irBitwayにはパソコン、Pocket PC、Palm OS搭載機でアクセス可能。2002年春にはカーナビや次世代携帯電話にも対応する予定という。@irBitwayは凸版印刷が開発した課金システム“Check-Bitway”(後述)を使用したことが特徴で、PDAで@irBitwayにアクセスして直接コンテンツを購入できる。PDAで直接有料コンテンツを購入できるサービスは日本で初めてとしている。

Palm OS端末(ソニー(株)のCLIE)でアクセスした@irBitwayトップページ
Palm OS端末(ソニー(株)のCLIE)でアクセスした@irBitwayトップページ(以下、画面はプロジェクターに映したものを撮影した)

凸版印刷は'97年7月にパソコン向けのインターネットコンテンツ流通サービス事業“Bitway”を開始したが、現在出版コンテンツを中心に70社のコンテンツホルダーから1万種類のコンテンツを提供している。コンテンツの購入件数では月間で18万を超え、日本で最大級の有料コンテンツ事業であるとしている。

@irBitwayで提供予定のコンテンツ概要
@irBitwayで提供予定のコンテンツ概要

Bitwayでは自宅からアクセスするユーザーが中心で、1人で楽しむグラビア写真や占いといったコンテンツに人気があり、深夜(22時~翌2時)に購買が集中する“夜のビジネス”になっているという。これに対し今回の@irBitwayでは、PDAに対応することで、いつでもどこでも欲しいときにコンテンツを購入できる“ユビキタス・コンテンツショップ”を目指すという。

マガジンハウスが提供する“ちびmagnetcafe”のトップメニュー(サンプル)
マガジンハウスが提供する“ちびmagnetcafe”のトップメニュー(サンプル)

@irBitwayで提供するコンテンツとしては、(株)マガジンハウスの“ちびmagnetcafe”(毎週更新、料金月額500円)、(株)講談社の“PDAフライデー”(毎週更新、月額800円)、兼松コミュニケーションズ(株)の“ゲンダイ 芸能!特ダネ!”(月~金曜更新、月額500円)、(株)エディアの『ラーメンガイド50選』(月額500円)などを用意する。これらの有料コンテンツは(株)イリンクスのPalm OS用ウェブブラウザー『Xiino(ジーノ)』の“チャンネル形式”で配信するが、Pocket PC向けにはイリンクスと凸版印刷の協業によるPocket PC用Xiinoチャンネルビューアーをコンテンツとセットで提供することで対応する。

タカラのキャラクターを使った凸版印刷オリジナルのスケジューラーソフト『だっこちゃんダイアリー』
タカラのキャラクターを使った凸版印刷オリジナルのスケジューラーソフト『だっこちゃんダイアリー』

ソフトウェアでは、イリンクスのPalm OS用ウェブブラウザーに(株)タカラのキャラクターをデザインした『だっこちゃんXiino(ジーノ)』(2980円、2002年2月28日まで1000円)、凸版印刷オリジナルのPocket PC用PIMソフトにタカラのキャラクターをデザインした『だっこちゃんダイアリー』(2480円)。ゲームでは日本、韓国、米国およびヨーロッパからPDA用を約30タイトルを提供する予定。

記者発表では、カメラからのライブ映像コンテンツもデモンストレーションされたが、残念ながらトラブルにより動画でなく静止画になってしまった
記者発表では、カメラからのライブ映像コンテンツもデモンストレーションされたが、残念ながらトラブルにより動画でなく静止画になってしまった

さらに今後は米パケットビデオ社と協同で、ライブ中継などの動画コンテンツを提供するほか、さらに多くの技術パートナーやコンテンツホルダーと、モバイル環境にあった動画コンテンツの開発、提供を行なっていくとしている。

ワイヤレス、低価格商品対応のCheck-Bitway

Check-Bitwayは、デジタルコンテンツなどの比較的低価格の商品のオンライン決済向けに開発した課金システム。基本的にはクレジットカード(※1)を利用した決済だが、コンテンツ購入ごとに決済するのではなく、毎月、あるいはある件数ごとにまとめて決済する仕組み。今後、支払いをユーザーが利用しているプロバイダーや通信キャリアーの利用料と合わせて請求するISP課金/通信キャリアー課金や、電子マネー(ICカードを利用するもの)での支払いにも対応していく予定。また、映像コンテンツへの対応として、アクセスした時間を単位として課金する時間課金も予定している。なお、クレジットカード会社からユーザーへの請求は、まとめられるために、カードの明細書では購入の詳細が分からない。このため、オンラインで詳細な利用状況の参照が可能となっている。

※1 利用可能なカードはVISA、MasterCard、JCB、AMEX、Diners Club。

クレジットカード会社の明細書に出ない詳細な履歴は@irBitwayのサイトで確認できる
クレジットカード会社の明細書に出ない詳細な履歴は@irBitwayのサイトで確認できる

Check-Bitwayは、Windows、Macintosh、Pocket PC、Palm OSに対応しており、端末のOSを自動的に認識することによって、端末に合わせて表示を切り替えたり、端末のウェブブラウザーのバージョンを認識し、対応しないバージョン(SSL対応が必須)の場合に、パソコンでアクセスするようにメッセージを表示するといった機能がある。また、ワイヤレス環境での利用に対応して、コンテンツ購入作業の途中で回線が切断されても、再接続すれば切断された状態までは無条件に進めるといった機能も備える。

有名PDA関連サイトパートナーとのアライアンス

@irBitway事業の販売チャネルは、@irBitwayサイトだけでなく、PDA関連の各社/団体のサイトと提携して展開するという。サービス開始時のパートナーサイトはマイクロソフト(株)の“Club Pocket PC”、DDIポケット(株)の“Club H゛ For PDA”、パーム コンピューティング(株)の“Contents Shop”、カシオ計算機(株)の“GoodCrew Leche”、コンパックコンピュータ(株)の“iPAQnet”、Palm関連ソフトウェア情報サイト“Muchy.com”、Windows CE情報サイト“WinCEFAN”などとなっている。今後はBitwayと提携しているISPやEコマースサイト、家電量販店やコンビニエンスストアの店舗、ワイヤレス通信環境が整備されたホットスポットなどでの転換も予定している。

常務取締役兼Eビジネス推進本部長の東田収司氏
常務取締役兼Eビジネス推進本部長の東田収司氏

記者発表会で挨拶した、常務取締役でEビジネス推進本部長の東田収司氏はITバブルの崩壊によってインターネットビジネスから手を引いているところもあるが、私はこれからが勝負と考えている。。現在のネットワーク時代の次にはコンテンツの時代が来る。我が国のコンテンツビジネスを引っ張っていくつもりだ」と述べ、@irBitway事業には「かなり力こぶを入れている」と大きな期待を寄せた。

Bitway事業全体の今後の展開。ブロードバンド向け事業も2002年に開始する予定
Bitway事業全体の今後の展開。ブロードバンド向け事業も2002年に開始する予定

@irBitwayの事業目標は2002年度(2002年4月~2003年3月)に売り上げ5億円としている。先行する(パソコン向けの)Bitwayの2001年度の売り上げが10億円であり、パソコンとPDAの普及台数やインターネットへアクセスしている割合などを考慮すれば、比較的大きな目標と言えるかもしれないが、同社では積極的にコンテンツや販売チャネルの拡充、サービス提供端末の拡大(2002年度にはカーナビや次世代携帯電話にもサービスする)によって、PDA向けコンテンツ流通のデファクトスタンダードを目指す計画だ。

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