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タンベルグデータ、容量1TB超の次世代テープ規格を披露

2001年11月27日 23時37分更新

文● 編集部 佐々木千之

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タンベルグデータ(株)は26日、プレスカンファレンスを開催し、テープストレージ製品のロードマップと、1巻あたりの記憶容量が1TB以上という次世代テープストレージ規格“O-MASS(オーマス)”の概要について説明した。

このカンファレンスは、ノルウェーのタンベルグデータ社の日本法人であるタンベルグデータ(株)が設立10周年を迎えたことを記念して行なったもの。

タンベルグデータ代表取締役の大島啓孝代表取締役
タンベルグデータ代表取締役の大島啓孝代表取締役

まずタンベルグデータ代表取締役の大島啓孝代表取締役が同社のこれまでの歩みについて説明した。タンベルグデータは、テープストレージ規格である“SLR(Scarable Linear Recording)”(※1)ドライブと“DLT(Digital Linear Tape)”ドライブ、およびSLRとDLTドライブを搭載したテープライブラリー製品の開発・製造を行なっている企業。

※1 もともと米イメーション社の“QIC”規格から発展したもので、4分の1インチ幅のテープに固定ヘッドで記録する。DLTやAITなどほかのテープストレージ規格では、ローディング装置がテープをカートリッジから引き出してヘッドに接触させるのに対し、SLRでは音楽用カセットテープのように、テープはカートリッジから引き出さずにヘッドを接触させて記録する。このため、ドライブの部品が少なく、信頼性が高いとされている。

ノルウェーのタンベルグデータは'98年に米クアンタム社とDLTおよびSuper DLT(SDLT)製品の製造と販売に関して世界的に提携しているが、10月1日にその契約を拡張して関係を強化したという。これに伴なって、DLT/SDLTドライブの販売に当たっては、北米と中南米地域を米クアンタムが担当、残るヨーロッパ、中東、アジアパシフィック、日本をタンベルグデータが担当することになったことを明らかにした。この契約は、日本市場でクアンタムがDLT/SDLTドライブを販売できなくなるといった排他的なものではないとしている。販売地域を分けることでビジネスリソースの重複を避け、ほかのテープストレージ規格に対抗していく狙いがあるとみられる。

ノルウェーのタンベルグデータ、モーテン・トレヨルニンゲン副社長
ノルウェーのタンベルグデータ、モーテン・トレヨルニンゲン副社長

大島氏によるとタンベルグデータでは、これまで通りの販売代理店を経由した販売を継続するが、日本クアンタム ストレージ(株)の代理店との関係も含めて、より一層の関係強化を図るとした。

SLR企画の製品ロードマップ
SLR企画の製品ロードマップ

次に、ノルウェーのタンベルグデータのモーテン・トレヨルニンゲン(Morten Trehjørningen)セールス&マーケティング担当副社長が、同社の製品ロードマップについて説明した。SLR製品については、2004年までのロードマップを示し、2002年第4四半期に非圧縮容量80GBの“SLR160”、2004年に非圧縮容量200GBの“SLR400”をリリースするという。DLTドライブについても2002年第4四半期に非圧縮容量80GBの“DLT VS160”、2004年に非圧縮容量160GBの“DLT VS320”をリリースする。SDLTでは2002年前半に非圧縮容量160GBの“SDLT320”、2004年に非圧縮容量320GBの“SDLT640”、2005年に非圧縮容量640GBの“SDLT1280”、2007年に非圧縮容量1.2TBの“SDLT2400”をリリースする予定としている。

DLT/SDLT規格製品のロードマップ
DLT/SDLT規格製品のロードマップ

大容量、高速アクセスの次世代テープ規格

また、同社が6月に米国のストレージ関連イベントで明らかにした、2004年の製品化を目指してノルウェーの大学と共同で研究開発中の次世代テープストレージ規格“O-MASS”について、初めて日本の報道関係者向けに説明した。O-MASSは“Opto-Magnetic Storage System”を意味しており、光学技術と磁気技術の長所を合わせたという。従来のテープストレージの弱点であった、容量の少なさ、転送速度の遅さ、データアクセス速度の遅さを克服することを目指したものとしている。

O-MASS規格の概要。
O-MASS規格の概要。容量が600MBとなっているが、スタート時の容量は1TBに変更したという

詳細な技術情報については説明しなかったが、O-MASSは幅9cm×約90m(290フィート)という幅広のテープに、光学式のサーボシステムと、ガードバンドを無くした高密度のデータトラック書き込みによって、テープ1巻あたり1TB以上の高容量と、毎秒64MB以上の高速書き込み/読み出し、テープ内のどこにあるデータでも3.5秒以内にアクセスする高速アクセスを可能にしたという。

O-MASS用のヘッドアレイ。テープの移動方向に対して、ヘッドを斜めに高密度で配置している
O-MASS用のヘッドアレイ。テープの移動方向に対して、ヘッドを斜めに高密度で配置している

O-MASSについては現在数社の技術パートナーと協力関係にあるほか、詳細はあかさなかったが、ある企業と2001年中頃に戦略的提携を結んだことも明らかにした。

O-MASSのロードマップ。大島氏によると第1世代の製品から1TB超になるよう、スペックを変更したという
O-MASSのロードマップ。大島氏によると第1世代の製品から1TB超になるよう、スペックを変更したという

タンベルグデータではこのO-MASSによって、低コストなバックアップストレージというテープの長所を生かしつつ、インターネットや企業内ITシステムの進化によって爆発的に増え続けるデータに対応しようとしている。

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