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PIXUS BJ F900

PIXUS BJ F900

2001年11月16日 15時20分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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PIXUS BJ F900

キヤノン販売

5万9800円

“PIXUS”という新ブランドを冠したキヤノンの2001年型最新BJプリンタラインナップのフラッグシップ機となるのが「PIXUS BJ F900」だ。従来機「BJ F870」の後継にあたり、印刷画質は同等ながら印刷速度が大きく向上している。

ノズル数2倍で印刷速度も2倍に

BJ F900のサイドビュー
BJ F900のサイドビュー。シルバーと半透明素材の黒い部分がアクセントとなっている。
 F900のスペックを見ると、各色独立タンクの6色(黒/C/M/Y/LC/LM)インクを採用する点や、2400×1200dpiの解像度、1/6濃度の視認性の低いフォトインク(LC/LM)といった特徴は、従来機であるF870と同一だ。最大の変更点は、F870では各色256ノズルであった印刷ヘッドが、2倍の512ノズルになった点だ。1200dpi(600dpi×2列)というノズル間隔は従来機と同じであるためヘッド幅は2倍のサイズになり、1回のヘッド往復により印刷できる範囲が2倍→印刷速度も約2倍に向上している。この結果、最高画質ではA4が2分弱、ハガキサイズならば約30秒(フチあり)という高速な印刷が可能になった。



J F900のヘッド部
BJ F900のヘッド部。6列に見えるが、各色2列ずつ12列のノズルが並ぶ。
 また、カット紙に対するフチなし印刷に対応したのも同社の民生用インクジェットプリンタとしては初めてだ。対応用紙サイズはA4、レター、ハガキ、L判で、はみ出しサイズ(印刷されない領域)をプリンタドライバ内で4段階に指定できるのもエプソンにはないユニークな機能だ。エプソンの「PMシリーズ」と同様に、フチなし印刷を指定した場合は上端/下端の印刷制御を精密に行うため印刷時間が約2倍になり、ハガキサイズであれば1枚あたり約1分程度となる。



BJ F900印刷サンプル
【BJ F900印刷サンプル】印刷サイズは写真画像部分が82×112mm、フラットベッドスキャナにて300dpiでスキャンしたもの。掲載用にトリミングしている。
 この冬のキヤノン製プリンタの特徴として、プリンタドライバが一新されて「VIVIDカラー」と呼ばれるモードが追加された。従来から色調や露出、彩度などについて自動補正をかける「オートフォトパーフェクト」という機能があったが、VIVIDカラーでは見た目に「あざやか」なことを前提としているため、記憶色が強調されている。実際に印刷結果を見比べてみると、樹木の緑はより深く、青空はコバルトブルーになって非常にあざやかに見えるが、それゆえ不自然な(人工的な)印象を受ける。なお、掲載したサンプル(水着)は、デフォルトのカラーを見るためVIVIDフォトカラーはOFFにして印刷している。



BJ F900印刷サンプル
【BJ F900印刷サンプル】スキャンした画像データを640×480ドットにトリミングしたもの。
 このほか、サイレントモードや3Dフォト印刷を搭載するなど、細かな機能アップも図られている。サイレントモードは、給紙/紙送り/排紙の各モーターを個別に制御して印刷の紙送りステップを細かくするなどの処理を行い、印刷時の音を低減するもの。実際に使ってみると、騒がしい編集部の中でも明確に違いがわかるほど印刷(紙送り)音が静かになる。印刷時間は標準の2倍以上かかるものの、閑静な住宅で夜間に印刷する場合などでは非常に重宝するだろう。サイレントモードはプリンタドライバでON/OFFを指定できるほか、×時~×時にはONにするといった時間設定も可能だ。



3Dフォト印刷
3Dフォト印刷でプリントアウトしたものをフォトスタンドに入れると、前景が背景から浮き上がって見える。見る角度によって違う絵が見えるシールなどと同じ原理だ。

 3Dフォト印刷は、標準で付属するフォトスタンド(前面パネルに細かな溝状のレンズがモールドされている)と付属ソフトウェアを使い、平面画像を立体的に見えるようにするというもの。付属ソフトで範囲を指定して前景と背景を設定するというもので、ちょっとした作業で意外にしっかりとした「飛び出す写真」が作れるのは面白い。ただ、どうせならデジタルカメラなどを平行移動させて(あるいは2台を使って)撮った2枚の画像からよりリアルな立体画像を作るソフトも欲しかった。

 印刷品質に関しては従来機F870からほぼ継承しており、低濃度インク(LC/LM)による階調表現は良好で、粒状感も低い。ただ、ライバル機であるエプソンPMシリーズに比べると全般的に色が薄い印象があるのは確かで、どぎつい赤でも若干朱色っぽく、コバルトブルーの空も水色っぽい印象を受ける。これは今回搭載されたVIVIDカラーとは関係なく、同社の現行の通常インク(C/M)の色濃度そのものが薄めであることからくるものだ。今後のドライバ/インクの改善に期待したい。

 年々と進化するインクジェットプリンタの画質の中で、今回は画質面での大きな進化がなかったことを残念に感じる向きもあるかもしれない。しかし、フチなしのハガキ印刷を約1分で終了するというのは非常に快適で気軽に利用できるため、本機を購入したユーザーは年賀状作成だけでなく、ちょっとした機会でも印刷したくなることは間違いない。



作例モデル:渡辺まい。アーデニー・エンタテインメント所属。19歳。身長158cm、スリーサイズB92、W56、H88cm。「ドコアル」サイト(http://docoal.com/)で「アイドル日記」配信中。
印刷速度比較の結果
文書
(Microsoft Word 10ページ普通紙)
標準2分41秒
はやい1分59秒
画像
(Adobe Photoshop ハガキサイズ/プロフェッショナルフォトペーパー)
きれい33秒
PIXUS BJ F900の主なスペック
解像度 2400×1200dpi
インク構成 Bk、C、M、Y、LC、LM
ノズル構成 512ノズル×6色
ヘッド構成 一体ヘッド、全色独立インクタンク
インターフェイス USB、IEEE1394
本体サイズ 443(W)×319(D)×185(H)mm
重量 5.8kg

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