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高品質印刷への各社の取り組み

高品質印刷への各社の取り組み

2001年11月16日 00時00分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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高品質印刷への各社の取り組み

「写真画質」とか「超写真品質」とうたわれるほどに、現在のインクジェットプリンタの印刷品質が向上している。出力結果を手にとっても、よほどじっくりと見ないと銀塩写真の印画紙プリントと区別が付かないほどの品質だ。ここでは、2001年末の年賀状商戦に向けた製品選びの際に知っておくといいインクジェットプリンタの基礎知識を解説しよう。

高画質化の技術

 インクジェットプリンタにおける進化の過程には、まず解像度の向上がある。デジタルカメラの記録画素数やモニタの高解像度化と同様に、解像度が高ければそれだけ単位面積あたりの情報量が増え、緻密な画像が得られるわけだ。

 しかし、インクジェットプリンタにおいては高解像度が即座に高画質に繋がるわけではない。インク滴をいかに高解像度に(つまり、正確かつ高密度に)用紙を落とすことができたとしても、ドット(インク滴)が目に見えてしまっては画質はあまり向上しない。特に、インクジェットプリンタは色の濃淡をドット密度で表現するため、薄い色のところはまばらなドットとなる。ドットサイズが大きければ、それは薄い色ではなくてまばらな点として認識され、ざらついた絵に見えてしまう。これを「粒状感がある」と呼ぶ。ここ数年のインクジェットプリンタの技術革新における最大のポイントが、この「粒状感の低減」だ。

 粒状感を減らすための方法のひとつが「薄いインクを併用する」ことだ。色の薄い部分の(まばらな)ドットが見えるのであれば、その部分を薄いインクを使って印刷すればドットが視認されにくく、粒状感が低減する。本来、インクジェットプリンタではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と黒(Bk)の4つの色を使って印刷を行うが、エプソンの「PMシリーズ」やキヤノンの「BJ Fシリーズ」などでは、上記の4色に加えて薄いシアンの「ライトシアン(LC)」と薄いマゼンタの「ライトマゼンタ(LM)」を併用する。

エプソンPM-890Cのインクカートリッジ
エプソンPM-890Cのインクカートリッジ。黒インクタンクとカラー一体型(5色)インクタンクの2個構成。ノズルを含むヘッドはキャリッジに固定されている。
 なお、上記6色に加えてライトイエローを用いたプリンタ(キヤノンの「BJC-700J」)もあるが、イエローのドット自体、視認性が低いためライトイエローの必然性が少なく、最新機種ではライトイエローは用いられていない。また、CMYのインクの色よりも濃い印刷部分においては、それぞれのカラードットに黒(Bk)のドットを散らして黒っぽさを表現するわけだが、この部分の階調表現を良くするために濃いカラーインクを用いる機種もある。エプソンの「PM-900シリーズ」では、通常のイエローに加えて濃いイエローである「ダークイエロー(DY)」をシアンやマゼンタと併用することで、黒っぽい色の再現や暗い部分の階調表現が向上している。



エプソンPM-950Cのインクカートリッジ
エプソンPM-950Cのインクカートリッジ。ヘッドがキャリッジに固定なのは従来機やPM-890Cと同じだが、インクタンクは全色独立したものに変更された。
 粒状感を減らすもうひとつの方法は、「インクドロップを小さくする」というものだ。インクの1滴の量を減らしてインクが描くドットサイズを小さくすることにより、ドットそのものの視認性を下げることができるわけだ。初期のカラーインクジェットプリンタでは10~20pl(ピコリットル)であったが、現行の多くの機種は4plまでの小ドロップ化が進んでおり、さらにエプソンのPM-900シリーズでは2plまで減少した。

 インクジェットプリンタの高画質化に関するハードウェア的な技術としては、主にこの2つが追求されている。しかし同時に、小さなインクドロップで濃い色の部分を印刷する際にはより多くのドットを打たなくてはならない。エプソンでは複数のドットサイズのドロップを打ち分けるMSDT(Multi Size Drop Technology)により、あまり画質が問われない印刷(文書など)では大きなドットを打つことで解決しているが、そのため高品質印刷時に速度が低下することは避けられない。各社では、後述するさまざまな方法で印刷速度を向上する工夫を進めている。



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