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FlexScan T765-BK/T565-BK

FlexScan T765-BK/T565-BK

2001年11月11日 17時36分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・内田 泰仁

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FlexScan T765-BK/T565-BK

ナナオ

オープンプライス

ハイアマチュアやプロユースから特に高い支持を受けるモニタメーカー、ナナオ。「FlexScan T765」は、PC用モニタでの美しい動画表示を最近の製品コンセプトに掲げる同社の現行19インチCRTモニタラインナップ中、最高峰に位置する製品だ。

高輝度ブラウン管+自動画質調整で
鮮明で美しい動画表示を実現

 ナナオの19インチCRTのラインナップは、10月15日に発表された「FlexScan T731」を含めて現在3モデル。この中で、最上位モデルとなるのが2001年7月より発売されている「FlexScan T765」だが、9月25日からは今回紹介するブラックキャビネットモデル「同 T765-BK」が新たにラインナップに加えられた。

本体背面。映像入力はD-sub15ピンとBNCの2系統。USBハブ機能も搭載し、背面にはアップストリーム×1、ダウンストリーム×3のポートを装備する。
 T765-BKは、本体色が変更されていること以外はグレーキャビネットのスタンダードモデル、T765とスペックや機能上の違いは一切ない。ブラウン管には、フルフラットのアパチャーグリル管「FDトリニトロン」を採用。AGピッチは中心部が0.24mm、周辺部では0.25mm、走査周波数は水平30~115kHz、垂直50~160Hz。USB 1.1ハブ機能を標準搭載し、ポート数はダウンストリーム×4(背面に3ポート、本体前面下部に1ポート)、アップストリーム×1。メーカー発表資料による推奨表示解像度は1280×1024ドット(垂直走査周波数100Hz)、最大表示解像度は1920×1440ドット(同75Hz)。FDトリニトロン管を採用した本機の前モデル「FlexScan T761」とここまでのスペックはほぼ同等だが、最大輝度はT761の200cd/m2から230cd/m2に向上している。

 従来モデルと本機が大きく異なっている点は、画質自動調整機能のチューンナップによる画像表現能力の向上だ。
 T761に搭載されている「FineContrast」機能は、輝度やガンマ値、色温度、シャープネスのON/OFFを「Text」「Picture」「Movie」の3段階に切り替え、画面の表示内容に応じた最適な画質を提供するという機能だ。本機では、この機能をさらに強化した「FineContrastII」が搭載されている。画質モードは、「Text」「Browser」「Graphic」「Picture」「Movie」の5段階に拡張され、用途別に最適な画質になるようさらに細かいセッティングが施されている。なお、MovieモードのみはシャープネスのON/OFFとガンマコントロールの設定の組み合わせの違いにより、さらに4段階の設定に細分化されている。

 さらに、FineContrastIIにはこれらの画質モードに加えて「sRGB」モードも追加されている。sRGB(Standerd RGBの略称)とは、IEC(International Electrotechnial Commission、国際電気標準会議)規定の“色空間”の国際規格で、デジタルカメラやプリンタ、ディスプレイなどの対応機器間で統一した規格を用いることにより表示色や入出力色を近づけ、正確な色表現を実現するための規格だ。モニタでは、ナナオのほか、NEC三菱電機ビジュアルシステムズやソニーからも対応ディスプレイが登場しはじめ、今はまだやっと出揃いつつあるという段階だが、印刷業界などの“プロユーザー”が一般的に用いている「ICC」というカラーマッチング規格とは異なり、“個人ユーザーが利用する”ことを前提に考案された規格だということなので、今後の普及に期待をしたい。

 前バージョンのFineContrastでは、画質モードの切り替えを本体前面のボタンもしくはOSD操作で行っていた。FineContrastIIもボタンやOSDでの手動切り替えが可能だが、PC本体とUSBケーブルで接続し、Windows上でディスプレイの設定を行うナナオ独自のユーティリティ「ScreenManagerPro for USB」(Windows 95/98/Me/2000対応)をインストールしておけば、新たに追加された「ActiveGamma機能」により、使用中のアプリケーションに応じてFineContrastIIの画質モードを自動的に切り替えることが可能になる(アプリケーションへの画質モードの関連付けはユーザーが自由に設定できる)。

 また、これらの画質モードとは別に、画面全体ではなく画面の一部分、特定のウィンドウのみを動画表示に適した高輝度230cd/m2で表示する「WindowMovie」モードも用意されている。これを利用する場合もActiveGammaと同じくScreenManagerPro for USBが必要で、ここでアプリケーションをWindowMovieモードに関連付けることで使用可能になる。たとえば、Webブラウザを使いながらMediaPlayerでムービーファイルを再生しておく、といった使い方をする場合、画面全体の画質モードはBrowserモードに、MediaPlayerはWindowMovieモードに、とそれぞれ設定しておけば、Webブラウザなどは目にやさしい比較的抑え目の輝度の画質でも、ムービーを表示するMediaPlayerだけは高輝度の鮮明な画質で表示する、と画質を切り分けられる。このモードを使用すると、表示位置やウィンドウサイズを変更しても明るく表示される場所は自動追従されるので、上記の例の場合、MediaPlayerの表示位置やサイズを変更しても、高輝度表示部分も自動的に変更される。

 価格はオープンプライスで、実売価格は7万円前後。スタンダードなグレーキャビネットモデルは実売価格6万5000円前後となっている。
 なお、同社の19インチモニタの最新機種「FlexScan T731」は、本体色はグレーのみ、ブラウン管が「ダイヤモンドトロンNF管」、画質自動調整機能は3段階設定のFineContrast+sRGBで、WindowMobieやActiveGammaは持たず、映像入力端子はD-sub15ピン1系統のみと、本機の機能群をコンパクトにした仕様の廉価版にあたり、発売直後である10月末時点での実売価格は6万円弱。今後価格差がもう少しつくことも考えられるが、T765の持つ充実した機能、特にFineContrastの画質モードを自動的に切り替えてくれるActiveGammaや複数台のPCを持っているユーザーに必須の2系統入力を装備していない点をどう考えるかが、この2製品のどちらを選ぶかのポイントになるだろう。PCおよびその表示デバイスであるモニタの用途が、メールやWebブラウジングにとどまらず、画像加工やゲーム、DVD鑑賞などにも広がっているユーザーであれば、ぜひとも+5000円してT765をチョイスしたいところだ。



本体前面、操作キー部分。十字キー、入力端子切り替え、オートサイジング/FineContrastモード切り替え、というボタン構成は前モデル「FlexScan T761」などと共通。

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