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アップルがまもなく新デバイスを発表――革新的デジタルデバイスとは?

2001年10月23日 23時13分更新

文● 林信行

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米国時間23日の早朝(日本時間23日深夜)、米アップルコンピュータ社は「特別なイベントを開き、“革新的デジタルデバイス”を発表する」としてMac関連誌紙をはじめとする一部のマスコミに招待状を送っている。

発表内容に関しては一切、秘密にされているがヒントとして“Macではない”ことだけが明かされている。一部では音楽関係の製品と言われているがその真偽も定かではない。また“デバイス”とはいえ、本当にハードなのか、と勘ぐる声もある。つまり、“革新的なソフト+既製のMac=革新的デバイス”という見方だ。

米アップル社本社。カボチャと紅葉でオレンジ一色のクパチーノ(アップル本社のある市)で明日、何かが起きる!(この写真は構外から撮影した)
米アップル社本社。カボチャと紅葉でオレンジ一色のクパチーノ(アップル本社のある市)で明日、何かが起きる!(この写真は構外から撮影した)

この発表に合わせてか、米アップルの直販サイトであるApple Storeは一時的な閉鎖状態になっているが、日本のApple Storeは業務を続けている。また、日本から同イベントに招待されたマスコミの数はかなり限られているようだ。

この2つのことを合わせて考えると、もしかしたら今回の発表は日本市場にはあまり関係がなく、したがって日本の一般のマスコミにやユーザーには関係ない製品ということなのかも知れない。例えばアップルは米国では直営店を展開しているが、当面、日本ではこれを展開する予定がない(その代わり日本のアップルは大手販売店との関係強化に力を入れている)。

つい先月オープンしたばかりの、アップル本社から(今のところ)1番近いアップル直営店(スタンフォード大学の近くのパロアルト市にある)に行ってみたが、店内を見るとこれは日本では実現不可能だとすぐに分かった。通路ひとつをとっても、大人2~3人が余裕ですれ違うことができるゆったりとした空間なのだ。製品の陳列棚は低くて店の全景が見渡しやすいだけに、余計店が広く感じられる。これと同じものを東京に作ったら土地代だけで高くてやっていけないだろう。

パロアルトのアップル直営店の店内。実にゆったりとした設計
パロアルトのアップル直営店の店内。実にゆったりとした設計

ただ、米国外のMacユーザーが米国を訪問した際にアップル直営店を尋ねれば必ずや楽しめるように、今回発表される製品も、すぐには日本市場に関係なかったとしても日本のMacユーザーの関心が高いものであることには間違いない。

なお、アップル直営店の店員に聞き込みをしたところ本当に何が発表されるのか知らないようだ(というよりは店員のほうから「明日は何が発表されるのか」を聞かれてしまった)。特に明日から新しい陳列が加わるような雰囲気もなく、ゆとりはあるものの店内にはある意味完全な空間が広がっていた。

直営アップルストア内には、iMacでゲームが楽しめるこんなコーナーも用意されている
直営アップルストア内には、iMacでゲームが楽しめるこんなコーナーも用意されている

一方、アップル本社内にあるカンパニーストア(アップル関連グッズなどが充実)は、陳列スペースにかなり余裕があった。とはいえ、新製品がすぐにここに並ぶかははなはだ疑問だ。なお、アップルの主要な建物が並ぶエリアは、いつも“Think different”などのメッセージ性のある横断幕などが飾られているが、今日は少なくとも外側には何も飾られていなかった。また、これまでそういうことはあまりなかったが、同ビルの敷地内での撮影はできれば控えてほしいとガードマンに柔らかく断られた。

筆者のまわりの情報筋でも、明日の発表に関して確実な情報を持っている人はいない。IEEE 802.11bの技術を使ってMP3を無線配信し、お茶の間で聞けるようにするワイヤレス音楽ラジオ機器、FireWire対応のMP3プレーヤー、単体でのMP3再生も可能なハードディスク、作曲ソフトなどさまざまな話が出ているが、いずれも想像の域を脱していない。

筆者が音楽関係で最近すごいと思っているのは、鼻歌や口笛でメロディー検索ができるメディアドライブ(株)の『CrossMediator』という製品。検索精度が今ひとつのこともあるが、いかにもジョブズ好みしそうな、デモのしがいのある製品だ。

いずれにせよ、アップル社はここ半年ほどは、特に驚くほど音楽方面に注力を始めていた。5月に開催した“WorldWide Developers Conference(WWDC)”でも、雑誌などは取り上げ損なっているが、最も多くの開発者の関心を集めたのはMac OS X上で音楽関係のソフトのデモを行ない、Mac OS Xがリアルタイム処理にも向いていることを実証したことだった。

さらにWWDCでは音楽関連のセッションが非常にたくさん用意されていた。mLAN(※1)構想などでヤマハ(株)との関係もかなり良好そうだ。米アップル社はいつのまにか、音楽関連の情報を網羅した“Apple-Creative-Music”というウェブページも開設している。

※1 mLANはIEEE 1394上にオーディオデータとMIDIデータを流すためのフォーマットで、速度200Mbpsの場合で100チャンネルと256ポート(1ポート=16MIDIチャンネル)のMIDI信号を流すことができる。

ハードであるにしろソフトであるにしろ、米国市場専用だろうと国際市場向けだろうと、新製品の発表は多くのMacユーザーを喜ばすことになるに違いない。こんな時代だからこそ夢はたくさん持っていいだろう。

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