日本楽器フェア協会主催の楽器の展示会“2001楽器フェア”が18日、東京・池袋の池袋サンシャインシティで開幕した。期間は21日までの4日間。楽器フェアは隔年で開催する。
宿敵は友となった!!
今回の楽器フェアでは、ローランド(株)とヤマハ(株)のそれぞれのブースに、“GS”音源および“XG”音源の両方を搭載した音源が出展されていた。これは、1月16日の両社が相互協力を行なうとの発表に基づくもの。もっとも、ヤマハ側がGS音源をフル実装したのに対し、ローランドはXG音源のマルチメディア製品向けサブセット“XGLite”を実装した。両社とも、一部の従来機種は、ファームウェアをアップデートしてGS/XG音源に対応するという。
ローランド(エディロール)のMIDI音源『SD-90』の、XGLite音源を搭載したバージョン。ローランド製品で初めて、“XG”のロゴが載った |
ヤマハ製品で初めて“GS”のロゴが載ったMIDI音源『MU2000』のGS音源搭載バーション |
ローランドのデジタルピアノ『HPi-5』こちらもXGLite対応。出荷は11月上旬で、価格はオープンプライス(店頭予想価格は20万円前後) |
『HPi-5』が搭載する“DigiScore”320×240ドットモノクロ液晶ディスプレー。内蔵する曲のほか、インポートしたMIDIデータからも、楽譜を生成して表示する |
ピアノやギター専用のソフト音源など
ローランドはそのほかに、ソフトウェアMIDI音源『SuperQuartet(スーパー・カルテット)』および『HyperCanvas(ハイパー・キャンバス)』などを出展した(どちらもエディロール(株)ブランドで販売)。
『SuperQuartet』 |
SuperQuartetは、ピアノ、ギター、ベースおよびドラムの4種類の楽器に特化したソフトウェアMIDI音源。ピアノとギターは各28音色、ベースは11音色、ドラム3セットを搭載する。ピアノでは4段階のベロシティースイッチによって、自然に音の強弱を表現するという。ギターの弱音ではハーモニクスを、ベースを強く鳴らすと弦のビビる感じまで再現する。ドラムで、フラム(オンリズムの1打の前に装飾として小さな打音が入る)も可能で、大音量時のリムの響きも聞き取れる。
パート数は16で、最大同時発音数は128音。対応OSはWondows XP Home Edition/XP Professional/2000/Me/98/98SEおよびMac OS 8.6.1以降。価格は3万5000円を予定しており、11月に出荷する。
『HyperCanvas』 |
HyperCanvasは、従来のソフトウェアMIDI音源『Virtual Sound Canvas』シリーズの後継にあたる。パート数は16で、最大同時発音数は128音、“GM2”互換の256音色および9ドラムセットを搭載している。ユーザーが設定可能な音色数は512音色およ128ドラムセット。価格は2万3000円で、11月出荷予定。
ローランドはそのほかに、1Uラックサイズの音源モジュール『XV-5050』や、シーケンスソフト『Cakewalk Home Studio 2002』などを出展した。
ローランドのブース内には、“BOSS”ブランドのエフェクターが並ぶ |
ヤマハのブースでは、シーケンスソフト『SOL(ソール)』およびUSBオーディオインターフェース『UW10』を参考出展していた。どちらも近日発売予定。
シーケンスソフト『SOL』 |
SOLは、ヤマハによると、従来のシーケンスソフト『XGworks』に比べてオーディオ機能を強化したという。24bit/98kHzのオーディオデータとMIDIデータを扱える。同社では、強力なタイムストレッチ(音程を変えずに再生時間を増減する)機能と、スライス(波形の一部分を切り出す)機能が、大きな特徴だとしている。また、単調なMIDIデータのテンポや音量などを微妙に変化させてリアリティーを増す“オートアーティキュレーション”機能も装備する。対応OSはWindows XP/2000/Me/98で、価格、発売日共に未定。
オートアーティキュレーション。テンポや音量を自動的に変化させる |
USBオーディオインターフェース『UW10』 |
UW10は、USB経由でパソコンとオーディオ機器を接続するインターフェース。CDやMD、カセットテープなどのオーディオ機器、ギターやマイク、MIDI音源などからのデータを、パソコンのハードディスクに記録できる。また、“Track Down(トラックダウン)”機能も装備しており、パソコンで再生したMIDIデータをオーディオデータとしてパソコンに送ることも可能。価格および発売日は未定。
ヤマハの『EOS BX』。USBでパソコンと接続可能。『iBook』とそっくりのカラーリングだ |
ティアック(株)は、BeOSを搭載し、レコーディングからマスタリング、ミキシング、MIDIシーケンスなどが行なえる音楽制作ワークステーション『SX-1』を出展した。
音楽制作ワークステーション『SX-1』 |
SX-1の画面。言われなければBeOSだと分からない |
米AMD社製のCPUを実装したATXマザーボードを搭載しており、40GBのHDDやXGAの画面出力、Ultra2 SCSIポートやLANポートなどの制御に、BeOSを使用する。同社では、BeOSを搭載した理由として、マルチメディア性能やリアルタイム性を挙げている。実際のオーディオの処理は、別途搭載するDSPが行なう。40チャンネルのデジタルミキシングや、16トラックのハードディスクレコーディング、CD-R/RWドライブによるマスターCDの作成などが行なえる。価格は95万円。
CDターンテーブルや三日月ギターも登場
パイオニア(株)の『CMX-3000』。CDを使ったターンテーブル。スクラッチやミックス再生が可能。2つのラックで構成し、設置は自由に行なえる。12月上旬発売予定 |
CMX-3000のジョグダイヤル。これでスクラッチするのは結構難しそう |
(株)河合楽器の“Moon Sault”。1978年に発売された伝説のギター。意表をつく三日月型だが、結構いい音が鳴る。復刻版を2002年に発売予定 |
ローランドの電子ドラムを試す月刊アスキー小林副編集長。大学卒業以来、約20年ぶりにドラムを叩いたという。「あ、違うわ。おれ、大学卒業できなかったんだ。ははは……」 |