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CompTIA、新資格試験を発表

2001年10月09日 21時51分更新

文● 編集部 田口敏之

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IT関連資格試験や認定などを行なっている、コンピューター業界団体の米国電算技術協会“CompTIA:The Computing Technology Industry Association”(コンプティア)は9日、都内に報道関係者を集め、4月に設立した日本法人の半年間の活動実績を発表するとともに、新しい資格試験について発表した。

CompTIAは、1982年に、コンピューター業界が設立した非営利団体。中立的な立場のIT関連資格試験、認定などで広く知られている。本部は米国・イリノイ州シカゴ。拠点は、米国に2ヵ所、カナダに2ヵ所、イギリス、ドイツ、オランダ、ベルギー、南アフリカ、オーストラリア、日本の11ヵ所。世界50ヵ国で、合計1万社以上の企業が参加しているという。

2000年度に、CompTIAで行なった資格試験の受験者数は約50万人で、IT関連の資格試験の規模としては、マイクロソフト社が行なっている資格試験についで世界第2位にあたるという。

CompTIA代表、ジョン・ヴェナター氏
CompTIA代表、ジョン・ヴェナター氏

CompTIA代表のジョン・ヴェナター(John.A.Venator)氏は、「よくCompTIAは、会員数やテスト数をどうやって増やしていると聞かれるが、それは我々がやっていることではない。企業がCompTIAのプログラムを見つけだして、それが非常に役にたつものであるということを分かって採用しているのだ」と述べた。

IT業界の“センター試験”――新たに3つの資格

CompTIAで行なっている資格試験は主に、米マイクロソフトの“MOUS”や、米オラクル社の“Oracle Master”などといった、各ITベンダーの資格試験で必ず出題するような、基礎的な内容を分野別に集約したもの。企業にとらわれない中立的な資格の認定によって、各企業は従業員の採用の基準を明確にできるほか、資格取得者は認定書が与えられ、各ベンダーが行なう基礎的な資格試験の受験が免除されるなど、試験の“相乗り”も可能となる。CompTIA日本支局の事務局長である岸田正寿氏は、CompTIAの資格試験を「ITベンダー資格試験の“センター試験”にあたる」とたとえている。

試験問題の作成は、CompTIAの会員各社の試験委員が行なっており、出題する試験問題の決定権は、大手IT企業が持つ。たとえば、パソコンのハードとOSについて問う、CompTIAの基礎的な資格試験の一つ“A+(エープラス)”は、米マイクロソフト社、米IBM社、米インテル社、米CompUSA社、米コンパックコンピュータ社、米ヒューレット・パッカード社、(株)東芝が決定権を持っている。

今回、CompTIAが新たに設ける資格試験は“e-Biz+(イービズプラス)”、“IT Project+(アイティープロジェクトプラス)”、“CTT+(シーティーティープラス)”の3つ。

“e-Biz+”は、e-ビジネスを推進する上で必要な基礎知識を問うもの。IT技術者だけでなく、マーケティングなどの、e-ビジネスの知識を必要とする職種にも適した試験であるという。同試験による資格の認定を受けることによって、受験者はe-ビジネスに関するプロジェクトリーダーや、事業立案等に関わるコンサルタントなどといった職種へのステップアップが期待できるという。

“IT Project+”は、ITプロジェクトに最低でも12ヵ月以上関わって、実務を行なったIT専門家を対象としており、スケジューリング、コスト管理、チーム編成、外注の管理、品質管理などといったマネジメントの能力を問うもの。同試験による資格の認定を受けることによって、受験者はプロジェクトリーダーなどの職種や、CNE・MCSE・CCIE・ITコーディネーターなどといった資格へのステップアップが期待できるという。

“CTT+”は、トレーナーとして12ヵ月以上の実務経験を積んだ、テクニカルインストラクターの能力を問うもの。試験ではトレーニングスキルに関するテストのほか、授業運営能力のチェックのため、トレーナーとしての実務状況を撮影したものも合わせて評価するという。同試験による資格の認定を受けることによって、受験者はインストラクターとしてのスキルを証明でき、雇用機会の増加などに期待できるという。

日本でのCompTIAの活動

岸田氏は、CompTIAの日本での役割について「高度IT技術者の不足は世界でも日本でも変わらない。しかし、まずその予備軍を作らなければ始まらない。CompTIAでは、高度IT技術者育成のためのベース作りのお手伝いをしたい」と述べ、日本におけるCompTIAの活動について報告した。

CompTIA日本支局の事務局長、岸田正寿氏
CompTIA日本支局の事務局長、岸田正寿氏

CompTIAは現在、日本において“A+”のほか、高度なネットワークの知識・技術を問う“Network+”(ネットワークプラス)、インターネット技術・運用の基礎知識を問う“i-Net+”(アイネットプラス)を日本語で実施している。6日にサーバー構築のための基礎知識・技術を問う“Server+”(サーバープラス)を開始しており、年内にはLinuxの基礎知識を問う“Linux+”(リナックスプラス)をスタートする。また2002年1月には“CTT+”を、“e-Biz+”と“IT Project+”を来春までにスタートする予定だという。

また経済産業省に、国家試験ではカバーしきれない部分を補完する資格試験の提案を行なっているという。

日本で現在までにCompTIAの資格試験を採用した企業は、NTTグループ、(株)内田洋行、(株)沖カスタマアドテック、(株)大塚商会、KDDI(株)、コニカ(株)、日本電気(株)、(株)パソナテック(50音順)など。中でもNTTグループは、試験の作成に積極的に協力しているという。岸田氏は「日本の技術が資格試験の内容に埋め込まれることはなかなかない。日本のIT業界に呼びかけて、試験問題の作成に協力していただきたいと考えている」と述べている。

CompTIAでは日本で、来春のトレーニングシーズンまでに、50社以上が採用するという見通しを立てており、2003年度までに5万試験をプロモーションする予定であるという。

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