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日本AMD、『Athlon XP』発表──クロックに代わる新性能指標“モデルナンバー”を導入

2001年10月10日 10時05分更新

文● 編集部 佐々木千之

日本AMD(株)は10日、“Palomino(パロミノ)”コアを搭載したデスクトップ向け新プロセッサー『AMD Athlon XPプロセッサ』を発表した。Athlon XPにおいては、クロック周波数に代わる性能指標として“モデルナンバー”を導入する。

『AMD Athlon XPプロセッサー 1800+』
『AMD Athlon XPプロセッサー 1800+』

“XP”は“eXtreme Performance”を示す

Athlon XPは、5月に発表したノート用プロセッサー『モバイルAthlon 4』や6月に発表したワークステーション用『AMD Athlon MP』と同様、Palominoと呼ぶプロセッサーコアを搭載している。名称の“XP”は、既存のAMDのプロセッサーと競合他社のプロセッサーに対し、Palominoコアの採用によって“eXtreme Performance”が得られることを示しているという。Athlon XP発売後も、旧Athlon(Thunderbird)は併売の予定で、低価格パソコンはDuron、パフォーマンス重視のパソコンはAthlon、さらに高いパフォーマンスのパソコン向けにAthlon XPを提供する。

今回発表となったのは、『Athlon XP 1800+』(クロック周波数1.533GHz)、『Athlon XP 1700+』(1.467GHz)、『Athlon XP 1600+』(1.400GHz)、『Athlon XP 1500+』(1.333GHz)の4モデル。1000個ロット時の価格は順に3万2760円、2万4700円、2万800円、1万6900円となっている。

Athlon XPではO-PGA(有機PGA)パッケージを採用する
Athlon XPではO-PGA(有機PGA)パッケージを採用する

Athlon XPは0.18μmプロセスの銅配線技術を用いて製造し、トランジスター数は3750万(旧Athlon(Thunderbird)は3700万)、ダイサイズは128mm2(同120mm2)。キャッシュメモリー容量は1次キャッシュ128KBと2次キャッシュ256KBで旧Athlonと同じ。コア電圧は1.75Vで、消費電力は旧Athlonと比較して同じ動作速度であれば最大20%低くなるとしている。また、Athlon XPはサーマルダイオードを搭載し、温度制御機能を備える。

FSB(Front Side Bus)クロックは従来の200/266MHzから266MHzのみに変更し、3D/マルチメディア拡張命令はほかのPalominoコアのプロセッサーと同様に“3DNow! Professionalテクノロジ”(※1)をサポートする。

※1 従来の“エンハンスト3DNow!テクノロジ”に52命令を追加し107命令となった。“3DNow! Professional”では、インテルのPentium IIIが搭載しているストリーミングSIMD拡張命令(SSE)とコンパチブルになりSSE向けに書かれたプログラムがそのまま利用できる 。

また、Athlon XPにおいては以下の4つのコア・アーキテクチャーをまとめて“QuantiSpeed(クォンティスピード)アーキテクチャ”と呼んでいる。

  • 完全にパイプライン化された9命令同時発行スーパースカラー・マイクロアーキテクチャー
  • 完全にパイプライン化されたスーパースカラー浮動小数点演算ユニット
  • ハードウェア(回路)によるデータプリフェッチ
  • キャッシュメモリーを効率よく使用するエクスクルーシブ&スペキュラティブ・トランスレーション・ルックアサイド・バッファー(TLB)(※2)
※2 1次キャッシュと2次キャッシュに同じデータを格納しないようにし、キャッシュメモリーの利用効率を上げる手法。“Morgan(モーガン)”コアのDuronが採用しているバッファーの手法と同じもの。

このQuantiSpeedアーキテクチャーのうち、上の2つは旧Athlon(Thunderbird)にも共通の機能。また、QuantiSpeedアーキテクチャーはモバイルAthlon 4やAthlon MPなど、Palominoコアのプロセッサーに共通のアーキテクチャーであるが、現時点ではQuantiSpeedアーキテクチャーと呼ぶのはAthlon XPに関してのみとしている。
『Athlon XP』のロゴ
『Athlon XP』のロゴ

周波数に代わる指標“モデルナンバー”とは

今回のAthlon XPの発表では製品名にクロック周波数が入っておらず“1800+”といった“モデルナンバー”が付けられている。

AMDや米サイリックス(Cyrix)社(台湾VIA Technologies社に買収)はかつて“P-Rating(ピー・レイティング)”と呼ぶ性能指標をクロック周波数の代わりに使用していた。P-Ratingはある特定のベンチマークプログラムを走らせた際に、米インテル社のPentiumの何MHz動作に相当するかを数字で表わしたものだった。

AMDによると今回のモデルナンバーの数字が意味するのは、インテルのプロセッサーのクロック周波数に対する直接の比較ではなく、Athlon XP同士の相対的な比較であるという。つまり、この数字が大きくなるほど高速であることを示しているのだが、“1500+”はあるプロセッサーの1.5GHz相当を示すものではないとしている。このモデルナンバーはビジュアル・コンピューティング、ゲーム、ビジネスなどの34種類のアプリケーションを含んだ14のベンチマークテストの結果をベースとして決めたものという。

例えば、ThunderbirdコアのAthlonの最高クロック1.4GHzに対して、Athlon XP 1500+は1.33GHz動作であり、クロックでは下回るものの、このベンチマークテストの結果ではより高い性能を示したとし、Athlon-1.4GHzよりもAthlon XP 1500+(-1.33GHz)が上位という位置づけになる。なお、Pentium 4-1.5GHzにおけるベンチマーク結果と比較した場合は、Athlon-1.4GHzおよびAthlon XP 1500+ともにPentium 4-1.5GHzを上回るとしている。

AMDでは、従来の指標であるクロックに代えてモデルナンバーを導入する理由として、プロセッサーの性能(実効性能)はIPC(Instructions Per Clock Cycle:クロックサイクルあたりの処理性能)×クロック周波数で表わされるが、第5世代のx86プロセッサー(Athlon、Pentium 4)以降はAMDとインテルが異なるアーキテクチャーを採用したために、クロック周波数が性能を表わす指標として適当でなくなったことを挙げている。

インテルはPentium 4で採用した“NetBurstマイクロアーキテクチャ”において、Pentium IIIまでの“P6アーキテクチャ”よりも平均のIPCを10~20%低く(※3)抑える代わりに、クロック周波数を高めやすくする手法を取った。これに対してAMDはAthlonでIPCを高める手法を選択しており、このことから、クロック周波数は実効性能を表わしていないと主張し、エンドユーザーにより正確に実効性能を示すものとしてモデルナンバーを導入したとしている。

※3 インテルのNetBurstマイクロアーキテクチャの資料による。

モデルナンバーは、異なるアーキテクチャーのプロセッサーの実効性能を比較できる指標で(※4)あり、AMDの試みは評価できるが、多少問題はあっても“MHz/GHz”で比較することに慣れたエンドユーザーに受け入れられるかどうかは難しいところだ。また、AMDは新しい性能尺度(指標)を2002年に導入する予定で、今回のモデルナンバーは“橋渡しとなるもの”であるとしているのも大きな問題だ。“新しい性能尺度”がどのようなものになるかは明らかにしていないが、2002年に新しい性能指標を導入するのなら、“橋渡し”としてのモデルナンバーの意味には疑問が残る。

※4 『Alphaプロセッサ』や『UltraSPARC』などのワークステーションやサーバー向けのプロセッサーにおいては、米国の非営利の業界団体、Standard Performance Evaluation Corp(SPEC)によって作成されたベンチマークプログラム。『SPEC CPU2000』が使われることが多い。

インテルとのクロック競争において、1GHzでは先行したものの、Pentium 4登場以降は、今回のAthlon XPも含めてPentium 4のクロック周波数に追いついていないという焦りもあるのかもしれない。が、新しい性能指標ができるまで、従来のMHz/GHzを使用し続けるのではなく、2段階の移行としたことで、エンドユーザーに無用の混乱を招いてしまうのではないだろうか。

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