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ジーネット、ウェブサイトを閲覧するユーザーの心理を解析するシステムを発表

2001年10月10日 23時35分更新

文● 編集部 田口敏之

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(有)ジーネットは4日、ウェブサイトや掲載広告などにアクセスしたマウスのアクセスパターンを測定・解析し、クリックに至らない曖昧なアクセスを含めた、ユーザーのアクセス内容を“ES率”(好感度率)という指標で総合的に評価するシステムを企業向けに販売すると発表した。価格やリリース時期は未定。

これは、北海道工業大学情報デザイン学科の北守一隆教授とジーネットが共同開発したもの。ジーネットはこのシステムで、特許とビジネスモデル特許を申請中。

システムは、モニター&センスを受け持つインターフェースおよび知的データベースの2つで構成される。

ホームページに差し挿まれた“センシティブシート”は、『Emotional Sensitive Interface』(ESI)というインターフェースを通し、ユーザーのマウスの動きを検知しセンシングデータとしてサンプリングする。これに対し開発者側からこのESIは、“Emotional Sensitive Sampling”(ESS)および“Intelligent Emotional Image Processing”(IEIP)の機能を持つものとして組み合わされ、知的データベースの構成要素となっている。これは、マウスの休止時間およびどのような軌跡を描いたかによって、ユーザーがウェブサイトに対して抱いた印象を、“デジタル五感”という基準によって“第六感”である多次元解析で評価するもの。

“デジタル五感”とは、たとえば、目の注意力にたとえた“digi-視覚”では、マウスの動きのバラツキを解析して、サイト内のどこを見ていたのかを基準にセンスする。味わう感覚にたとえた“digi-味覚”では、ユーザーがサイトを直線的に見ているか、なめらかな動きで見ているかを評価する。

“IEIP”は“シックセンス・レポート”を作成するために、知的データベースである『Xene Design XML-Datebase』(XDD)に、シックセンスデータを蓄積し学習していく。現在のシステムの計測実験として、ウェブページを利用者がどの程度熱心に閲覧したか、“じっくり”“偵察”“冷やかし”“ちらっと”の4段階に区分し行なったという。レポートの総合評価値である“ES率”は“デジタル五感”から得られた評価値よりレーダーチャート化され、興味・関心度の指標として算出し、“シックスセンス・レポート”としてウェブサイトの管理者に提示される。

ファジーな分析が可能に

現在、インターネットの広告の料金制度は“期間保証型”“ページビュー保証型”“クリック保証型”などがある。ジーネットによれば、「クリック数の数値のみをチェックする広告効果測定法に対して懐疑的な見方が広がっている」という。同社は、『ESI』と『XDD』によって、ユーザーがウェブサイトに対して、まったく興味がなかったのか、それともクリックには至らないものの、注意深く閲覧していったのか、などを明確に測定できるという。たとえば、“ユーザーがアンケートに答えるときに、回答に至るまでにどのようなプロセスを辿ったか”など、アンケート集計の結果では得られない、プロセスデータが把握できるとしている。

ジーネットは、このシステムによって、広告効果測定ビジネスの可能性を広げ、広告主企業のホームページの閲覧率を上げたり、バナー広告や電子メール広告を活性化させることができるという。

開発者の北守教授に、この解析エンジンを作ったきっかけについて尋ねたところ、「ウェブサイトがユーザーを“おもてなしする”という考え方を広めたいと思った。また、このシステムによって、ウェブサイトの表現やユーザーインターフェースがまったく新しいものになってゆき、インターネットによる夢の空間が得られるようになるかもしれない」と答えが返ってきた。

ジーネットは、6月に設立した有限会社で、資本金は600万円。本社は北海道札幌。主な事業として、松下電器インターメディアカレッジ札幌校の委託運営事業や、地図情報システム(GIS)の開発・販売などを行なっている。また、新規成長分野で開業しようとする企業の“起業化計画”を審査により選定し、開業資金の一部を助成する“北海道平成13年度起業スタートアップ事業計画”において、今回開発したシステムは“優秀企業計画”として認定され、助成金を受けているという。

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