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「StarSuite 6.0 ベータ版」詳報 -これは使いやすい!!

2001年10月04日 15時04分更新

文● 阿蘇直樹

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先日お伝えしたとおり、米Sun Microsystemsのマルチプラットフォーム対応Officeスイート「StarOffice 6.0 Beta Software」が公開されている。編集部では日本語版「StarSuite 6.0 ベータ版」をダウンロードし、実際に動作を確かめてみた。テストでは先日発売されたばかりの「Turbolinux 7 Workstation」をインストールしたPC(Pentium II-200MHz、メモリ128MB)を使用し、TurbolinuxのKDE2.1上で動作させた。体感的には、起動にやや時間がかかる以外は特に遅さを感じることはなかった。

インストール

ダウンロードしたファイル「so-6.0-beta-bin-linux-ja.bin」を起動すると、グラフィカルなインストーラが起動する。ユーザーはインストーラの指示に従って作業を進めればよい。インストールは基本的にユーザーのホームディレクトリに対して行なわれる。マルチユーザーで利用する場合は、rootでセットアッププログラムに「-net」オプションをつけてインストールし、そのあと各ユーザーごとにワークステーションインストールを行なえばよい。

インストーラ起動画面。

Turbolinux 7の場合、デフォルトのデスクトップ環境にKDEを採用しており、インストールが完了すると、「KDEメニューにStarSuiteが登録された」ことを示すメッセージが表示されるが、今回のテストではXウィンドウを再起動してもメニューに追加されてはいなかった。「HancomKDE」を用いた場合はメニューに追加されるものの、文字化けが起こるなど、うまくいかなかった。

KDE上でインストールを行なうと最後にこのようなメッセージが現われるが、編集部の環境では結局成功しなかった。

「StarSuite Writer」

「StarSuite」のワープロソフト「StarSuite Writer」は、デフォルトの文字コードにUnicode(UTF-8)を使用しており、また作成したファイルの保存形式がzip圧縮したXMLになっている。そのため展開すればほかのツールでも編集が可能だ。

「StarSuite Writer」。

日本語入力は問題なく行なうことができた。また、Wordファイルについても、Word 2000に付属する「****株式会社ご紹介の件.dot」程度のものに関しては、ファイル名を英語に直すことで問題なく開くことができる。ただし編集すると、Word形式では上書き保存することができなかった。ほかにも、メニューを見る限りでは、ハンコムワードのファイルや一太郎10ファイルにも対応しているようだ。手元にあった「一太郎11」のテンプレートから「社外文書1.jtt」ファイルを読み込ませてみたが、すべて左寄せで表示されてしまった。センタリングや右寄せ、行頭のタブ情報は失われるようだ。

ATOK Xを用いて日本語入力をテストしてみた。Turbolinux 7の場合、バンドルされているリコーフォントを利用することもできる。
Word 2000にバンドルされているサンプル文例を表示させてみた。表示に問題はない。

「StarSuite Calc」

「StarSuite Calc」は「StarSuite」の表計算ソフトウェア。Excelファイルを読み込ませてみたところ、Excelのセルの形式で日付けを指定した部分の表示がおかしいほかは、特に問題なく表示することができた。また、Excelのマクロを読み込ませることはできなかったが、「StarSuite」に装備されているマクロ機能を利用することも可能だ。

「StarSuite Calc」。
Excelで作成したファイルを読み込ませてみた。3D棒グラフの横幅が広かったり、NOW関数が表示できないといった点が気になるが、おおむね問題はない。

「StarSuite Impress」

プレゼンテーションツール「StarSuite Impress」は、PowerPointファイルの読み込みに対応しており、スライドそのものは問題なく表示することができた。また、スライド切替時のエフェクトなども豊富に用意されている。

「StarSuite Impress」。
PowerPointファイルを読み込ませたところ。スライドそのものは問題なく表示されているが、サムネイル表示では文字がつぶれてしまった。フォントを変更しても解決しなかった。

「StarSuite Draw」

「StarSuite Draw」は、2D、3D図形、テクスチャ、ベジェ曲線などを扱うことができるドローツールと、エフェクト機能のあるテクスチャ加工ツールを併せ持つドローツール。

「StarSuite Draw」。

「StarSuite 6.0 ベータ版」では、上記のほかに、数式作成ツールやHTMLエディタ、NetscapeやMozillaのメーラに連動したアドレス帳管理ツールやデータベースなど、さまざまな機能が搭載されている。いずれのツールも共通のメニュー項目があり、必要なときに適切なツールを呼び出してデータを編集することができる。

数式編集ツール。数列や微積分の式を書き表わすことができる。

また、Microsoft Officeでよく使うであろう、切り取り(Ctrl+X)、コピー(Ctrl+C)、貼り付け(Ctrl+V)といったキーボードショートカットを利用できるので、Microsoft Officeに慣れているユーザーにとっても扱いやすい配慮がなされている。


長らく待たれた日本語版「StarSuite」だが、おおむね期待どおりの性能と呼べるものではないだろうか。Microsoft Officeとの互換性だけでなく、ツール間で統一されたインターフェイス、メニュー項目など、確実に動作すればOfficeスイートとして十分な性能を持っているといえよう。製品版の登場に期待したい。

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