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スリーディ.コムとI.S.C.、次世代地域情報CATVシステムを開発

2001年10月04日 23時22分更新

文● 編集部 田口敏之

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スリーディ.コム(株)は2日、情報システム・コミュニケーションズ(株)(以下I.S.C.)と共同で、CATVの受信端末『地域情報型TVシステム』を開発したと発表した。過疎地を中心に全国の市区町村を対象とした、CATV回線の敷設や、サーバーの貸し出など、地方自治体のCATV事業をサポートするサービスの提供を開始する。

『地域情報型TVシステム』は、CATV網などを利用して、気象情報や地域情報、既存のTV番組(地上波、CS、BS)の受信のほか、インターネットブラウジングや、メールの送受信もTV画面から利用することが可能な情報端末機器。端末は、TVに接続して利用するセットトップボックス型で、CATVの受信用セットトップボックスと、映像を3D化するための装置、3D映像を見るためのメガネに信号を送るための装置がセットになっている。また、これらを1つにまとめたセットトップボックスも開発する予定だという。

メール作成画面。音声で作成する。TVの下に置いてあるのが、CATVの受信用セットトップボックス(左)。右は、映像を3D化する機器(右)。TVの上に置いてあるのは、立体映像を見るためのメガネに信号を送る装置
メール作成画面。音声で作成する。TVの下に置いてあるのが、ケーブルテレビの受信用セットトップボックス(左)。右は、映像を立体映像化する機器(右)。TVの上に置いてあるのは、3D映像を見るためのメガネに信号を送る装置
端末のリモコン
端末のリモコン

同機器はリモコンによって操作でき、TV放送とインターネットの垣根は、ほとんど感じられないという。ブラウザーは、スリーディ.コムが独自に開発したもの。HTML3.1に対応しており、FlashやShockWaveには未対応。メールは音声入力が主体となっているが、ワイヤレスキーボードか、画面上のソフトキーボードを利用して文字の入力も可能。OSにはLinuxを採用しており、電源を入れればすぐにメニュー画面を表示して、複雑な操作は必要ないという。

電源を入れると表示されるスタート画面
電源を入れると表示されるスタート画面

さらに、スリーディ.コムの3D映像技術によって、今後各局が放映を予定している3D放送だけでなく、通常のTV放送を3D映像として楽しむことも可能だという。

I.S.C.によれば、農林水産省の“農村MPIS”など、国の補助事業から出た予算によって、全国の市町村が多目的情報システムの確立のために新設したCATV事業の設備は、撮影と編集のためのスタジオや、町村民に配信するためのシステムなどが、機能していない場合が多いという。

I.S.C.代表取締役の窪田久夫氏
I.S.C.代表取締役の窪田久夫氏

I.S.C.代表取締役の窪田久夫氏は「国の予算は、新設する予算だけで、維持経費についてはまったく考慮していない。聞き取り調査をしてみたところ、維持経費の負担が重く、CATVで地域情報の発信などのサービスを開始したくても、維持経費を考えると前に進めない町村が沢山ある」と語っている。

両社は、そういった問題を抱える過疎地の町村に『地域情報型TVシステム』を導入することによって、町村が負担する維持経費を最小限に抑え、また地域情報の発信についてもサポートしてゆく。維持経費は、たとえば人口5000人・1300世帯の町の場合、担当職員の人件費を合わせて最低でも年間5000万円以上かかっていたものを、年間1000万円以下に抑えられるという。

地域からの情報発信には、インターネットのウェブサイトを用いる。コンテンツの作成は、システムを導入した町村の担当職員が素材を用意すれば、スリーディ.コムが請け負い、同社のサーバーを使って公開する。もちろん、担当職員ほか町村が自ら作成することもできる。ウェブサイトを採用したのは、窪田氏によれば「情報発信のために、町村が過去に導入したテレビカメラや編集機器などは、取り扱いが難しい。凝った情報を発信するわけでもないだろうし、ウェブサイトならば扱いも難しくない。あとは、それを町村民が閲覧できる機器さえあれば良いと思って、『地域情報型TVシステム』を開発した」としている。

スリーディ.コムとI.S.C.は、端末と回線の敷設、および保証とサポートをセットにしてサービスを提供する。端末は、町村からの注文を元に、入札によりハードウェアメーカーを選び、生産を委託する。料金は、年間1000万円程度になる予定。また現在、I.S.C.は、同サービスの施工について、省庁からの援助金を申請しているという。

I.S.C.は、1980年に設立。資本金は2000万円。地域情報化の企画やコンサルティング、過疎地域の町村などを中心としたCATV導入の企画やコンサルティングのほか、公園緑化や、都市計画なども業務とする。本社は山梨県甲府。連絡先の電話番号は、山梨(TEL.055-236-5666)、東京(TEL.03-5322-7936)となっている。

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