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【WPC 2001 Vol.20】メガソフト、3Dインテリアシミュレーションソフト『3Dインテリアデザイナー』を発表

2001年09月26日 15時07分更新

文● 編集部 田口敏之

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『3Dインテリアデザイナー』

(株)メガソフトは19日、千葉県の日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で行なわれた“WORLD PC EXPO 2001”において記者会見を開き、(株)マジックアワーと共同開発したインテリアシミュレーション用ソフトウェア『3Dインテリアデザイナー』を、11月22日に発売すると発表した。価格は9800円。

『3Dインテリアデザイナー』『3Dインテリアデザイナー』

『3Dインテリアデザイナー』は、メガソフトがこれまでに発売している『3Dオフィスデザイナー』および、『3Dマイホームデザイナー』といった、3D空間シミュレーションソフトウェアの新ラインアップとなる製品。購入層のターゲットとして、インテリアデザイナーやリフォーム関連企業、デザイン教育機関や、インテリアに関心がある個人、部屋の模様替えを検討している、もしくはマンション・集合住宅への引越しを控えている個人などを見込んでいるという。

『3Dオフィスデザイナー』ではオフィス空間のデザインのシミュレーションが行なえ、『3Dマイホームデザイナー』では庭も含めた敷地内の家屋などの全体のシミュレーションを行なえたが、この『3Dインテリアデザイナー』では、マンションのような複数の部屋を持つ居住空間のインテリアコーディネイトをシミュレートできる。

『3Dインテリアデザイナー』の操作画面
『3Dインテリアデザイナー』の操作画面

操作方法は、まずマウスで壁、柱、天井、床、梁などのオブジェクトを組み合わせて3次元空間を作る。そして、2000点以上用意してあるという家具や壁紙を、マウスでドラッグ&ドロップして配置してゆくというもの。いったん作成した家具の移動や交換、壁紙の張り替え、床の材質や照明の種類・位置の変更も自由にでき、3Dデザインソフトウェアに馴染みのない初心者でも、直感的な操作ができるようにしたという。

同製品は、マジックアワーの独自技術“ダイナミック・ラジオシティ”を搭載している。たとえば“リアルタイム調光”は、ユーザーが創った3D空間内に照明器具を配置すると、レンダリング後でも、床や壁などへの反射も含めて、1つ1つの光源ごとの光の作用をリアルタイムで表現し、最適の照明空間をシミュレーションできるというもの。光源には標準で、200種類以上を用意しているという。また照明だけでなく、方位や日時を指定することで、太陽光線の入射角を正確に計算し、季節により異なる日差しを表現することもできるという。

完成した室内空間
完成した室内空間

また、OpenGLにより、計算後も高画質のイメージのまま自由に室内空間を歩き回るような閲覧(ウォークスルー)を可能にした“リアルタイム・レンダリング”機能を搭載している。

さらにメガソフトのウェブサイトから、無償でダウンロードできるInternet Explorer用プラグイン『3Dインテリアビューアー』をインストールすれば、ユーザーが作った室内空間データをブラウザー上に表示して、閲覧できるという“Web3D”機能を搭載している。

これはマジックアワーが開発した3D作成/閲覧ソフト“PowerSketch/Viewer”で使われている3Dコンテンツ制作システムと同様のもの。制作した3Dデータを、VRML形式と比べて最高で約100分の1に圧縮できる独自フォーマット“psv”形式で書き出し、専用のサーバーに掲載すると『3Dインテリビューアー』を利用して閲覧できる。

メガソフトはこのために専用のサーバーを用意しており、ユーザーは作成した室内空間データを掲載し、自分だけの展示場を自由に公開することができるという。なお、一般ユーザーはこれを無料で利用できるが、商業目的での公開については、別途ライセンス契約が必要となる。

メガソフトとマジックアワーは、このpsv形式が住宅・インテリア関連メーカーが求める記録フォーマットだと確信しており、普及に向けて活動を行なっていくという。

『3Dインテリアビューアー』で室内を閲覧している様子
『3Dインテリアビューアー』で室内を閲覧している様子

『3Dインテリアビューアー』では、ブラウザーの視点の切り替えや、移動する視点の表示は、JavaScriptによって制御できる。またビューアーのウィンドウサイズや、複数のウィンドウ表示は、HTMLによって制御することができる。

マジックアワー取締役営業企画部長の芳尾晃子氏によれば、「こうしたウェブ上での閲覧機能は、たとえばインテリアデザイナーなどが、お客さんにリフォーム前とリフォーム後を具体的に見せることができるなど、プレゼンテーションのコミュニケーションツールとしてプロが利用できる」という。

施工主の要望に応えるための、室内装飾を表現する素材として、同製品には、3次元部品データを2000点以上、色を含めた質感データを約400点、壁紙などの模様データを約600点収録しているという。さらにメガソフトのウェブサイトから、新しい3D素材を無料でダウンロードできるほか、素材などのリクエストも行なえるという。

このほか入力機能として、JPEGやビットマップのデータを登録できる“模様データ登録”機能、平面図などの読み取り資料があれば、スキャナーなどで読み込んで下絵として利用できる“間取り図読み込み”機能などを備える。また出力機能としては、最大10000×10000ドットの印刷が可能なほか、ビットマップ出力、ブラウザーで表示するためのWeb3Dデータ出力を行なうことができる。

動作環境は、Pentium-233MHz以上のCPUが必要なほか、64MB以上のメモリー(128MB以上推奨)、1024×768ドット以上の解像度に対応したグラフィックスカード、300MB以上のHDD空き容量(500MB以上推奨)が必要。また、マウスおよび日本語キーボード、CD-ROMドライブも必要となる。対応OSはWindows 95/98/Me/2000/XPとなっている。

『3Dインテリアデザイナー』は、現状では『3Dオフィスデザイナー』や『3Dホームデザイナー』と互換性がない。将来的には、マジックアワーとの技術提携による3Dパーツの互換性の実現を手始めに、順次ユーザインターフェースを統一し、作成した空間データの共有を行なえるようにしてゆくという。

『3Dマイホームデザイナー2002』

メガソフトでは、家庭用3D住宅デザインソフトの『3Dマイホームデザイナー』の最新バージョンである『3Dマイホームデザイナー2002』も10月3日に発売する。価格は9800円。

『3Dマイホームデザイナー2002』『3Dマイホームデザイナー2002』

ターゲットは自分自身で家をデザインしたい30~40代の男性ユーザーのほか、工務店やデザイナー、建築・デザイン系教育機関、学生などのプロフェッショナルの利用も見込んでいるという。また、初年度は10万本の売り上げを見込んでいるという。

同製品は、“使いやすさ、楽しさ、実用性”というコンセプトのもと、これまでのバージョンを利用したユーザーから寄せられた声を反映して、ユーザビリティーを追求したという。そこで今回搭載したのが、目的に沿って機能や表示アングル・パレットなどの操作環境がユーザーの選択などに応じて最適な状態に切り替わる“マイホーム作成ナビ”機能だという。

『3Dホームデザイナー2002』のメニュー画面
『3Dホームデザイナー2002』のメニュー画面

これは、“部屋を作成”“家具配置”“イメージ仕上げ”と手順に従ってボタンを押していくだけで、初めて利用するユーザーでも、直感的にマイホームのデザインが行なえるという。また、実際に住空間をシミュレーションしていく中で、間取りや収納スペースについて診断するといった機能も搭載している。

間取り画面
間取り画面

このほか“使いやすさ”を求めた新機能として、デザイン作業の途中、平面図で“見たいところ”と“見たい方向”をクリックすれば、すぐに3D空間を表示することができる“クイックビュー”機能。よく使う、住宅建材やインテリア小物など、パーツやテクスチャーを登録しておける“お気に入り”フォルダーなどがある。

また、“楽しさ”のポイントとなる機能として、家のデザインを立体表示した後、家のまわりを自動的に一周して外観を確認できる“ラウンドビュー”機能を搭載する。“おとな”“こども”それぞれの目の高さで、マイホームの中を歩き回って、ドアや窓、戸だなやタンスの開閉が、他の建具とぶつからないかシミュレーションできる“ウォークスルー”機能も搭載しており、さらに“車イス”モードでは、昇れる段差の高さを2cmに設定してあるため、無理な段差がないかを確認でき、バリアフリーの住宅の設計にも役立つという。

作成した間取りを立体表示した様子
作成した間取りを立体表示した様子

“実用性”のポイントとなる機能としては、住宅関連商品の素材データを3500点以上収録、(株)INAXをはじめとする大手建材・家具・ファブリックメーカー17社の、実在商品の素材も収録しているという。さらに、約1万3000点の住宅素材データをメガソフトのウェブサイトからダウンロードできるほか、ライフスタイルに合わせて、“二世帯分離型”“動線重視プラン”など、参考できる間取りのサンプルを約180点用意している。

ユニークな機能としては、科学的な視点で、作成中の間取りをリアルタイムに診断し、適切な間取りになるようアドバイスしてくれるという“間取り診断機能”や、県別・建築工法別の坪単価目安情報を収録し、設計中の家のおおよその総建築費を坪単価をもとに表示する機能、住宅ローン返済の目安がわかる“住宅ローン概算機能”まで用意されている。

メガソフト市場開拓部課長井町良明氏によれば、「このソフトによって、工務店などは施工主に具体的なプレゼンテーションを行なうことができ、施工主とのコミュニケーションがしやすくなって、着工までの期間が短くて済む。すると工務店は、時間の短縮によって着工件数が増えることになる」という。

また実際、前バージョンを利用して実際に家を建てた例を、同社のウェブページ“3Dマイホームデザイナーで本当に建てました!”で紹介している。

動作環境は、CPUがPentium-166MHz以上(Pentium II-266MHz以上推奨)、64MB以上(128以上推奨)のメモリー、最低300MB以上(750MB以上を推奨)の空きHDD、800×600ドット/3万2000色以上が表示可能なグラフィックスカード(1024×768ドット以上を推奨)。対応OSは、Windows 95/98/Me/2000/XPとなっている。

メガソフトの展望

“WORLD PC EXPO 2001”で行なわれた記者発表会。左からマジックアワー取締役営業企画部長の芳尾晃子氏、マジックアワー代表取締役の竹内聖志氏、メガソフト代表取締役前坂昇氏、メガソフト市場開拓部課長井町良明氏
“WORLD PC EXPO 2001”で行なわれた記者発表会。左からマジックアワー取締役営業企画部長の芳尾晃子氏、マジックアワー代表取締役の竹内聖志氏、メガソフト代表取締役前坂昇氏、メガソフト市場開拓部課長井町良明氏

メガソフトは、3Dシミュレーションソフトのデファクトスタンダードを目指しているという。『3Dインテリアデザイナー』は、9800円という値段で本格的な3Dシミュレーションが行なえるのを売りにしており、大手パソコンショップのみならず、インテリアショップや家電販売店でも、家具や家電と一緒にソフトを販売してゆく見込みだ。

また、『3Dマイホームデザイナー』とのすみ分けは、庭や敷地のみならず隣家もすべて含めた一戸建てのデザインを行なうのが『3Dマイホームデザイナー』。その中の、あるいはマンションなどの居住空間をデザインするのが『3Dインテリアデザイナー』と、2つのソフトを位置付けているという。

最後に「ソフトウェアの市場だけでなく、インテリアの市場自体を拡大してゆくのが目的である」と、井町氏は締めくくった。

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