日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)と日本ルーセント・テクノロジー(株)(日本ルーセント)は25日、通信キャリアー向け課金システムの開発と販売において提携すると発表した。
提携内容について説明する、日本HPの西澤均氏(右)と日本ルーセントの野澤裕氏(左) |
両社が目指すのは、従来の音声通話系だけでなく、IPネットワーク系の多様な通信サービスに柔軟に対応し、それらサービスを包括的に統合して課金できるミッションクリティカル対応型システム。
この分野において、米ルーセント・テクノロジー社は顧客管理/課金システムのパッケージ製品『Arbor/BP(アーバー ビーピー)』を販売しており、世界中の通信キャリアーなどで、幅広く実績を上げているとしている。UNIXベースのパッケージタイプの課金システムとしては、世界シェア1位という。また米ヒューレット・パッカード社も、通信キャリアーなどに向けたミッションクリティカル用途のサーバープラットフォームにおいて、トップシェアであるという。
両社の提携のポイント |
これまで日本市場では、メインフレームをプラットフォームとして、各社が独自の課金システムを構築してきたという。今回の提携は、お互いにトップシェアを持つ両社が手を組むことで、日本の通信キャリアーに対し、メインフレーム+独自システムから、UNIXサーバープラットフォームのパッケージタイプの統合課金システムへの移行を促し、販売していくというもの。
ルーセントの『Arbor/BP』の概要 |
具体的には両社が共同で、ベンチマークなどの性能検証や、トレーニング、マーケティング活動、コンサルティングなどの活動を行なう予定。
UNIXサーバーとArbor/BPを利用することのメリットとして、新しいサービスを始める際は当然課金システムも対応が必要だが、従来のメインフレームでは開発に6ヵ月~1年程度もかかるところを、Arbor/BPのようなパッケージを利用することで、数週間で対応できることを挙げた。また、日本では海外で始まっているサービスを導入することも多いが、そうした場合には海外でのArbor/BPのノウハウが流用できるということも有利としている。
日本HPのミッションクリティカルシステムの構成例 |
通信キャリアーが提供するサービスは多様化する一方で、こうした変化に対応し、またCRMやERPといった周辺システムとの連動を図るため、日本でも、UNIXサーバーとオープンなパッケージタイプの課金システム導入が急速に進むと両社では見ている。すでに国内の通信キャリアーにおいて、6つのプロジェクトが稼働し、1つのプロジェクトを構築中であるとしている(企業名については非公開)。なお、現在のArbor/BP 8.5Jには、単なる日本語化だけでない、日本の事情にそった“日本化”が行なわれており、年内には次期バージョンとしてArbor/BP 10Jをリリースする予定としている。
日本の通信キャリアー各社は、顧客数が数百万人~数千万人と、世界的に見ても非常に規模が大きく、モバイル分野やブロードバンドへの対応も進んでいるという。両社は、この提携で、世界市場で得たノウハウを日本の通信キャリアーにもたらすと共に、日本での経験を世界市場にフィードバックすることを狙っている。