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台湾SiS、Pentium 4向けDDR333対応チップセットの発表会を開催

2001年09月05日 00時26分更新

文● 編集部 佐々木千之

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台湾のSilicon Integrated Systems社(SiS)は4日、都内のホテルに報道関係者を集め、DDR333メモリー(※1)をサポートするPentium 4向けチップセット『SiS645』『SiS961』の発表会を開催した。このチップセットは、台湾では8月9日に発表している。今回の発表会ではSiSのほか、メモリーメーカーであるエルピーダメモリ(株)、(株)ハイニクス・セミコンダクター・ジャパン(※2)がDDR333メモリーの生産への取り組みなどについて説明した。

※1 DDR(Double Data Rate)333メモリー:メモリーのバスクロックを166MHzに引き上げて高速化したDDRメモリー。毎秒2.7GB(2700MB)の帯域を持つことから、PC2700 DDRと呼ぶ場合もある。

※2 ハイニクス・セミコンダクター・ジャパン:韓国のハイニクス・セミコンダクター(Hynix Semiconductor)社の日本法人。ハイニクス・セミコンダクターは、韓国の現代電子産業社が2001年4月に社名を変更したもの。

『SiS645』と『SiS961』
『SiS645』と『SiS961』

SiS645は、Pentium 4に対応した400MHzのシステムバス、3DIMMのDDR333/266およびPC133 SDRAM、AGP 4XインターフェースをサポートするNorth Bridgeチップ。もう1つのSiS961は、100BASE-TX LANコントローラー、AC'97オーディオ機能、モデムコントローラー、USBコントローラー×2、Ultra ATA/100コントローラー×2、PCIバス×6、キーボード/マウスコントローラーをサポートするSouth Bridgeチップ。2つのチップは、SiSが米AMD社の“Hyper Transport”技術をベースに開発した高速データバス“MuTIOL(ミューティオール)”によって、毎秒533MB(16bit×266MHz)で接続される。

SiS645/961のシステムダイヤグラム
SiS645/961のシステムダイヤグラム

SiSはこれまで、Pentium III/Celeron対応でDDR266メモリーをサポートする『SiS635』やAthlon/Duron対応でDDR266メモリーをサポートする『SiS735』を発表している。SiS645/961は、SiSにとって初めてのPentium 4対応チップセット。DDR333メモリーのサポートするチップセットとしても初の製品となる。なおSiS645の発表後、8月27日(米国時間)には、台湾のAcer Laboratories社(ALi)が、同じくPentium 4に対応しDDR333メモリーをサポートする『ALADDiN-P4』チップセットを発表している。

SiSインテグレーテッドプロダクト部門テクニカルマーケティングエンジニアのケイ・チェン氏
SiSインテグレーテッドプロダクト部門テクニカルマーケティングエンジニアのケイ・チェン氏

発表会でSiS645/961について説明したSiSインテグレーテッドプロダクト部門テクニカルマーケティングエンジニアのケイ・チェン(Kay Chien)氏は、Pentium 4チップセットがDDR333メモリーをサポートする理由として「Pentium 4では、ホストバスのバンド幅が毎秒3.2GBに達しており、毎秒2.1GBのバンド幅を持つDDR266では役不足で、毎秒2.7GBのDDR333が必要」であると述べた。DDR266からDDR333とすることで、システムのパフォーマンスは最大20~30%向上するとしている。

メモリーのバンド幅とCPUバスのバンド幅の比較
メモリーのバンド幅(左)とCPUバスのバンド幅(右)の比較

DDR333の供給状況については、米マイクロン・テクノロジー社、韓国のサムスン電子社、台湾のNanya Technology社が出荷を開始しているほか、台湾のVIS社が第4四半期、エルピーダメモリ、ドイツのインフィニオンテクノロジーズ社、韓国のハイニクス・セミコンダクター社が2002年初頭に出荷する予定。発表会に出席したエルピーダメモリやハイニクス・セミコンダクター・ジャパンも、RambusDRAMよりもDDR333を含むDDR SDRAMの生産に力を入れていく姿勢を示した。

MuTIOLによるNorth Bridge - South Bridge間接続
MuTIOLによるNorth Bridge - South Bridge間接続

また、North Bridge - South Bridge間を繋ぐMuTIOLについては「他社のチップセットでは毎秒266MB程度のバスで接続しているが、South BridgeがサポートするIDEやPCIバス、USB、LANなどのI/Oデバイスが必要とするバンド幅を合計すると毎秒384MB以上となり、複数のデバイスに同時アクセスが発生する場合を考えると、毎秒266MBでは性能を発揮できない」(チェン氏)と、MuTIOLの高速性をアピールした。

MuTIOL接続によるベンチマークテスト結果
MuTIOL接続によるベンチマークテスト結果

SiSは前述のSiS635やSiS735においては、North BridgeとSouth Bridgeを分けずに1チップとし、チップ内で毎秒1066MBのMuTIOL接続している。2チップに構成としたことについて、SiSインテグレーテッドプロダクト部門ディレクターのアレックス・ウー(Alex Wu)氏は「メモリークロックやUSB2.0、Ultra ATA/133など新しいI/O規格が次々登場している状況では、2チップにしたほうが対応が取りやすく、安定したものを出荷できるため」とコメントしている。USB2.0に対応したSouth Bridgeチップに関しては、2002年の前半、しかも早いうちにリリースの予定としている。また、Athlon向けにも、DDR333をサポートしたチップセットを「近いうちに発表できるだろう」としている。

SiSインテグレーテッドプロダクト部門ディレクターのアレックス・ウー氏
SiSインテグレーテッドプロダクト部門ディレクターのアレックス・ウー氏

SiS645/961は、現在サンプル出荷中だが、9月末から10月にかけて「間違いなく量産出荷できる」(ウー氏)という。SiS645/961を採用するマザーボードメーカーについては「まだ明らかにできない」としながらも「製造しないというマザーボードメーカーは思いつかない」(ウー氏)と自信を見せた。同チップセットを搭載したマザーボードは、最も早いもので10月には登場するという。また、日本のパソコンメーカー各社も興味を示しており、2002年にはSiS645/961を採用したパソコンが発表されるだろうという見通しを明らかにした。

SiSのチップセットラインアップ
SiSのチップセットラインアップ

台湾のチップセットメーカーが、相次いでPentium 4対応のDDRメモリーサポートチップセットを発表したことは、デスクトップパソコン市場においてDDRメモリーの存在感が増しつつあることを示すものと言える。最大手のチップセットメーカーでもある米インテル社も、2002年後半にはDDRメモリーをサポートするチップセットを投入予定であり、2002年はDDRメモリー本格普及の年になりそうな気配だ。

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