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iモードで駐車場に誘導――東京都駐車場公社の駐車場情報化プラン

2001年09月04日 16時27分更新

文● 編集部 中西祥智

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エンジニア向けのセミナーを開催する(株)アドバンスト・テクノロジー センターは3日、(財)東京都駐車場公社の山縣正彦総務部駐車場基金課長を講師に招き、駐車場情報化(PIT)についてのセミナーを開催した。

セミナーのタイトルは、「東京都駐車場公社の駐車場情報化の役割と駐車場IT化導入実験」。講師の山縣氏は、東京都建設局道路管理部の副参事でもある。駐車場公社は、都内の駐車場の発展・改善および東京都の道路管理事業を補完する目的で1960年に設立された第3セクター。

東京都駐車場公社の山縣正彦総務部駐車場基金課長
東京都駐車場公社の山縣正彦総務部駐車場基金課長

山縣氏はまず、「駐車場情報のフォーマットの統一と利用促進」の仕組みが必要だと主張した。現在、駐車場の位置情報についてはカーナビゲーションを提供する各企業が、また駐車場の“満空(満か空か、つまり空きがあるかないか)”情報を、携帯電話向けに提供している企業などもある。しかし、それらの情報のフォーマットは統一されておらず、それぞれに互換性がないという。

そこで、山縣氏らは“東京都駐車場情報化推進研究会”という私的な研究会を発足させ、駐車場情報の利用の促進とフォーマットの統一などを研究することとなった。同研究会は、現在ではまだ異業種交流会のようなものだが、来年には研究会を母体に“東京都駐車場情報化協議会(仮称)”を発足させ、駐車場産業の活性化と道路事情の改善、標準フォーマットの普及促進、駐車場位置情報に加えて観光スポット情報や商店街情報などの提供を図っていきたいとしている。

東京都駐車場情報化協議会の利用スキーム
東京都駐車場情報化協議会の情報の利用スキーム

現在の構想では、各企業の提供している位置情報などのデータやその他のコンテンツをXMLで統一して東京都駐車場公社に集め、それらをユーザー企業が利用するという形をとる。

そして、山縣氏は東京都駐車場公社の駐車場情報化推進基本構想についての説明を行なった。同構想は、東京都の“東京構想2000”などに従うもの。既存の駐車場の有効利用と渋滞対策として、現在公社がホームページ上で公開している約2000の駐車場の位置情報を充実することや、満空情報をリアルタイムで携帯電話などに提供することのよって、公社を駐車場情報センターとすることを目指す。最終的な目標は、空いている駐車場へ車を誘導する“誘導予約システム”を開発することだという。

期間は平成13年度から17年度までの5年間で、15年度までの前期に、秋葉原などをモデル地区として駐車場への誘導予約システムの構築を行なう。山縣氏によると駐車場の経営者はなかなか“満”を出したがらないので、駐車場情報の信頼性がなかなか向上しないという。山縣氏はこの駐車場は“満”だが近隣の駐車場は“空”だ、という情報を提供することで地域全体での駐車場の提供を図るべきだとしている。

また、公社から外部業者、データセンターに委託する形で駐車場情報センターを構築する構想もある。約2500の駐車場の位置データ、新宿・池袋・渋谷において初年度約50の満空情報を提供するが、それだけではコンテンツとしての魅力に欠けるとして、天気情報やタウン情報などの付加価値の高い情報と共に、ASPなど方式で提供する。この情報センターを、携帯電話を利用した駐車場誘導・予約システムにまで発展させるという。

さらに山縣氏は、東京都都市計画局の行なう、駐車場誘導の社会実験“平成13年度渋谷社会実験”についても触れ、公社として同実験に協力し、「現在のITならここまでできる」ことを実証したいとしている。

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