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MIS、東京・三軒茶屋の“街角インターネット”実験を公開

2001年08月30日 11時35分更新

文● 編集部 佐々木千之

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モバイルインターネットサービス(株)(MIS)(※1)は29日、東京都世田谷区の三軒茶屋駅近辺で展開中の、無線LANを使用した“街角インターネット”実証実験を報道陣に公開した。

※1 MISは、(株)有線ブロードネットワークスと、無線通信機器の開発、製造、販売を行なっているルート(株)が共同で4月20日に設立した。資本金は1億円で、出資比率は有線ブロードネットワークスが50%、ルートが49%、(有)ラウンドキューブが1%。本社は東京都文京区、代表取締役はルートの代表取締役でもある真野浩氏が務める。MISは無線インターネットの実証実験を目的とする企画会社という位置づけ。

この実証実験は、MISが6月にアナウンスしていたもの。IEEE802.11b無線LANの機材を使用するものの、サーバーソフトや無線LANカードのドライバーソフトを独自に開発し、ユーザーの認証部分やセキュリティー、移動中に基地局が切り替わった場合(ハンドオーバー時)にもインターネットサービスが途切れずに利用できるようにするなどの改良を加えた。

報道陣に貸し出されたカシオ計算機(株)のモバイルノートパソコン『FIVA』
報道陣に貸し出されたカシオ計算機(株)のモバイルノート『FIVA』。CPUはCrusoeを搭載している

29日の実験公開では、カシオ計算機(株)のモバイルノートパソコン『FIVA(ファイバ)』にIEEE802.11b無線LANカードとドライバーをインストールしたものが貸し出された。すべて設定済みということもあるが、サービスエリア内で電源を入れるとすぐにネットワークを認識して、インターネットの利用ができた。貸出時間の関係で長時間触ったわけではないが、記者の主観による体感速度は、フレッツ・ADSLによる接続よりも若干遅いかなという程度。数MBのテキストの転送で計測したところ、300kbps強という結果となった。ただ、これは1回だけの計測なので参考程度にとどめてほしい。ただ、速度より何よりも、ダイヤルアップをするでもなく、パソコンの電源を入れるだけで自然にインターネットが(少なくともウェブを見る程度であれば)快適に楽しめることは新鮮な体験だった。

MISが実験を行なっている三軒茶屋地区
MISが実験を行なっている三軒茶屋地区

MISでは、3月に福岡で実験を行なっており、三軒茶屋は2つ目の実験地域になる。さらに、渋谷や丸の内地区、西新宿地区などでも実証実験を計画しているが、店舗内や人が集まるポイントにアクセスポイントを設置する“ホットスポット”方式の展開を予定しており、街角のどこでも無線インターネットが利用できる面的なサービスは三軒茶屋のみで提供している。

MISの野上取締役によると、現在三軒茶屋地区での実験参加者はおよそ300名、基地局は15、6局を設置済みとしている。基地局との接続は(株)有線ブロードネットワークスの光ファイバー網を利用する。1つの基地局あたり、およそ4Mbpsのバンド幅があり、現時点ではそれを数人でシェアする形で、ユーザーあたり600kbps~1Mbpsの速度が得られているという。記者の計測で300kbps強であったと書いたが、これは大勢の報道陣が一斉にアクセスしていることが大きな原因のようだ。

ADSLに近い体感速度でインターネットが利用できた
ADSLに近い体感速度でインターネットが利用できた

今度はソフトウェアの改良によって、基地局あたりのバンド幅を5Mbpsに引き上げるほか、Windows 98SE/Me用しかないドライバーソフトのWindows 2000版の開発を急ぐ。さらにWindows CE向け、Mac OS向けドライバーソフトの計画も進めているとしている。本格サービス開始のスケジュールや料金などについては、一切明らかにはなっていない。

MISが実験で使用している無線LANカード
MISが実験で使用している無線LANカード。ハードウェアは通常のIEEE802.11bのものと変わりないという

MISでは、ユーザーがアクセスしている基地局の情報をコンテンツ事業者などにフィードバックすることで、ユーザーがいる近辺の情報を提供したり、このネットワークを使った無線インターネット電話といったことも考えているという。

市街における無線インターネットの実験は、MIS以外にも東西NTTなどが行なっているが、MISのサービスはクライアント側のハードウェアとしては、一般のIEEE802.11b無線LANカードを使用しており、コスト的に有利と考えられる。今回試した限りにおいては十分な速度が得られており、今後ユーザーが増えてきてもこのクオリティーを維持できるかという疑問もあるが、“街角で気軽に使えるインターネット”としては、かなり有望と感じられた。

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