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Windows XPの“Windows Messenger”を歓迎――ポリコム、ビデオ会議システム『ViaVideo』を発表

2001年08月23日 08時43分更新

文● 編集部 中西祥智

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ポリコム(株)は22日、個人用のビデオ会議システム『ViaVideo』を発表した。発売は9月1日で、価格はオープンプライス(予想価格は10万円前後)。

『ViaVideo』
『ViaVideo』

『ViaVideo』はH.323(※1)に準拠した、IPネットワーク上のビデオ会議システムで、主に1対1のコミュニケーションを行なう。製品はDSPを内蔵するカメラとソフトウェアで構成し、ソフトウェアをインストールしたパソコンとカメラをUSBで接続して利用する。インターネット経由でのビデオ会議も技術的には可能だが、どの程度の品質が保てるかは個々のケースによって違うため推奨はしないという。同社では企業での使用に耐えうる“ビジネスクオリティ”をコンセプトにしており、実際には社内LANなどで使用することになる。

※1 ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)が勧告した、ネットワーク上で音声・動画を使ったビデオ会議を行なう規格

『ViaVideo』会話画面
『ViaVideo』での実際の会話画面

日本では、ビデオ会議システムはまだ数千台規模の市場だが、同社代表取締役社長の林田直樹氏は、ブロードバンドによって市場は爆発的に加速すると予測している。

代表取締役社長の林田直樹氏代表取締役社長の林田直樹氏

林田氏によると、同社の親会社である米ポリコム(Polycom)社は、米国でのビデオ会議システムの市場シェアが2000年度で約50%、年間約4万台を出荷している。日本ではピクチャーテル(株)が先行しており、ピクチャーテルとソニー(株)、同社の3社で、市場の約7割を占めているという。

『ViaVideo』の接続画面
『ViaVideo』の接続画面。IPアドレスを直接入力している

今回の製品について、林田氏は“個人向け”と銘打ってはいてもそれはコンシューマー向けを意味するものではないとしている。上記の通りインターネットでの利用は難しいため、ビジネス向け、教育市場向けに販売していくという。ただし、ブロードバンドが浸透した将来には、コンシューマーや企業向けといった垣根はなくなると予想している。

『ViaVideo』は米国では2000年秋に発売された製品。日本での発売が遅れた理由は、同社セールス&マーケティングマネージャーの奥田智己氏によると「日本語化、日本語Windowsへの対応に手間取った」ためだという。奥田氏は『ViaVideo』の特徴として、日本語のGUIやUSBでの接続による簡単な操作、低コスト、Net Meetingとシームレスに連動することなどを挙げた。また、将来的にはUSB2.0への対応も検討しているという。

セールス&マーケティングマネージャーの奥田智己氏セールス&マーケティングマネージャーの奥田智己氏

『ViaVideo』のカメラにはオランダのロイヤル フィリップス エレクトロニクス社製のメディアプロセッサー、TriMedia 1300-166MHzを搭載しており、音声のエンコード・デコードおよび動画のエンコードをメディアプロセッサーで行なう。パソコンのCPUは動画のデコードを行なうだけであり、CPUパワーの30%程度の消費になるという。フォーカスはマニュアルフォーカスで、カメラ上部のダイヤルを手動で調節する必要があるが、明るさなどは自動調節する。転送レートは64kbpsから384kbpsで、フレームレートは最大で毎秒30フレーム、解像度は最大352×288ドット。将来的には768kbpの転送レートもサポートする予定だという。

カメラ上面
カメラ上面。レンズのすぐ上のダイヤルで、フォーカスを調節する

音声は外部のスピーカーに出力する。エコーキャンセラーおよびノイズ削減機能を搭載し、バックグラウンドノイズを低減するという。マイクはカメラ本体に内蔵している。本体サイズはカラーCMOSセンサーを搭載するカメラ部分が幅76×奥行き127×高さ25.4mmで、取り付けベースが幅76×奥行き76×高さ107mm。重さは252g。対応OSはWindows 98SE/Me/NT 4.0/2000で、Macromedia FlashやDirect X 7.0以上、Acrobat Readerなどをインストールする必要がある。また、パソコン側の必要スペックは、Pentium II-350MHz以上、64MB以上のメモリー、4MB以上のVRAM、16bitカラー表示など。電源はACアダプターから供給する。

『ViaVideo』は、IPアドレスを入力するか、ILS(Internet Locator Service)を利用して接続するユーザーを探す。オンスクリーン・リモコンでの操作も可能で、Net Meetingのチャットやファイル転送、アプリケーション共有、ホワイトボードなどの機能も使用できる。

Net Meetingでの共有
Net Meetingでの共有。画面では相手のデスクトップを共有している

販売はパートナー企業を経由して行ない、同社では年間販売台数を8000台から1万台と見込んでいる。

また、林田氏はWindows XPにビデオ会議機能“Windows Messenger”が標準で搭載されることについて、「いいニュースだ」としている。“Windows Messenger”が普及してビデオ会議が一般的になれば、高い品質を求める企業ユーザーなどが同社の製品に注目するようになる。コンシューマー向けは“Windows Messenger”、企業向けは『ViaVideo』あるいはより上位の同社の製品、というように棲み分けが可能だと、林田氏は期待している。

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