BEA、アプリケーションサーバー『WebLogic Server 6.1J』を発表

2001年08月01日 22時11分更新

文● 編集部　佐々木千之

日本BEAシステムズ(株)は1日、都内で記者発表会を開催し、アプリケーションサーバー『BEA WebLogic Server 6.1J』を31日に出荷開始すると発表した。6.1Jでは、3月に出荷開始した『同 6.0J』の機能に加えて、“Webサービス”(※1)とJCAへの対応を追加した。

※1 ここで言う“Webサービス”とは、XML(eXtended Markup Language)や、XMLをベースとしたデータ送受信のためのプロトコルであるSOAP(Simple Object Access Protocol)などのインターネット標準技術を使って、Eビジネスを展開する企業が顧客に対しウェブサイトを通じて提供する機能のこと。

※ JCA(J2EE Connector Architecture):J2EE(Java2 Enterprise Edition)を使って、ERPやCRMシステムを統合するためのアーキテクチャー。


米BEAシステムズ社 ECS部門エバンジェリストのマイケル・スミス(Michael Smith)氏(左)とECIビジネスデベロップメントグループシニアマネージャーのスティーブン・ステネット(Steven Stennett)氏(右)

WebLogic Server 6.1Jでは、SOAP、UDDI(※2)、WSDL(※3)を使用してWebサービスを開発し、6.1J上でサービス提供が可能になる。J2EEは、最新のバージョン1.3を実装し、これには“EJB 2.0”、“Servlet 2.3”、“JSP 1.2”といった最新のサービスも含まれる。BEAはJ2EEを積極的にサポートしているが、J2EEバージョン1.3を製品に組み込むのは、アプリケーションサーバーでは同社が初めてだという。そのほか6.1Jでは、JMS(Java Message Service)アプリケーションの実行速度向上、XMLアプリケーション開発環境の機能拡張などのパフォーマンス向上が図られたとしている。BEA WebLogic Server 6.1Jの価格は、6.0Jと同じ、1CPU当たり198万円で、31日に出荷を開始する予定。

※2 UDDI(Universal Description, Discover and Integration):提供されているWebサービスを収集して検索できるようにするための仕組み。

※3 WSDL(Web Services Description Language):Webサービス記述言語。

BEAシステムズでは、WebLogic Serverが提供するWebサービス(J2EEと組み合わせたもの)を、“シンプルWebサービス”と呼んでおり、これにB2Bのための機能を追加した“ビジネスWebサービス”を『BEA WebLogic Integration』によって提供する。WebLogic Integrationは、ビジネスプロセス管理やERP、CRM、SCMといった企業アプリケーションを統合する製品で、米国では7月16日(現地時間)に発表している。


WebLogic Serverが提供する“シンプルWebサービス”の概要

BEAシステムズではWebサービスを、アプリケーションの相互運用の仕組みと位置づけており、J2EEと競合するものではないという考え。同社では、J2EEによる各種システムの統合(EAI:Enterprise Application Integration)を目指している。

アプリケーションサーバー市場では、米オラクル社が企業向けデータベース製品における強みを背景に、『Oracle Application Server』を投入するなどの動きがあるが、BEAシステムズでは「エンタープライズ向けアプリケーションサーバーにおいては、自分の製品だけでなく、幅広い製品、プラットフォームへの対応が求められる。オラクルやマイクロソフトは現在のところ、ライバルにはなり得ない」(米BEAシステムズ社 ECS部門エバンジェリストのマイケル・スミス(Michael Smith)氏)という。BEAシステムズでは、同社のWebLogic製品を中心として、アプリケーションサーバー機能、ビジネスプロセス管理機能、B2B機能の統合と、企業アプリケーションの統合を行ない、Eビジネスの総合プラットフォームを作り上げる考えだ。