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インテル、日本でも『Mobile Pentium III-M』『Intel 830MP』発表

2001年07月31日 15時37分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は31日、都内で記者発表会を開催し、米国時間30日に発表した、モバイル向けCPU『モバイルPentium IIIプロセッサ-M』(以下モバイルPentium III-M)と『Intel 830チップセットファミリ』を日本でも発表した。

『モバイルPentium IIIプロセッサ-M』と『Intel 830チップセット』
『モバイルPentium IIIプロセッサ-M』と『Intel 830チップセット』

モバイルPentium III-Mは、866/933MHz/1.0/1.06/1.13GHzの5種類を用意し、従来のモバイルPentium IIIと比較して、2倍の512KBオンダイ2次キャッシュメモリー、33%高速の133MHzシステムバスを持つ。キャッシュメモリーには、データプリフェッチ回路を追加し、必要な命令やデータを予測してあらかじめキャッシュメモリー内に読み込む機能を備える。すべて0.13μmプロセス技術で製造している。

低消費電力関連では、“拡張版インテルSpeedStepテクノロジ”と“Deeper Sleepモード”を搭載した。拡張版インテルSpeedStepテクノロジでは、従来、高いクロック高いコア電圧の“最高性能モード”と低いクロックで低いコア電圧の“バッテリ駆動モード”のどちらか一方しか選択できなかったものを、CPUの負荷状態に応じて2つのモードを自動的に切り替えるオートマチックモードを備えた。Deeper SleepはCPUのアイドル時に、コア電圧を最低動作電圧以下まで下げて、消費電力を抑える機能。これまでも“Deep Sleep”という、アイドル時のコア電圧を下げる機能があったが、Deeper Sleepではさらに低電圧に下げることで、Deep Sleep時の40%の消費電力に抑える。Deeper SleepはDeep Sleep同様に、アイドル状態からは一瞬で復帰できるとしている。

Deeper Sleep機能の概要
Deeper Sleep機能の概要
Pentium III-Mの省電力機能のデモ
Pentium III-Mの省電力機能のデモ。モバイルPentium III-1GHzとモバイルPentium III-M-1GHzで、アプリケーション動作時の消費電力を比較した。上段がモバイルPentium III-M、下段がモバイルPentium IIIの消費電力を示す

モバイルPentium III-Mの1000個ロット時価格は、866MHz版が3万1360円、933MHz版が3万5300円、1.0GHz版が5万30円、1.06GHz版が6万3360円、1.13GHz版が7万9350円となっている。

またIntel 830チップセットファミリーは、従来のチップセットと比較して、2倍のメモリー容量(1GB)、33%高速なメモリークロック(133MHz)をサポートし、6つのUSBポート(従来は4)、LANインターフェースを内蔵する。モバイルPentium III-Mの低消費電力機能に対応するほか、アイドル時のSDRAMメモリーのクロックを下げて消費電力を抑える機能や、動作していない回路の電源供給を止めるなどの電源管理機能を備えている。メモリーコントローラー部とI/Oコントローラー部の2つのチップ間は、『Intel 810』や『Intel 815』と同様の“ハブ・アーキテクチャー”により高速に接続するとしている。

今回発表した830MPは、AGP4Xのインターフェースを備え、グラフィックス機能は持たないが、年内に830チップセットファミリーとして、高性能のグラフィックスアクセラレーターチップを統合した『Intel 830M』、グラフィックスアクセラレーターチップを統合した低価格ノートパソコン向けの『Intel 830MG』を予定する。

Intel 830チップセットファミリーの概要
Intel 830チップセットファミリーの概要

Intel 830MPチップセットの1000個ロット時価格は4760円。

インテルのジョン・アントン代表取締役社長
インテルのジョン・アントン代表取締役社長。手に持っているのは0.13μmプロセス技術で製造した300mmウエハー

発表会で挨拶した、インテル(株)代表取締役社長のジョン・アントン(John Antone)氏は、「インテルの開発した0.13μmプロセス製造技術により、0.18μmのものに比べ、高速化と省電力化を実現した。5月から0.13μmプロセスの製品を出荷しているが、2001年中に6つの製造工場において0.13μmプロセスでの生産を開始する。この0.13μmプロセス技術によって、サーバー/ワークステーション、ノート、デスクトップのそれぞれのセグメントにおいて複数のプロセッサーブランドの展開を図る」と、CPU製品の早期の0.13μmプロセス化についてアピールした。

0.13μmプロセス技術で提供するインテルのCPU製品
0.13μmプロセス技術で提供するインテルのCPU製品
米インテルのドン・マクドナルド氏
米インテルのドン・マクドナルド氏

続いて米インテル社モバイル・プラットフォーム事業本部マーケティングディレクタのドン・マクドナルド(Donald McDonald)氏が、モバイルPentium III-MとIntel 830チップセットの概要についてデモンストレーションを交えながら説明した。マクドナルド氏も「インテルの0.13μmプロセスにより、世界最小、最速のトランジスターゲートを提供できた。単に高速なだけでなく、低消費電力で動作するモバイルPC向けCPUが可能になった。この0.13μmプロセス技術、モバイルPentium III-M、Intel 830チップセットの、3つの技術の総合力によって新しいレベルの性能をノートパソコンにもたらす」と述べた。

なお、会場にはデルコンピュータ(株)、富士通(株)、日本IBM(株)、日本電気(株)、ソニー(株)、の5社がPentium III-MとIntel 830MPを搭載したノートパソコン新製品を展示していたほか、コンパックコンピュータ(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)、(株)東芝の3社も参考展示を行なった。

唯一、外観を隠した参考展示となった東芝のノートパソコン
唯一、外観を隠した参考展示となった東芝のノートパソコン。液晶ディスプレーのヒンジやスピーカー部分のデザインなどを見る限り、これまでのシリーズとはまったく異なるもののようだ

インテルは今回、モバイルPentium III-Mだけでなく、チップセットファミリーを発表したことで、ノートパソコンメーカーに向けて、今後もインテルのプロセッサーを採用することが、企業向けなどの安定性、継続性の求められる市場においてメリットになる、というメッセージを送っている。大手ノートパソコンメーカー8社が製品を展示したことが、これを裏付けており、『Athlon 4』を発表した米AMD社を、追い抜いた形となった。ノートパソコンにおけるもう1つの競合である、米トランスメタ社への対抗製品の、低電圧版と超低電圧版が登場すれば、インテルは隙のないノートパソコン向けラインアップを揃えることになる。

モバイルPentium III-Mのロゴ
モバイルPentium III-Mのロゴ。ほかのPentium IIIやPentium 4のロゴと違い平行四辺形になっている

Pentium III-Mのクロックはどこまで伸びるのか、Pentium 4のノート向け製品がいつ登場するのかといった疑問もあるが、少なくとも年内のノートパソコン市場はインテル優位で進みそうだ。

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