(株)東急コミュニティーは11日、プレス向けに同社の技術センターの見学会を開催し、マンション内情報システム『コミュニティー ウェブ』のデモンストレーションを行なった。
『コミュニティー ウェブ』端末 |
『コミュニティー ウェブ』は、マンションあるいは一戸建て住宅の各戸に情報端末を設置し、インターネット常時接続サービスや居住者間の情報交換、生活・地域情報、緊急通報などのサービスを提供する。
提供する端末はタッチパネル型で、メニュー画面をスタイラスペンなどでタップして操作し、文字入力は画面に表示されるソフトウェアキーボードで行なう。CCDカメラも搭載している。初期画面に表示するメニューは、“サポート”、“コミュニティー”、“マネー”、“インターネット”、“生活ネットワーク”、“健康”、“地域情報”、“便利機能”の8項目。
インターホンとして使用する場合は、マンションの玄関のカメラからの画像を表示し、遠隔操作で開錠できる。留守中の訪問者の映像を10件まで保存することも可能。
訪問者はこのように表示する。動画だが、更新するのは5秒に1回 |
“コミュニティー”は、利用者が自由に書き込める“フォーラム”や“生活ネットワーク事務局”、管理組合からのお知らせなどで構成される。“フォーラム”は、たとえばマンションの住民間での掲示板のようなもの。“譲ります・探しています”といった情報や、ボランティア・サークル情報などを書き込める。
“フォーラム”。通常の掲示板だ |
“生活ネットワーク”は、カルチャースクールや地域のイベント、近隣の店舗情報などを提供する。それらの情報は、近隣の住民に東急コミュニティーが依頼して提供してもらうという。また、“健康”では、健康相談センターへ接続して、テレビ電話形式での健康相談が可能。
テレビ電話形式での健康相談。接続先が対応していれば、テレビ電話として使用可能 |
“インターネット”は事前に設定された特定のホームページの閲覧や、Eメールの送受信が行なえる。特定のホームページといっても、検索サイトからの自由なサーチは可能。ただしURLの直接入力は行なえない。Eメールについては、4つまでのアカウントを設定できる。
メール入力画面。ソフトウェアキーボードは、少し使いづらい。同社ではUSB接続のキーボードの提供も検討している |
端末本体には火災警報ボタンや非常通報ボタンも実装しており、火災センサーやガス漏れセンサーのモニターとしても機能する。また“便利機能”として、そろぞれ5件まで記録可能な手書き・ボイスメモや、文字とアイコンを記入できるカレンダーなども用意されている。
手書きメモ。ペンの色を変えることも可能 |
同社が今回披露した技術センター内には、ショールームとして3台の『コミュニティー ウェブ』端末と玄関カメラを展示していた。
技術センター内のショールーム。管理人の研修なども行なうという |
『コミュニティー ウェブ』の運用は4月に開始しており、実際に導入されたのは6月15日に入居を開始した、95戸の入ったマンションが初めて。また4件が着工済みだという。
同社取締役副社長の青山憲三氏は「このサービスが居住者同士のコミュニティー形成の一助になれば」いいとの考えを示した。また、利用者のニーズに応じて、逐次、機能の強化・拡充を行なうという。今後は同社の管理する既存のマンションなどにも導入していくが、当面は新規着工への導入に注力する。
取締役副社長の青山憲三氏 |
端末は日本ビクター(株)製で、Windows CE 3.0をOSとして採用する。10.4インチTFTカラー液晶(800×600ドット、65536色)に感圧式のタッチパネルを装備、CPUには日本電気(株)のVR4122-180MHz、32MBのROMと32MBのRAM、16MBのコンパクトフラッシュを内蔵する。約25万画素のCCDカメラと、10BASE-TおよびUSB、IrDAのインターフェースを搭載する。本体サイズは幅335×奥行き82×高さ250mmで重さは約3.3kg。壁面に埋め込む形で設置する。
同社によると、設置場所はリビングを想定しているが、実際には施工主次第だという。ただし、消防法220号特例基準に準拠した仕様になっているため、壁面以外には設置できない。また、マンション内のネットワークは10/100BASE-TXで、各戸には3台までパソコンを接続可能なインターフェースを用意する。接続料金は定額制で、月額3000円となっている。
インターネット接続は富士通(株)の協力で、東急コミュニティーが独自に行なう。接続する方式は施工主次第となり、技術センターはISDNで、運用第1号のマンションは専用線で接続しているが、ADSLでも光ファイバーでも可能だとしている。
東急コミュニティーでは、年度末までに2500戸の導入を目指す。また、今後は住宅だけではなく福祉関連施設への提供やOEMによる他社への提供も検討するとしている。