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RIAJとACCS、ファイル交換ソフトユーザーを調査――『Napster』の国内利用者は81万7000人

2001年07月09日 23時39分更新

文● 編集部 中西祥智

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(社)日本レコード協会(RIAJ)と(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は9日、『Napster』や『Gnutella』など、ファイル交換ソフトの利用実態調査の結果を発表した。

『Gnutella』のデモ
発表会で行なわれた『Gnutella』のデモ

同調査は、5月1日から18日までの間、アンケートサイトを利用して得た約1万件の回答を集計したもの。しかし、もう一度調査を行なうとして、詳細な調査方法については明らかにしなかった。また、『Napster』は現在運用を停止しているが、この調査は運用停止以前に行なったという。

集計結果によると、有効回答1万425人のうち、ファイル交換ソフトの利用者は560人で全体の5.4%、そのうち『Napster』利用者が457人で4.4%、『Gnutella』利用者は160人で1.5%となっている。また、『Napster』利用者の平均ダウンロード曲数は50曲、アップロード曲数は39.93曲となっている。

これを、総務省が5月に発表した日本のインターネットユーザー数約1856万人と対比すると、日本全体でのファイル交換ソフトの利用者は、1856万人×5.4%で約100万人、そのうち『Napster』利用者は、同様に約81.7万人と推定できる。『Napster』によるダウンロード総曲数は、50曲×81.7万人で約4085万曲、1曲あたりの価格を350円とすると、約142億9750万円の“損害”(RIAJ専務理事木村三郎氏)となる。

RIAJ専務理事木村三郎氏RIAJ専務理事木村三郎氏

RIAJ専務理事の木村三郎氏は、アメリカでの事例として、つい最近までは5000万人が『Napster』を利用しており、2月には『Napster』利用者によってダウンロードされた曲数は約28億曲だったことを説明した。シングルCDの売り上げが46%下落したのも、『Napster』などの影響によるものだという。

一方で木村氏は、日本での音楽業界の売り上げの落ち込みは消費の低迷が主な原因で、ファイル交換ソフトによる影響は少ないと見ているが、しかし現在は5.4%の利用者が10%、20%と増加していくのは時間の問題だとして、そうなる前に手を打つとの考えを明らかにした。

日本では、改正されて1998年1月1日に施行された著作権法において、“送信可能化権”が明記されている。これによって他人の著作物をインターネット上で公開するには、その旨の許諾を得る必要がある。そのため、許諾なしに他人の著作物を保存したハードディスクをインターネットで公開・共有した場合、その公開や共有を行なった瞬間に著作権法違反となる。

両協会では、この送信可能化権の侵害は明確な違法行為だという啓蒙活動を積極的に行ない、インターネット利用者に理解を深めてもらうとしている。また『Napster』に対しては、サーバー上に存在する1万3500曲の違法ファイルのリストアップは終了しており、それらの曲の削除を求めていく。

悪質な場合には、IPアドレスから音楽ファイルを違法に公開している人物の接続するISPを判別し、ISPから情報を得てその人物を割り出して警告、場合によっては刑事告発も辞さない。両団体は厳しい態度で臨むことで、一罰百戒の効用を上げることを目指すとしている。

ACCS専務理事久保田裕氏ACCS専務理事久保田裕氏

ACCS専務理事の久保田裕氏は「音楽ファイルという著作物を配布することは価値を配布していることであり、ウェブ上で仮想貨幣を配布しているようなものだ」とし、ファイル共有ソフトで他人の著作物を配布することは通貨を偽造しているに等しいとの見解を語った。

ただし、実際にエンドユーザーの需要が存在する以上、両協会ともただ単に厳しく追及するだけでは意味がないことも承知しており、楽曲の視聴を店頭やウェブサイト上で行なえるようにするなどの対策も検討している。

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