ミラクル・リナックスの設立やOracle MasterのLinux資格対応など、従来から強力なLinux推進を行なってきた日本オラクルだが、先日のLinuxWorldにおける展示内容や、6月20日に都内で行われた『Oracle Linux Summit 2001』のもようを見ていくと、『Oracle Parallel Server』を使用するような、エンタープライズ向けの市場においてもLinuxをプラットフォームのひとつとして位置づけはじめたことがよくわかる。オラクルにとってLinuxはすでに、エンタープライズでも使えるような、UNIX互換OSのひとつになりつつあるのだろう。
今回は、9月6日~7日、神奈川県横浜市の、パシフィコ横浜(みなとみらい地区)にて行なわれるOracleのテクニカルカンファレンス「iDevelop 2001」(主催:日本オラクル)を紹介する。
iDevelopは、3年前の1999年、米Oracleが開発者を対象に、新技術の内容を広めていくことを目的として開催したのが始まりだ。日本発のイベントであるOracle Open World(OOW)は、どちらかというとOralceの技術を一般の人間にも広くわかりやすく伝えているのに対し、iDevelopのほうはあくまでも技術色が濃いイベントとなっている。またOOWは基本的に無償のイベントであるが(米国では1000ドル程度の参加費が必要)、iDevelopは有償のセミナーであり、より深い内容、より技術的につっこんだセッションが用意されている。
そして、iDevelopを見ていく上で忘れてはいけないのが、“OTN”の存在だ。OTNは、“Oralce Technology Network Japan”の略で、インターネット上のOracle開発者向けコミュニティで、無償で参加することができる。OTNの会員になると、技術資料やソフトウェアのダウンロードサービス、サンプルコード閲覧、初心者向け講座、Oracle関連書籍オンライン販売、メールサービス、フォーラムへの参加と、さまざまな特典を得ることができる。国内では約1年前に立ち上がり、現在はなんと6万人の会員が在籍する一大ネットワークとなっている。そして、iDevelopは、OTNのリアルにおけるイベントという位置づけも持っているのである。
今年は9iの話題が盛りだくさん
今年のiDevelopの内容だが、やはり登場間近のOracle 9iの話題が中心になりそうだ。現在米国などでも発表され、国内でも徐々にその概要が広まりつつある9iだが(先日のOracle Linux Summit 2001でも、9iの紹介が行なわれた)、このiDevelopで初めて、深い技術的な内容が披露される。
Oracle 9iは、今までのOracleデータベースとは違い、“E-Businessを実現するプラットフォーム”としての製品構成となっている。つまり、今までは単独のRDBMSを『Oracle』と読んでいたわけだが、9iでは、『Oracle 9i Database』と、『Oracle 9i Application Server』の2コンポーネントで構成され、現在のWeb上におけるビジネスシステムの構成に則した形での製品提供携帯となっているわけだ。
個々のコンポーネントの大まかな特徴だが、まず“Database”のほうはデータベースカーネルにJavaVMを組み込んだほか、XDBへの対応やマルチメディアデータ対応など、従来の“インターネット対応”路線を一層推し進めた形となっている。また、もうひとつの大きなコンセプトとして、Oracle Parallel Serverの進化型、『Oracle Real Application Clusters』の実装をはじめとした、“ラージE-Business”への対応があげられる。今までの、“インターネット対応データベース”という性格から、今度はE-Business上の“サービス”を視野に入れた展開を図っていくということだ。また、Application Serverのほうは、ApacheをベースとしたWebサーバを備えた、Javaの実行環境である。今回の9iでは、大量アクセスへの対処として、Oracle Web Cacheが実装された。
iDevelopでは、こうしたOracle 9iが、E-Business環境でどういったソリューションが最適なのか? といった話題から、プロダクト自体の強化ポイントなどの開発技術が、すでにOracle 9iをテストなどで使用した技術者が講演する。
セッションは、
- Product
- Development
- Management
- Solution
といった形で、4つのトラックに分けられている。セッションリストは表1を見ていただくとして、その内容を少しだけ紹介すると、たとえばProductトラックでは、Oracle 9iのキーテクノロジーや戦略をデモンストレーションを交えて解説する「E-Businessプラットフォームの新基準 -Oracle 9i-」セッションをはじめ、Oracleのクラスタリングテクノロジーを解説する「Real Application Clustersで実現する可用性とスケーラビリティの両立」セッション、XMLのネイティブ格納を実現する新しいデータ型の概要と使用法を解説する「Oralce 9i強化ポイント -XML完全対応-」セッションなどが行なわれる。
Developmentトラックは、Oracle 9i Application ServerのJ2EEコンテナ“OC4J”上で動作させるJ2EEアプリケーションの構築技法を扱う「Oracle9iAS Containers for J2EEによるJ2EEアプリケーション開発」が用意される。また、Solutionトラックにおいては、効果要請システムを設計、構築する際に見落としがちな穴とその埋め方について解説する「高可用性七つの落とし穴」セッションがある。これらはすべてOracle 9iでをベースに、さらなるスキルアップを目指す技術者のための講座となっているわけだ。
徐々に大規模事例も紹介され始めているLinuxだが、現在はまだやはりWebサーバや社内のファイルサーバとしての利用がメインであり、商用のRDBMSが動作しているWebアプリケーション事例というのは、他のプラットフォームと比べると少ない。こうした中で、Oracle 9iの登場がLinuxの広がりを促進することは間違いないだろう。iDevelop 2001は、こうしたOracle 9iを技術的に知る、最初の手がかりとなるだろう。
トラック | セッション名 |
---|---|
Real Application Clustersで実現する可用性とスケーラビリティの両立 | Product |
Oracle9i強化ポイント -計画停止ゼロ/オンライン・メンテナンス操作- | Product |
Oracle9i強化ポイント -高度なアクセス制御技術- | Product |
Oracle9i強化ポイント -XML完全対応- | Product |
Oracle9i強化ポイント -B2Bのための機能- | Product |
Oracle9i強化ポイント -大切なデータを失わないために- | Product |
Internet File System | Product |
OLAP Server アーキテクチャとチューニング Tips | Product |
Oracle9i強化ポイント -データウェアハウス- | Product |
Oracle9iAS Containers for J2EE -Oracleの新しいJavaプラットフォーム- | Product |
Java+XML+SQL で行うWebシステム・サービス開発 | Product |
Discoverer4i活用法-Webからのデータ分析- | Product |
E-Businessプラットフォームの新基準 -Oracle9i- | Product |
Oracle Developer ~失敗しないWebへの移行~ | Development |
チーム開発における情報の一元管理 | Development |
Oracle9iAS Containers for J2EEによるJ2EEアプリケーション開発 | Development |
Oracle9iAS Portal によるEIP構築 | Development |
Oracle9iAS Wirelessによるマルチデバイス対応アプリケーションの開発 | Development |
Oracle9i Liteによるモバイルアプリケーション開発技法 | Development |
Oracle9i に最適化されたカーネル2.4 -Miracle Linux V2.0の全容- | Development |
GUIで行うOracle9iプラットフォーム統合管理 | Management |
GUIで行うパフォーマンスチューニング | Management |
最新Oracle9iASシステム構築技法 | Management |
Oracleパフォーマンスチューニング | Management |
システムマネージメントTips集 | Management |
Oracle9iで実現するセキュアなPKIシステム | Solution |
Oracle9iで実現するE-Businessワークフロー | Solution |
高可用性七つの落とし穴 | Solution |
ECOstructureで実践! E-Bussinessインフラストラクチャの構築 | Solution |
iDevelop 2001
- 開催日
- 2001年9月6日~9月7日
- 場所
- パシフィコ横浜
- 2001年06月26日現在の登録料金(1人分)
- ORACLE MASTER Platinum / CertifiedDeveloper4万8000円
- ORACLE MASTER Gold / Linux+5万8000円
- ORACLE MASTER Silver6万8000円
- OTN Professional4万8000円
- 一般6万8000円
- グループ登録(5名以上)4万8000円