次世代電子開示形式“XBRL(eXtensible Business Reporting Language)”の定義を行なう団体“XBRL Japan”が6日、設立記念シンポジウムを開催した。
“XBRL Japan”は、米国公認会計士協会(AICPA)が財務諸表電子開示のための情報形式を定義するために設立した“XBRL.ORG”の下部団体。日本公認会計士協会(JICPA)が中心となって発起人を募り、4月に設立した。
XBRLはXML(eXtensible Markup Language)によって財務諸表データを電子化し、インターネットを経由しての利用を可能にすることを目指す。アメリカでは、すでにXBRL形式で作成した財務諸表をSEC(Securities and Exchange Commission:米証券取引委員会)に提出できるという。
シンポジウムでは、“XBRL.ORG”仕様委員会委員長のデイヴィッド・ヴァン・カノン(David vun Kannon)氏が基調講演を行なった。カノン氏は、XBRLは「標準に基づく財務情報、報告、分析のための電子言語」であることを強調した。
“XBRL.ORG”仕様委員会委員長のデイヴィッド・ヴァン・カノン氏 |
「かつての企業は、投資家とのコミュニケーション、経営・財務状況の集計および分析、財務諸表の作成がすべて非効率的だった。XMLが普及し始めた現在は、インターネットをビジネスに利用する次の段階になりつつある。しかし、XMLだけでは十分ではない。それぞれの業種の背景と、XMLが結び付けられなければならない」
なぜ、いまなのか? XMLが普及し、インターネットをビジネスに利用する次の段階にさしかかりつつあるからだ |
「それは、各業界のコンソーシアムで標準のXMLタグ“タクソノミー”を定義することによって実現する。タクソノミーには国・法体系での共通、業種での共通、固有の共通の3つのレベルがある。それらの財務概念としてのタクソノミーを定義して集めたのが“タクソノミー文書”になる」
そして、その定義付けられたタクソノミーを参照して、財務情報をXBRL形式とし、集計や分析、開示などを行なえるようになる。カノン氏は、今後5年以内、おそらく2~3年以内にXBRL形式での財務情報公開が一般的になるとの予測を示した。
“XBRL Japan”によると、これまでは紙で出力していた財務諸表をインターネット上で開示し、いつでも、どこからでもアクセスできるようになるのは、当然の時代の流れだという。日本でも金融庁が電子開示システム“EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)”を6月に開始し、2004年には強制適用になるが、XBRL形式なら対応できる(EDINETはHTML形式を採用している)。
ただし、日本では6日に一部報道機関が報じたように、減損会計導入が2004年度以降に先送りされるなど、国際会計基準との乖離が目立つ。“XBRL Japan”では8月に日本版のタクソノミーを定義し、その後順次、国際基準との互換性を高めていくとしている。